令和 6 年度(2026 年度)事例 Ⅲ
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# 令和 6 年度(2026 年度)事例 Ⅲ
## 与件文
【企業概要】
C 社は、資本金 5,000 万円、従業員 70 名、年商約 14 億円の搬送機器製造業である。会社組織は、総務部、設計部、製造部、営業部で構成されている。搬送機器とは、工場や物流倉庫などで製品・商品や資材などを工程間、設備間で移動させる機器であり、コンベヤ式や昇降式、パイプライン式など、移動する対象の形状や大きさ、移動方法に合わせたさまざまな形態のものがある。
C 社は、工作機械メーカーや物流機器メーカーが設計、製造、据え付けする加工機械などの工場設備や、自動仕分け機などの物流設備に組み込まれるローラコンベヤやベルトコンベヤを受託生産している。
C 社社長は、工作機械メーカー X 社で、工作機械を設置する顧客企業の依頼を受けて、搬送機器を含む工場設備レイアウト設計を担当し、工場の生産性を高めることを顧客に提案してきた。その経験を生かして 2011 年に C 社を設立した。設立当初は賃貸工場で中古機械を活用し、X 社が設計するコンベヤの特注品の受託生産からスタートした。その後、C 社社長の搬送機能についての有効な提案を受けられることもあり、X 社以外の工作機械メーカーや物流機器メーカーの特注品受託生産も獲得するようになった。
受注量の増加に対応するため、工業団地に用地を取得して NC 加工機などの生産設備を導入するとともに、設計要員や製造要員などの技術者を中心に採用し生産拡大を図ってきた。現在の取引先企業数は、工作機械メーカー 5 社、物流機器メーカー 3 社であり、そのうち X 社からの受注金額が多く全体の 6 割を超えている。
X 社では、見込生産の搬送機器を中国企業に生産委託していたが、近年現地生産コストが上昇し、さらにコロナ禍以降納品が不安定な状態になったため、生産を国内に移管したことから、C 社の受注量は近年さらに増加傾向にある。
【受注、設計のプロセス】
受注窓口の営業部に引き合いがあると、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を確認して、見積書を作成し、顧客企業との価格交渉を経て契約をする。見積金額は、過去に製造した搬送機器の契約金額を参考に、営業部員が材料費と社内加工費、その他の経費を合計して算出し、最終契約金額も含め営業部長が決裁している。
最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは一応行われているものの、契約金額は現状のコスト高には対応できていない。契約後、営業部は、受注番号を付与して受注管理システムに受注情報を入力し、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を設計部に引き渡す。受注番号は、製造部では製造番号として使われる。
営業部が受注情報を入力すると、設計部では製品仕様書および製品図面に基づいて製作図面を作図し、部品構成表を作成する。部品構成表はデジタルデータとして、製造部での材料と外注品の発注、在庫管理に活用されている。
【生産の現状】
製造部は、生産管理課、資材管理課、機械加工課、製缶課、組立課で構成されている。C 社が製造するコンベヤ製品は、ローラやベルトからなる搬送体、搬送体を回転させるモーターを含む駆動部、搬送体と駆動部を支えるフレームの 3 つの構造体によって構成されている。これらの構造体については、フレームは主に製缶課で、駆動部および搬送体の加工は機械加工課で内製化されており、その他の外注部品やモーターなどの購入品を加えた最終の組立を組立課が行っている。
設計部で製作図面が完成すると、生産管理課で必要とする各製造工程の工数計画を立て、顧客要求納期を基準として製造番号ごとの大日程計画を策定し、製造部各課に調達指示、生産指示を出す。その大日程計画と設計部で作成された部品構成表に従って、資材管理課では必要材料と外注品の発注を行い在庫管理をする。
機械加工課、製缶課、組立課の製造工程では、生産管理課で作成される大日程計画に準じて製造を行うが、詳細の進捗管理など生産統制は製造部長以下、製造部各課長が参加して週 1 回週末に開催される生産会議で調整される。生産会議では、各製造番号の作業進捗状況の確認、各製造番号の材料や外注品の納品状況の確認などを行い、次週 1 週間の各工程の週次日程計画表を作成する。週次日程計画表の各作業の工数見積もりは、製造部各課長の経験を基に作成されている。また、顧客からの設計変更や納期変更などが生じた場合など、生産会議には必要に応じて設計担当者が参加し、変更内容を周知して作業順序などの確認を行う。
近年受注量が増加し、顧客から納期の短縮を要請されることもあり、大日程計画や週次日程計画などの工程管理の混乱が生じている。現在は何とか納期を確保できているが、今後この傾向が顕著になった場合、現在の管理では納期遅延が生じる恐れがあり、製造部では IT 利用も図りながらその対応を検討している。
生産工程では、製缶工程(製缶課)の残業や休日出勤が多く、納期対応のため週次日程計画表の変更が常態化している。前工程の機械加工工程(機械加工課)や後工程の組立工程(組立課)では、不適合品発生などの特別な場合を除き残業や休日出勤は生じていない。
製造完了後は製造部で最終検査を行い、顧客企業が指定する場所に納品し、据付は顧客企業が行う。据付後のメンテナンスについては顧客企業が行うが、X 社の場合は C 社の営業部が担当している。
## 設問文
### 第 1 問(配点 20 点)
C 社の強みを 80 字以内で述べよ。
### 第 2 問(配点 20 点)
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C 社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100 字以内で助言せよ。
### 第 3 問(配点 20 点)
C 社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を 100 字以内で助言せよ。
### 第 4 問(配点 20 点)
C 社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を 120 字以内で助言せよ。
### 第 5 問(配点 20 点)
C 社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120 字以内で助言せよ。
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 20 点)
C 社の強みについて、分析する能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 20 点)
コロナ禍以降の増加傾向にある受注量に対応するための C 社製造工程の課題を整理し、生産能力向上を図る工程改善の進め方について、助言する能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 20 点)
受注量の増加や納期短縮要請などの影響で混乱している C 社製造部の工程管理業務の課題を整理し、その改善の進め方について、助言する能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 20 点)
最近の材料費や人件費の高騰に対応するために、C 社の原価管理および契約プロセスなどの課題を整理し、顧客企業との価格交渉を円滑に行うために必要な社内の事前対策について、助言する能力を問う問題である。
### 第 5 問(配点 20 点)
小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大しようとする C 社社長の構想について、C 社の経営資源の課題などを整理し、成功するために必要な推進方法を助言する能力を問う問題である。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 20 点)
### 第 2 問(配点 20 点)
### 第 3 問(配点 20 点)
### 第 4 問(配点 20 点)
### 第 5 問(配点 20 点)
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。