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平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅳ

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# 平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅳ

## 与件文

D 社は、資本金 3 億円、総資産約 26 億円、売上高約 32 億円、従業員 150 名の基礎化粧品(基礎化粧水、乳液、メイク落としなど)を製造する社歴 20 年を超える企業で、工場は大都市圏にあり、商圏はその全域にわたっている。先代社長からの経営政策によって、卸売企業を通さず、町の薬局を 500 店ほど「取扱薬局」とし、直接製品を卸している。D 社の製品はナショナルブランドとしての知名度はないものの、薬局店員が常連客に対面販売のメリットを生かして、この製品の品質がよいこと(角質除去、安全性など)を十分に説明してサンプルの提供も含めて、納得してから購入してもらっている。したがって、単価は他社製品と比較してやや高いものの、地域住民の中高年女性を固定客として安定的に確保している。各薬局にとっても D 社の製品は利益率が高く、また、取扱薬局は 1 つの町や商店街、駅周辺に 1 つと限定されているので、その地域では独占的に販売できる状況であり、D 社は好ましい仕入先として歓迎されてきた。

従来は基礎化粧品という性格上、比較的、製品のライフサイクルが長く、またそれゆえに設備投資の更新もそれほど行うことはなかった。しかし、近年では基礎化粧品といえども、より健康志向、安全志向が進み、大手メーカーが次々に新たな基礎化粧品を市場に投入しており、今後は早急に基礎化粧品に関する新製品開発を進めることが求められている。しかしながら、そのための新製品開発投資や設備投資の負担は、中小企業にとって決して軽いものではなく、より合理的な意思決定を行うための事前評価が望まれる。

また、近年の大手ドラッグストアの進出やナショナルブランド企業間の競争激化、あるいはインターネット販売の普及などによって、伝統的な町の薬局が次々と廃業に追い込まれ、その結果、D 社製品の取扱薬局が減少しており、このままだと今後 D 社の売上高が減少する可能性が高まっている。D 社では、このまま推移した場合の次年度の予想財務諸表を作成した。(平成 18 年度実績、平成 19 年度予想財務諸表参照)

こうした状況に対応するために、昨年度からその地位についた現社長は、新たな基礎化粧品の開発を模索しているが、開発投資負担の問題とともに取扱薬局が減少しているので、同時に新たな販売チャネルを開拓しなければならないとも考えている。その際に、これまでの販売チャネルである取扱薬局と同じ製品を従来の顧客層に対して、新たな販売チャネルで取り扱うこととなれば、取扱薬局との関係を損うことにもなりかねない。そこで、若年層をターゲットとする低価格製品のインターネット販売をビジネスプランとして検討している。この新製品は、肌の保湿性を高める新成分を配合することにより、他社製品との差別化を図ろうとするものである。

D 社では、かねてより当該成分にかかわる基礎研究を進めてきたものの、製品の開発には至っていない。経営者は新製品開発投資および設備投資に関する意思決定に迫られている。

D 社では直面しているさまざまな経営課題について、特に財務的な観点から中小企業診断士に診断・助言を依頼してきた。

### 貸借対照表

(単位:百万円)

|                  | 平成 18 年度 実績 | 平成 19 年度 予想 |                      | 平成 18 年度 実績 | 平成 19 年度 予想 |
| :--------------- | :---------------- | :---------------- | :------------------- | :---------------- | :---------------- |
| **資産の部**     |                   |                   | **負債の部**         |                   |                   |
| 流動資産         | 1,251             | 1,216             | 流動負債             | 717               | 693               |
| 現金等           | 281               | 259               | 支払手形・買掛金     | 317               | 307               |
| 受取手形・売掛金 | 315               | 308               | 短期借入金           | 400               | 386               |
| 有価証券         | 320               | 316               | 固定負債             | 954               | 921               |
| 棚卸資産         | 335               | 333               | 長期借入金           | 954               | 921               |
| 固定資産         | 1,400             | 1,385             | **負債合計**         | 1,671             | 1,614             |
| 土地             | 400               | 400               | **純資産の部**       |                   |                   |
| 建物・機械装置   | 300               | 285               | 資本金               | 300               | 300               |
| 投資有価証券     | 700               | 700               | 利益準備金           | 50                | 52                |
|                  |                   |                   | 別途積立金           | 400               | 400               |
|                  |                   |                   | 繰越利益剰余金       | 230               | 235               |
|                  |                   |                   | **純資産合計**       | 980               | 987               |
| **資産合計**     | 2,651             | 2,601             | **負債・純資産合計** | 2,651             | 2,601             |

(単位:百万円)

|                | 平成 18 年度 実績 | 平成 19 年度 予想 |
| :------------- | :---------------- | :---------------- |
| 減価償却累計額 | 2,100             | 2,115             |

### 損益計算書

(単位:百万円)

|                    | 平成 18 年度 実績 | 平成 19 年度 予想 |
| :----------------- | :---------------- | :---------------- |
| 売上高             | 3,216             | 2,900             |
| 売上原価           | 2,403             | 2,262             |
| 売上総利益         | 813               | 638               |
| 販売費・一般管理費 | 480               | 464               |
| 営業利益           | 333               | 174               |
| 営業外収益         | 36                | 42                |
| 営業外費用         | 171               | 171               |
| 経常利益           | 198               | 45                |
| 特別利益           | 0                 | 0                 |
| 特別損失           | 0                 | 0                 |
| 税引前当期純利益   | 198               | 45                |
| 法人税等           | 79                | 18                |
| 当期純利益         | 119               | 27                |

(単位:人)

|          | 平成 18 年度 実績 | 平成 19 年度 予想 |
| :------- | :---------------- | :---------------- |
| 従業員数 | 150               | 150               |

## 第 1 問(配点 25 点)

D 社の平成 18 年度(実績)および 19 年度(予想)の財務諸表を用いて経営分析を行い、これまでの経営政策を続けた場合に生じると考えられる問題点のうち重要と思われるものを 3 つ取り上げ、問題点 ①、②、③ ごとに、それぞれ問題点の根拠を最も的確に示す経営指標を 1 つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、平成 19 年度分の経営指標値を(b)欄に計算(小数点第 3 位を四捨五入すること)した上で、その問題点の内容について(c)欄に 60 字以内で説明せよ。

## 第 2 問(配点 25 点)

2 か年の財務諸表から、損益分岐点分析を営業利益レベルにおいて行う。なお、変動費率は一定と仮定する。以下の設問に答えよ。

### (設問 1)

変動費率を(a)欄に、固定費を(b)欄に求めよ。なお、変動費率は 1 パーセント未満を四捨五入し、固定費は百万円未満を四捨五入すること。

### (設問 2)

D 社が現在の経営政策をこのまま取り続けるとしたら、どのような状況となるか、この損益分岐点分析に基づいて 60 字以内で説明せよ。

## 第 3 問(配点 25 点)

D 社は、次のようなタイムスケジュールをもつ新製品開発プロジェクトを検討している。

現時点を平成 19 年度期首とする(1 期首)。新製品の研究開発は平成 19 年度(1 期)に行われ、投資額は 4,000 万円である。研究開発の結果によって、生産は製造方法 X または製造方法 Y のどちらかによって行われる。製造方法 X、製造方法 Y の、いずれの結果になるかはそれぞれ確率 1/2 であると判断される。平成 20 年度期末(2 期末)には、おのおのの製造方法に応じた設備投資が必要になる。製造方法 X の場合、設備投資額が 5 億円に抑えられるが、製造方法 Y に必要な投資額は 7 億円となる。平成 21 年度(3 期)より新製品の生産が開始され、トータル 5 年間にわたって確実な営業キャッシュフローが得られる。営業キャッシュフローの大きさは、製造方法 X の場合には毎期 2 億円、製造方法 Y の場合には毎期 1.6 億円である(なお、運転資本の増減等、他の要因は無視できる大きさである)。経営者は研究開発への着手、および研究開発の結果によって選択される設備投資の実行可否の意思決定をしなければならない。必要な資金はともに保有する有価証券を売却して充当する。同業他社平均より資本コスト $r$ は 10%とし、単純化のためすべてのキャッシュフローは期末に生じるものと仮定する。

なお、 $n=5$ 、 $r=0.1$ の年金現価係数 $\sum_{i=1}^{n} \frac{1}{(1+r)^i}$ は 3.7908 である。

#### (図の説明)

タイムスケジュールを示す図。

現時点から 7 期(H25)までの期間が示されている。

- 1 期末(H19)に研究開発投資額として 4,000 万円を投資。
- 2 期末(H20)に、製造方法 X の場合に 5 億円、製造方法 Y の場合に 7 億円の設備投資が行われる。
- 3 期(H21)から 7 期(H25)まで、5 年間にわたり営業キャッシュフローが発生する。
- 製造方法 X の場合、営業 CF は毎期 2 億円。製造方法 Y の場合、営業 CF は毎期 1.6 億円。
- X は製造方法 X を、Y は製造方法 Y を示す。
- CF はキャッシュフローを示す。

### (設問 1)

D 社の新製品開発プロジェクトの平成 19 年度期末(1 期末)での期待正味現在価値を求めよ(四捨五入により百万円単位まで求めること)。

### (設問 2)

D 社は、研究開発への着手および設備投資について、それぞれどのような意思決定を行うべきか、50 字以内で説明せよ。

## 第 4 問(配点 25 点)

開発された新製品はインターネットを新たな販売チャネルとし、ウェブサイトの作成・運営は専門業者に委託する予定である。以下の設問に答えよ。

### (設問 1)

インターネット販売に進出した D 社が、今後留意すべき点について、個人情報の観点から 60 字以内で指摘せよ。

### (設問 2)

D 社の新製品開発プロジェクトが軌道に乗った場合には、この新製品によって獲得した顧客は将来的にもインターネット販売を利用すると予想される。したがって、販売の主力は対面販売からインターネット販売へと置き換えられて行くと考えられる。これにともなって、D 社の資産と費用の構造は、どのように変化すると予想されるか。40 字以内で説明せよ。

# 平成 19 年度(2007 年度) 事例 Ⅳ 解答解説

## 第 1 問(配点 25 点)

**設問再掲**:平成 18 年度(実績)と 19 年度(予想)の財務諸表から、従来の経営政策を続けた場合の重要な問題点を 3 つ挙げ、根拠となる経営指標(名称・値)と問題点の内容を説明せよ。

### 回答

#### ①:問題点 1 (収益性の悪化)

- (a) **売上高経常利益率**
- (b) **1.55 (%)** (計算過程:45 百万円 ÷ 2,900 百万円 × 100)
- (c) **取扱薬局の減少による売上高の減少と高コスト体質により、収益性が大幅に悪化している。** (53 字)

#### ②:問題点 2 (効率性の悪化)

- (a) **総資産回転率**
- (b) **1.11 (回)** (計算過程:2,900 百万円 ÷ 2,601 百万円)
- (c) **売上高が減少している一方で、資産規模が縮小せず、資産が効率的に売上に結びついていない。** (57 字)

#### ③:問題点 3 (安全性の悪化)

- (a) **インタレスト・カバレッジ・レシオ**
- (b) **1.02 (倍)** (計算過程:174 百万円 ÷ 171 百万円)
- (c) **営業利益が支払利息(営業外費用)と同水準まで低下しており、利払いの安全性が著しく低い。** (57 字)

### 解説

- **指標選定理由**:与件文から、D 社は取扱薬局の減少により「売上高が減少する可能性が高まって」おり、H19 予想財務諸表では H18 実績に対し売上高・各利益が大幅に減少している。この「収益性」「効率性」「安全性」の 3 観点からの悪化を示す指標を選定した。
- **算定ルール**
  - ① 売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
    - H18 実績:198 ÷ 3,216 × 100 = 6.16 (%)。H19 予想の 1.55% への悪化は深刻である。
  - ② 総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
    - H18 実績:3,216 ÷ 2,651 = 1.21 (回)。H19 予想は 1.11 回であり、資産効率が低下している。
  - ③ インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益 ÷ 営業外費用(支払利息)
    - H18 実績:333 ÷ 171 = 1.95 (倍)。H19 予想は 1.02 倍と、本業の利益で利息を賄うのがやっとの状態である。
- **丸め・単位**:(b)欄は指示(小数第 3 位四捨五入)に基づき、小数第 2 位まで表示。
- **解釈**:従来の経営政策(薬局への対面販売ルート)が、ドラッグストアの進出や薬局の廃業という外部環境の変化によって機能不全に陥りつつある。その結果、売上減少と利益の急減を招き、財務体質全体が悪化している状況が、上記 3 指標から読み取れる。

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## 第 2 問(配点 25 点)

**設問再掲(簡潔)**:2 か年の財務諸表から、営業利益レベルで損益分岐点分析を行う。(設問 1)変動費率と固定費を求めよ。(設問 2)このままの経営政策を続けた場合の状況を 60 字以内で説明せよ。

### (設問 1)

**回答**

- (a) **50 (%)**
- (b) **1,285 (百万円)**

**解説**

1.  **変動費率 (v) と固定費 (F) の算定**
    営業利益レベルでの CVP 分析のため、2 期間の売上高 (S) と営業利益 (P) を用いて連立方程式を解く。
    - $P = S \times (1 - v) - F$
    - (H18) $333 = 3,216 \times (1 - v) - F$ ... ①
    - (H19) $174 = 2,900 \times (1 - v) - F$ ... ②
2.  **変動費率 (v)**
    ① - ② より:
    - $333 - 174 = (3,216 - 2,900) \times (1 - v)$
    - $159 = 316 \times (1 - v)$
    - 限界利益率 $(1 - v) = 159 \div 316 = 0.50316...$
    - 変動費率 $v = 1 - 0.50316... = 0.49683...$
    - 指示(1 パーセント未満を四捨五入)より、(a) **50%** となる。
3.  **固定費 (F)**
    $v = 0.49683...$ を ② に代入:
    - $F = 2,900 \times (1 - 0.49683...) - 174$
    - $F = 2,900 \times 0.50316... - 174$
    - $F = 1,459.17... - 174 = 1,285.17...$ (百万円)
    - 指示(百万円未満を四捨五入)より、(b) **1,285 百万円** となる。

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### (設問 2)

**回答**

- **売上高が損益分岐点(約 2,554 百万円)に接近しつつあり、更なる売上減少で赤字転落の危険性が高い状況。** (60 字)

**解説**

1.  **損益分岐点売上高 (BEP) の計算**
    - BEP = 固定費 / 限界利益率
    - BEP = 1,285.17... 百万円 / 0.50316... = 2,553.8... 百万円
2.  **状況の解釈**
    - 平成 19 年度の予想売上高 2,900 百万円は、損益分岐点売上高(約 2,554 百万円)を上回っており、営業利益 174 百万円(黒字)を確保している。
    - しかし、与件文には「このままだと今後 D 社の売上高が減少する可能性が高まっている」とある。
    - H19 予想の安全余裕率((2,900 - 2,554) / 2,900)は約 11.9% と低水準であり、売上がさらに減少すれば、容易に営業赤字に転落する危険な状況にあることを示している。

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## 第 3 問(配点 25 点)

**設問再掲(簡潔)**:新製品開発プロジェクトについて、(設問 1)平成 19 年度期末(1 期末)での期待正味現在価値を求めよ。(設問 2)研究開発着手と設備投資の意思決定を説明せよ。

### (設問 1)

**回答**

- **77 (百万円)**

**解説**

1.  **前提整理**
    - 評価時点:t=1 (H19 期末)
    - 研究開発投資 (t=1): $I_R = 4,000$ 万円
    - 設備投資 (t=2):
      - X 案 (確率 0.5): $I_X = 50,000$ 万円
      - Y 案 (確率 0.5): $I_Y = 70,000$ 万円
    - 営業 CF (t=3 ~ 7、5 年間):
      - X 案: $CF_X = 20,000$ 万円/年
      - Y 案: $CF_Y = 16,000$ 万円/年
    - 資本コスト (r): 10%
    - 年金現価係数 (n=5, r=10%): 3.7908
2.  **t=2 (H20 期末) 時点での各案の NPV 計算**
    t=2 を起点とし、t=3 ~ 7 の CF(t=2 から見て 1 年後からの 5 年年金)を現在価値に割り引く。
    - $NPV_{X, t=2} = -I_X + CF_X \times (\text{年金現価係数})$
      - $= -50,000 + 20,000 \times 3.7908$
      - $= -50,000 + 75,816 = 25,816$ 万円
    - $NPV_{Y, t=2} = -I_Y + CF_Y \times (\text{年金現価係数})$
      - $= -70,000 + 16,000 \times 3.7908$
      - $= -70,000 + 60,652.8 = -9,347.2$ 万円
3.  **t=2 時点の意思決定**
    - X 案: $NPV_{X, t=2} > 0$ のため、**投資を実行**する。
    - Y 案: $NPV_{Y, t=2} < 0$ のため、**投資を中止**する(価値は 0)。
4.  **t=1 (H19 期末) 時点の期待価値 (EV) 計算**
    t=2 での各案の価値を t=1 に割り引いたものの期待値。
    - $EV_{t=1} = [ 0.5 \times (NPV_{X, t=2} \div (1+r)) ] + [ 0.5 \times (0 \div (1+r)) ]$
    - $= [ 0.5 \times (25,816 \div 1.1) ] + [ 0.5 \times 0 ]$
    - $= 0.5 \times 23,469.09... = 11,734.545...$ 万円
5.  **t=1 (H19 期末) 時点の期待正味現在価値 (E[NPV]) 計算**
    t=1 の期待価値から、t=1 で支出する研究開発投資を引く。
    - $E[NPV_{t=1}] = EV_{t=1} - I_R$
    - $= 11,734.545... - 4,000 = 7,734.545...$ 万円
    - 四捨五入により百万円単位で、**77 百万円** となる。

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### (設問 2)

**回答**

- **期待正味現在価値が正のため研究開発に着手し、X 法なら設備投資を実行、Y 法なら中止する。** (50 字)

**解説**

- **研究開発投資 (t=1) の意思決定**
  (設問 1) で計算した通り、平成 19 年度期末 (t=1) 時点の期待正味現在価値は 77 百万円とプラスであるため、この研究開発プロジェクトには着手すべきである。
- **設備投資 (t=2) の意思決定**
  研究開発の結果、製造方法 X となった場合、その時点(t=2)での正味現在価値は 25,816 万円とプラスになるため、設備投資を**実行**すべきである。
  製造方法 Y となった場合、その時点(t=2)での正味現在価値は-9,347.2 万円とマイナスになるため、設備投資は**中止**すべきである。

## 第 4 問(配点 25 点)

**設問再掲(簡潔)**:(設問 1)インターネット販売進出にあたり、個人情報の観点から留意すべき点を 60 字以内で指摘せよ。(設問 2)インターネット販売が主力となった場合の資産・費用の構造変化を 40 字以内で説明せよ。

### (設問 1)

**回答**

- **顧客の氏名・住所・購買履歴等の個人情報を適切に管理し、情報漏洩を防止する体制を構築する点。** (60 字)

**解説**

- インターネット販売では、顧客の氏名、住所、連絡先、クレジットカード情報、購買履歴といった重要な個人情報を収集・管理することになる。
- これらの情報が外部に漏洩した場合、顧客からの信頼失墜、損害賠償請求、ブランドイメージの毀損など、企業経営に深刻なダメージを与える。
- したがって、個人情報保護法の遵守はもちろんのこと、セキュリティ対策の強化、社内管理体制の整備、委託先(ウェブサイト運営専門業者)の管理監督を徹底することが極めて重要である。

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### (設問 2)

**回答**

- **資産は無形固定資産が増加し、費用は変動費が減少し固定費が増加する。** (39 字)

**解説**

- **資産の変化**
  - **増加**:インターネット販売用のウェブサイトや顧客管理システム等の構築・開発が必要となるため、**無形固定資産**(ソフトウェアなど)が増加する。
  - **減少**:従来の薬局ルート(卸売)では売掛金の回収サイトが長かった可能性があるが、ネット販売(BtoC)では決済(クレカ、代引き等)が早まるため、**売上債権(受取手形・売掛金)**が減少する可能性がある。
- **費用の変化**
  - **増加**:ウェブサイトの作成・運営を専門業者に「委託」するため、この**委託費**(多くは固定費)が発生・増加する。また、ネット広告宣伝費も増加すると予想される。
  - **減少**:従来の薬局ルート(対面販売)にかかっていた販売員への説明コストや、薬局への卸売マージン(変動費的要素)が、直販(ネット販売)になることで削減される。これにより**変動費(率)**は減少すると考えられる。
- **結論**:総じて、資産面では無形固定資産が増え、費用面では変動費が減る一方で固定費が増加し、**営業レバレッジが高まる**(損益分岐点売上高が上昇する)構造に変化すると予想される。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験(事例 Ⅳ:財務・会計)の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述・数値と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。

**【記述問題の評価方針】**

- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

**【計算問題の評価方針】**

- 計算問題は、**最終的な計算結果**だけでなく、そこに至る**計算過程(プロセス)**を重視して評価します。
- **【計算過程スキップの例外】**
  - ただし、あなたの回答において `(b)計算過程 スキップ`(あるいは `#### (b)計算過程 スキップ` など、スキップの意図が明確な記載)がされている場合に限り、**(a) の計算結果のみを評価対象とします。**
  - この場合、計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、計算結果が間違っていれば計算過程にも誤りがあったものとして評価します(詳細な部分点評価は行いません)。
- **【計算過程の記載がある場合】**
  - たとえ最終的な数値が間違っていても、計算の**基本的な考え方****立式****使用した数値(与件文からのピックアップ)**が正しければ、**部分点を加点**する視点で評価します。
- **【共通事項】**
  - **第 1 問設問 1**の財務分析指標の選択のように、**複数の正解(別解)が想定される場合**は、模範解答と異なっていても、与件文から妥当性が読み取れれば正解として評価します。
  - **CVP****NPV**など、解法がほぼ一意に決まる問題は、**標準的な解法ステップ**を踏めているかを確認します。(※スキップの場合は結果から推定します)

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成・計算過程が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成・計算過程が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻や計算ミスがない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足やケアレスミスが散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。計算の前提条件を誤解している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例(計算問題の場合は(a)解答欄と(b)計算過程)を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

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**【計算問題の場合】 (例:第 1 問設問 1、第 2 問、第 3 問)**

- **① 計算結果の正誤:**
  最終的な数値、単位(円、千円、基など)、端数処理(切り上げ、四捨五入など)は設問要求通りで、模範解答と一致しているか。
- **② 計算過程(プロセス)の評価:**
  - **【計算過程の記載がある場合】**
    - **立式・アプローチ:** 問題を解くための基本的な考え方(CVP、NPV、LP、財務指標の定義など)は正しいか。
    - **数値のピックアップ:** 与件文や資料から、計算に必要な数値を正しく(漏れなく、間違えなく)引用できているか。(例: NPV 計算での機会費用、運転資本、設備売却益の税金計算など)
    - **計算の正確性:** 途中の計算ステップにミスはないか。
  - **【計算過程が `スキップ` の場合】**
    - **(a) 計算結果の正誤に基づき、本項目も評価します。**
    - (a) が正解の場合:計算過程も正しかったものとみなし、高い評価(A または B 評価相当)とします。
    - (a) が不正解の場合:計算過程のいずれかのステップ(立式、数値ピックアップ、計算正確性)に誤りがあったものとみなし、評価を下げます。この場合、具体的な誤り箇所の特定は行いませんが、推定される原因を「④ 改善提案」で指摘します。
- **③ 指標選択の妥当性 (第 1 問設問 1 のみ):**
  模範解答と異なる指標を選択した場合、その指標が D 社の特徴(優れている点・劣っている点)を示す上で妥当か、与件文から根拠を見いだせるか(別解として成立するか)を評価する。
- **④ 改善提案(失点・部分点分析):**
  - **失点箇所:** どこで間違えたか(数値の誤用、立式の誤り、計算ミス、端数処理ミスなど)を具体的に指摘する。(※ `スキップ` されていて結果が不正解の場合、推定される誤りの原因を指摘します)
  - **部分点獲得可能性:** 「ここまでは合っているので、配点〇点中 △ 点は期待できる」という視点で評価する。(※ `スキップ` の場合は適用されません)
  - **改善点:** 次に同じミスをしないために、どの数値に着目すべきか、どの公式を確認すべきかを具体的にアドバイスする。

---

**【記述問題の場合】 (例:第 1 問設問 2、第 4 問)**

- **① 設問解釈と方向性:**
  設問の意図(問われていること)を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。
- **② 与件文・財務諸表の活用:**
  解答の根拠として、与件文中のどの記述(SWOT)や、どの財務数値(計算した指標など)を効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:**
  診断士としての財務・会計知識を適切に応用できているか。「A(財務状況)だから B(助言)」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。
- **④ 具体性と表現:**
  抽象論に終始せず、D 社の状況に合わせた具体的な記述ができているか。設問の字数制限(例: 80 字)の中で、要点を簡潔にまとめられているか。
- **⑤ 改善提案:**
  どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文(または財務指標)のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。

---

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点(計算の正確性、与件文の読み取り、論理構成など)を挙げてください。
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点(ケアレスミス、時間配分、特定の分野の知識不足など)を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、特に事例 Ⅳ の学習(計算練習、過去問演習の方法など)について具体的なアドバイスをお願いします。

# あなたの回答

**スキップ機能について**  
計算過程の記載が求められる設問((b)計算過程)において、「スキップ」と記載した場合、(a) の計算結果(解答)のみをもって採点されます。計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、結果が誤っていれば過程も誤っていたものとして評価されます(部分点評価は行われません)。

## 第 1 問(配点 25 点)

### ①:問題点 1

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 財政状態および経営成績(60 字以内):

### ②:問題点 2

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 財政状態および経営成績(60 字以内):

### ③:問題点 3

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 財政状態および経営成績(60 字以内):

## 第 2 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### (a) 変動費率

(%)

#### (b) 固定費

(百万円)

### (設問 2)

## 第 3 問(配点 25 点)

### (設問 1)

(百万円)

### (設問 2)

## 第 4 問(配点 25 点)

### (設問 1)

### (設問 2)

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