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令和 5 年度(2023 年度)事例 Ⅲ

与件文

【企業概要】
C 社は資本金 3,000 万円、従業員 60 名(うちパート従業員 40 名)の業務用食品製造業である。現在の組織は、総務部 4 名、配送業務を兼務する営業部 6 名、最近新設した製品開発部 2 名、製造部 48 名で構成されている。パート従業員は全て製造部に配置されている。
C 社は地方都市に立地し、温泉リゾート地にある高級ホテルと高級旅館 5 軒を主な販売先として、販売先の厨房の管理を担う料理長(以下、販売先料理長という)を通じて依頼がある和食や洋食の総菜、菓子、パン類などの多品種で少量の食品を受託製造している。
高級ホテルの料理人を経験し、ホテル調理場の作業内容などのマネジメントに熟知した現経営者が、ホテル内レストランメニューの品揃えの支援を行う調理工場を標榜して 1990 年に C 社を創業した。近年、販売先のホテルや旅館では、増加する訪日外国人観光客の集客を狙って、地元食材を使った特色のあるメニューを提供する傾向が強まっているが、その一方で材料調達や在庫管理の簡素化などによるコスト低減も目指している。そのためもあり、C 社の受注量は年々増加してきた。
2020 年からの新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、C 社の受注量は激減していたが、最近では新型コロナウイルス感染も落ち着き、観光客の増加によって販売先のホテルや旅館の稼働率が高くなり、受注量も回復してきている。

【生産の現状】
C 社の製造部は、生産管理課、総菜製造課、菓子製造課、資材管理課で構成されている。総菜製造課には 5 つの総菜製造班、菓子製造課には菓子製造とパン製造の 2 つの班があり、総菜製造班は販売先ごとに製造を行っている。各製造班にはベテランのパートリーダーが各 1 名、その下にはパート従業員が配置されている。製造部長、総菜製造課長、菓子製造課長(以下、工場管理者という)は、ホテルや旅館での料理人の経験がある。
C 社の工場は、製造班ごとの加工室に分離され、食品衛生管理上交差汚染を防ぐようゾーニングされているが、各加工室の設備機器のレイアウトはホテルや旅館の厨房と同様なつくりとなっている。

図 主な総菜のフローダイアグラム

mermaid
flowchart TD

    %% 部門
    subgraph 資材管理課
        B1[食材類 受入れ]
        B2[食材類 保管]
        C1[調味料類 受入れ]
        C2[調味料類 保管]
        D1[配送用コンテナ 受入れ]
        D2[配送用コンテナ 保管]
    end

    subgraph 総菜製造課
        F1[トリミング]
        F2[洗浄]
        E2[計量・カット]
        G1[調合・配合]
        G2[加熱・調理]
        H1[包装]
    end

    subgraph 営業部
        H2[包装後 保管]
        H3[配送]
    end

    %% 食材類フロー
    B1 --> B2 --> F1
    F1 --> F2 --> E2
    E2 --> G1
    G1 --> G2
    G2 --> H1
    H1 --> H2
    H2 --> H3

    %% 調味料フロー
    C1 --> C2 --> E2

    %% コンテナフロー
    D1 --> D2 --> H1

受注量が最も多い総菜の製造工程は、食材の不用部トリミングや洗浄を行う前処理、食材の計量とカットや調味料の計量を行う計量・カット、調味料を入れ加熱処理する調理があり、鍋やボウル、包丁など汎用調理器具を使って手作業で進められている。
C 社の製造は、販売先から指示がある製品仕様に沿って、工場管理者 3 名と各製造班のパートリーダーがパート従業員に直接作業方法を指導、監督して行われている。
C 社が受託する製品は、販売先のホテルや旅館が季節ごとに計画する料理メニューの中から、その販売先料理長が選定する食品で、その食材、使用量、作業手順などの製品仕様は販売先料理長が C 社に来社し、口頭で直接指示を受けて試作し決定する。
また納入期間中も販売先料理長が来社し、製品の出来栄えのチェックをし、必要があれば食材、製造方法などの変更指示がある。その際には工場管理者が立ち会い、受託製品の製品仕様や変更の確認を行っている。
毎日の生産指示や加工方法の指導などは両課長が加工室で直接行う。
販売先料理長から口頭で指示される各製品の食材、使用量、作業手順などの製品仕様は、工場管理者が必要に応じてメモ程度のレシピ(レシピとは必要な食材、その使用量、料理方法を記述した文書)を作成し活用していたが、整理されていない。
受託する製品の仕様が決定した後は、C 社の営業部員が担当する販売先料理長から翌月の月度納品予定を受け、生産管理課に情報を伝達し、生産管理課で月度生産計画を作成し、総菜製造課長、菓子製造課長に生産指示する。
両製造課長は月度生産計画に基づき製造日ごとの作業計画を作成しパートリーダーに指示する。パートリーダーは、月度生産計画に必要な食材や調味料の必要量を経験値で見積り、長年取引がある食品商社に月末に定期発注する。
食品商社は、C 社の月度生産計画と食材や調味料の消費期限を考慮して納品する。食材や調味料の受入れと、常温、冷蔵、冷凍による在庫の保管管理は資材管理課が行っているが、入出庫記録がなく、食材や調味料の在庫量は増加傾向にあり、廃棄も生じている。
また製造日に必要な食材や調味料は前日準備するが、その時点で納品遅れが判明し、販売先に迷惑をかけたこともある。
販売先への日ごとの納品は、宿泊予約数の変動によって週初めに修正し確定する。
朝食用製品については販売先消費日の前日午後に製造し当日早朝に納品する。夕食用製品については販売先消費日の当日 14:00 までに製造し納品する。

【新規事業】
現在、C 社所在地周辺で多店舗展開する中堅食品スーパー X 社と総菜商品の企画開発を共同で行っている。X 社では、各店舗の売上金額は増加しているが、総菜コーナーの売上伸び率が低く、X 社店舗のバックヤードでの調理品の他に、中食需要に対応する総菜の商品企画を求めている。C 社では、季節性があり高級感のある和食や洋食の総菜などで、X 社の既存の総菜商品との差別化が可能な商品企画を提案している。C 社の製品開発部は、このために外部人材を採用し最近新設された。この採用された外部人材は、中堅食品製造業で製品開発の実務や管理の経験がある。
この新規事業では、季節ごとに X 社の商品企画担当者と C 社で商品を企画し、X 社が各月販売計画を作成する。納品数量は納品日の 2 日前に確定する。納品は商品の鮮度を保つため最低午前と午後の配送となる。X 社としては、当初は客単価の高い数店舗から始め、10 数店舗まで徐々に拡大したいと考えている。
C 社社長は、この新規事業に積極的に取り組む方針であるが、現在の生産能力では対応が難しく、工場増築などによって生産能力を確保する必要があると考えている。

設問文

第 1 問(配点 10 点)

C 社の生産面の強みを 2 つ 40 字以内で述べよ。

第 2 問(配点 20 点)

C 社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した 2020 年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要なのか、100 字以内で述べよ。

第 3 問(配点 20 点)

C 社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120 字以内で述べよ。

第 4 問(配点 20 点)

C 社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密接にするともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパー X 社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業から受託品の製造に特化してきた C 社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120 字以内で述べよ。

第 5 問(配点 30 点)

食品スーパー X 社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C 社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。この C 社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140 字以内で述べよ。

出題の趣旨

第 1 問(配点 10 点)

C 社の生産面の強みについて、分析する能力を問う問題である。

第 2 問(配点 20 点)

コロナ禍後の増加する受注量に対応するための C 社生産面の課題を整理し、その対応策について、助言する能力を問う問題である。

第 3 問(配点 20 点)

最近の材料価格高騰に対応するため、C 社の資材調達管理、在庫管理、製造工程管理の課題を整理し、その対応策について、助言する能力を問う問題である。

第 4 問(配点 20 点)

自社企画製品の販売を実現するために、創業から受託品の製造に特化してきた C 社の製品企画開発の課題を整理し、そのために必要となる社内対応策について、助言する能力を問う問題である。

第 5 問(配点 30 点)

工場増築などの設備投資によって生産体制を構築し、新規事業の生産に対応しようとする C 社社長の構想の妥当性とその理由、またその際の留意点について、助言する能力を問う問題である。

令和 5 年度(2023 年度)事例 Ⅲ 解答解説

第 1 問(配点 10 点)

設問文

C 社の生産面の強みを 2 つ 40 字以内で述べよ。

回答例(40 字)

顧客の高度な要求に応える技術力と多品種少量の受託製造に柔軟に対応できる生産体制。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「高級ホテルの料理人を経験し、ホテル調理場の作業内容などのマネジメントに熟知した現経営者」
    • 「工場管理者...は、ホテルや旅館での料理人の経験がある」
    • 「和食や洋食の総菜、菓子、パン類などの多品種で少量の食品を受託製造している」
    • 「販売先料理長が C 社に来社し、口頭で直接指示」「必要があれば食材、製造方法などの変更指示がある」
    • 「食品衛生管理上交差汚染を防ぐようゾーニングされている」
  • 答案作成の根拠 与件文から、C 社の生産面における強みを抽出する。

    1. 高い技術力と顧客対応力: 経営者や工場管理者は元料理人であり、主要顧客である高級ホテル・旅館の料理長のニーズを深く理解している。これにより、口頭での曖昧な指示や急な仕様変更にも的確に対応できる。これは、単なる製造業を超えた「調理工場の支援」という付加価値の高いサービス提供能力を示している。
    2. 多品種少量生産への柔軟性: 顧客ごとの製造班、汎用調理器具、手作業中心という生産体制は、ホテル・旅館から依頼される多岐にわたる少量生産の依頼に柔軟に対応することを可能にしている。 これらの要素を組み合わせ、「顧客の高度な要求に応える技術力」と「多品種少量生産への柔軟な対応体制」という 2 つの強みをまとめた。衛生管理も強みだが、顧客との関係性から生まれる対応力の方がより本質的な強みと判断した。
  • 使用した経営学の知識

    • コア・コンピタンス: 競合他社に真似されにくく、顧客に価値をもたらす企業の中核的な能力。C 社にとっては、元料理人である経営陣がもたらす「顧客(料理長)の意図を汲み取り、高品質な製品で応える技術力・対応力」がこれに該当する。
    • 生産方式: C 社の生産方式は、顧客の要求に応じて一品一様に近い製品を製造する「個別受注生産」に分類される。特に、販売先ごとに製造班を分ける体制は、顧客密着型の生産を実現している。

第 2 問(配点 20 点)

設問文

C 社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した 2020 年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要なのか、100 字以内で述べよ。

回答例(96 字)

受注量の多い製品を対象に、工程順の設備レイアウトへ改善し動線を短縮する。また、専用調理器具の導入と作業の標準化、教育訓練を進め、パート従業員の作業負荷軽減と生産性向上を図り、受注増に対応する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している」
    • 「各加工室の設備機器のレイアウトはホテルや旅館の厨房と同様なつくりとなっている」
    • 「受注量が最も多い総菜の製造工程は...鍋やボウル、包丁など汎用調理器具を使って手作業で進められている」
    • 「各製造班のパートリーダーが...パート従業員に直接作業方法を指導、監督して行われている」
  • 答案作成の根拠

    受注量の増加と、熟練パート従業員の退職による人手不足という二つの課題に対応するためには、現在の属人的で非効率な生産方式を抜本的に見直し、生産性を向上させる必要があります。

    1. レイアウトの改善(ハード面の対策): 「ホテルや旅館の厨房と同様なつくり」というレイアウトは、様々な調理に柔軟に対応できる反面、特定の製品を効率的に生産するための動線が考慮されていません(機能別レイアウト)。そこで、特に受注量が多い主力製品については、前処理 → 計量・カット → 調理 → 包装という**工程の流れに沿って設備を再配置(製品別レイアウト化)**し、モノの移動距離や作業者の動線を最短にすることで、作業時間短縮と生産性向上を図ります。

    2. 作業方法の改善(ハード面の対策): 「汎用調理器具を使った手作業」は、作業者の熟練度に品質やスピードが依存し、生産量の拡大に対応しにくい要因となります。野菜カッターやスライサーといった専用調理器具を導入することで、作業の高速化と省人化、品質の安定化を実現します。これにより、パート従業員の身体的負担を軽減し、人手不足の中でも生産量を確保します。

    3. 標準化と教育訓練(ソフト面の対策): ハード面の改善を確実に効果へ繋げるため、改善された作業手順を標準化し、誰が作業しても同じ品質・時間で生産できるようにします。さらに、その標準作業を基にした教育訓練の仕組みを整えることで、新人パート従業員の早期戦力化と、ベテランの技能の形式知化(マニュアル化)を図ります。「パートリーダーが直接指導」という属人的な体制から脱却し、持続的に受注増に対応できる組織的な生産体制を構築します。

  • 使用した経営学の知識

    • 工場レイアウト: 生産効率を左右する設備の配置方式。様々な種類の製品を少量ずつ生産するのに適した「機能別レイアウト」(C 社の現状)と、特定の製品を大量に効率よく生産するのに適した「製品別レイアウト」(改善の方向性)があります。
    • IE (Industrial Engineering): 科学的なアプローチで生産システムの効率化を図る学問分野。動線分析によるレイアウト改善や、作業分析による手作業の効率化は、IE の代表的な手法です。
    • 省力化: 人間の作業を機械に置き換えたり、補助させたりすることで、生産効率を高め、労働力不足に対応する考え方。専用調理器具の導入は、この省力化に該当します。
    • 作業標準化と教育訓練 (OJT): 作業の手順や方法、管理方法などを定めた基準(標準)を作成し、それに基づいて教育訓練を行うこと。品質の安定、生産性の向上、技能伝承の効率化に繋がります。

第 3 問(配点 20 点)

設問文

C 社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120 字以内で述べよ。

回答例(96 字)

レシピを標準化し、生産計画に連動した資材所要量計算を行う体制を構築する。資材管理課が発注業務を集約し、入出庫管理と先入れ先出しを徹底することで在庫を可視化・適正化し、食材の廃棄ロスを削減する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「最近の材料価格高騰の影響が大きく、(...)収益性の低下が生じている。」
    • 「パートリーダーは、月度生産計画に必要な食材や調味料の必要量を経験値で見積り、(...)定期発注する。」
    • 「入出庫記録がなく、食材や調味料の在庫量は増加傾向にあり、廃棄も生じている。」
    • 「製品仕様は...口頭で直接指示」「メモ程度のレシピ...整理されていない」
    • 「納品遅れが判明し、販売先に迷惑をかけたこともある。」
  • 答案作成の根拠 収益性低下の直接的な原因は材料価格高騰だが、C 社内部にはそれを助長する問題が存在する。具体的には、① 経験則に基づく不正確な発注、② 入出庫記録がなく在庫量が不明瞭な杜撰な在庫管理、である。これらが過剰在庫と廃棄ロス(=コスト増)を招いている。 対策として、まずレシピの標準化が前提となる。標準化されたレシピに基づき、生産計画から必要な資材量を正確に計算(資材所要量計算)する仕組みを導入する。そして、パートリーダー任せだった発注業務を資材管理課に集約し、入出庫記録の徹底と在庫の可視化を行う。これにより、勘に頼った発注から脱却し、廃棄ロスと欠品を同時に削減することで、コストを抑制し収益性改善を図る。

  • 使用した経営学の知識

    • MRP (Material Requirements Planning): 資材所要量計画。生産計画に基づき、部品や原材料が「何を、いつ、いくつ」必要かを算出し、発注や在庫管理を効率化する手法。C 社の課題解決にこの考え方が有効である。
    • 在庫管理: 在庫を最適な量・状態で維持するための活動。在庫の可視化、先入れ先出し(FIFO: First-In, First-Out)の徹底は、品質維持と廃棄ロス削減の基本である。

第 4 問(配点 20 点)

設問文

C 社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密接にするともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパー X 社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業から受託品の製造に特化してきた C 社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120 字以内で述べよ。

回答例(120 字)

製品開発部主導で工場管理者の調理ノウハウやレシピをデータベース化する。さらに販売先料理長の来社時に同席し、製品評価やニーズを直接ヒアリングする。この情報を基に組織的な製品開発プロセスを確立し、顧客の潜在ニーズを捉えた自社企画製品を開発する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「自社企画製品の製造販売を実現したい」
    • 「創業から受託品の製造に特化してきた」
    • 「製品仕様は販売先料理長が C 社に来社し、口頭で直接指示」
    • 「納入期間中も販売先料理長が来社し、製品の出来栄えのチェックをし、必要があれば食材、製造方法などの変更指示がある。その際には工場管理者が立ち会い...」
    • 「製品開発部 (...) 新設された。この採用された外部人材は、(...)製品開発の実務や管理の経験がある。」
  • 答案作成の根拠 C 社が自社企画製品を開発するためには、社内に散在するノウハウを形式知化すると同時に、顧客の深いニーズを組織として吸収する仕組みが不可欠です。

    1. ノウハウの形式知化: まず、これまで工場管理者の個人的な経験やメモ書きに留まっていたレシピや調理ノウハウを、新設された製品開発部が主導して収集・整理し、データベースを構築することが第一歩です。これは企画開発の土台となります。

    2. 顧客ニーズの直接収集: C 社には「販売先料理長が来社して出来栄えをチェックする」という、顧客の極めて質の高い意見(VOC: Voice of Customer)を直接得られる貴重な機会が既に存在します。しかし、現状は工場管理者が一人で対応しており、その知見が属人化しています。この機会を最大限に活用するため、従来の工場管理者に加えて製品開発部の担当者も必ず同席する体制を構築します。

    3. 組織的プロセスの確立: 製品開発部が料理長から直接、評価の理由、改善指示の背景、新たなメニューのアイデアやトレンドなどをヒアリングし、その内容をデータベースに蓄積します。この一次情報と既存のノウハウを掛け合わせることで、単なる受託製造の延長線上ではない、顧客の潜在ニーズを捉えた高付加価値な自社企画製品の開発が可能となります。これにより、属人的な対応から脱却し、組織的な製品開発プロセスを確立することができます。

  • 使用した経営学の知識

    • VOC (Voice of Customer) 分析: 顧客の声を収集・分析し、製品開発やサービス改善に活かす手法。C 社にとって料理長の来社は、最も重要な VOC 収集の場です。
    • SECI モデル: 属人的な暗黙知(料理長とのやり取り)を、製品開発部が同席・記録することで組織の形式知(データベース)へと変換し、新たな企画(創造)に繋げるというプロセス構築にこの考え方が応用できます。
    • 部門間連携: 従来の「工場管理者 対 料理長」という個人間の関係から、「製造部・開発部 対 顧客」という組織的な関係へと深化させることで、開発力を強化します。

第 5 問(配点 30 点)

設問文

食品スーパー X 社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C 社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。この C 社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140 字以内で述べよ。

回答例(140 字)

構想は妥当。理由は ① 既存の多品種少量生産と X 社向けの少品種量産では生産方式が異なり、専用ラインが効率的、②X 社の店舗拡大に対応する生産能力確保のため。留意点は ① 多頻度配送の物流体制構築 ② 外部人材の知見を活かし、パート従業員でも品質を維持できる標準化された生産・品質管理体制の構築。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 既存事業:多品種で少量の食品を受託製造 ホテルや旅館の厨房と同様なつくり
    • 新規事業:10 数店舗まで徐々に拡大したい 納品は...最低午前と午後の配送となる
    • リソース:この採用された外部人材は、中堅食品製造業で製品開発の実務や管理の経験がある
    • 社長の認識:現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場増築などによって生産能力を確保する必要がある
  • 答案作成の根拠

    設問で問われている「妥当性」「理由」「留意点」の 3 点について、与件文の情報を整理して論理的に構成しました。

    1. 妥当性とその理由:

      • 理由 ①(生産方式の違い): 既存事業は、熟練の職人が汎用調理器具を使いこなす多品種少量生産です。一方、スーパー X 社向けの新規事業は、特定の製品を大量に生産する少品種量産が求められます。生産方式が根本的に異なるため、既存ラインでの対応は非効率です。専用ラインを設けることで、効率化とコストダウンが図れ、スーパーの価格要求にも応えやすくなります。
      • 理由 ②(生産能力の確保): X 社は将来的に10 数店舗への拡大を望んでおり、現在の C 社の生産能力では対応が困難です。この成長機会を逃さないためには、工場増築による抜本的な生産能力の増強が不可欠です。
    2. 留意点:

      • 留意点 ①(物流体制): 新規事業では、10 数店舗へ「最低午前と午後の配送」という、既存事業にはない多頻度・多拠点への納品が求められます。生産計画と連携した、新たな物流体制の構築が事業成功の鍵となります。
      • 留意点 ②(管理体制): 新規ラインは「新規採用者中心」となるため、ベテランの経験に頼る既存の管理方法は通用しません。そこで「中堅食品製造業での管理経験」を持つ外部人材の知見を活かし、作業の標準化やマニュアル化を進め、誰が作っても品質を維持できる生産・品質管理体制を構築することが重要です。
  • 使用した経営学の知識

    • 生産方式: 顧客や製品の特性に合わせて生産体制を構築する考え方。既存事業の多品種少量生産(機能別レイアウト)と、新規事業で目指す少品種量産(製品別レイアウト/専用ライン)の違いを明確にすることが、解答の核となります。
    • 規模の経済: 専用設備で大量生産を行うことで、製品 1 個あたりのコストを低減させる効果。スーパーマーケットという価格競争の厳しいチャネルで戦うために不可欠な視点です。
    • サプライチェーン・マネジメント (SCM): 生産から配送までの一連の流れを最適化し、顧客の要求(多頻度納品)に応えつつ、コストを管理する経営手法です。
    • ナレッジマネジメント: 外部人材が持つ形式知(管理手法やノウハウ)を組織内に導入し、属人的な生産体制から脱却を図るプロセスです。

AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

評価の基本方針

  • 模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。
  • あなたの解答の評価は、第一に与件文の記述と設問要求に忠実であるか、第二に中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているかを最優先の基準とします。
  • 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その独自の価値を積極的に評価してください。
  • 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という視点を提供するものとして活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点で私の解答を添削してください。加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイントをバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記のABCDEF 評価基準に沿って行ってください。


ABCDEF 評価基準

  • A 評価 (完璧 / 80 点以上): 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
  • B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点): 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
  • C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点): 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
  • D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点): 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
  • E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点): 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
  • F 評価 (不合格レベル / 49 点以下): 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。


出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で ABCDEF 評価基準の定義を説明します。

1. 設問ごとの添削

模範解答(比較参考用)

回答例と解説の回答例を出力してください。

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模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

  • 評価: この設問の評価を A / B / C / D / E / F で端的に示してください。

  • フィードバック:

  • ① 設問解釈と方向性: 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。

  • ② 与件文の活用: 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。

  • ③ 知識と論理構成: 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。

  • ④ 具体性と表現: 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。

  • **改善提案:どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

2. 総評

  • 総合評価: 全ての設問を考慮した最終評価を A / B / C / D / E / F で示してください。
  • 全体を通しての強み: 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
  • 全体を通しての課題: 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
  • 合格に向けたアドバイス: 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

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