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令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅱ

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# 令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅱ

## 与件文

B 社は 1953 年に創業し、資本金 700 万円、従業者数 12 人(パート・アルバイト含む)で、皿や茶碗など陶磁器の卸売業者である。現在は初代の息子が 2 代目社長を務めているが、初代の孫を 3 代目社長予定者(以下、3 代目)として家業に呼び戻し、6 年が経ったところである。3 代目は現在 35 歳であるが、陶磁器にも家業にも興味がなかったことから高校卒業後に地元を離れ、ファッション業界で働いていた。

B 社が所在する X 市は古くから為政者によって陶磁器の産業化が図られており、陶磁器の産地として知られる。X 市は自然環境に恵まれているが、大消費地からもそれほど離れていない。そのため、この地域の陶磁器は、芸術品としてよりも日用品として生産されてきた歴史が長く、地域の名前を冠した「X 焼」という呼称で流通してきた。B 社の取扱商品のほとんどはこの X 焼である。

国内の多くの地域における陶磁器と同様に、X 焼の生産は分業制によって行われる。その生産体制は、陶石から陶土を作る「陶土屋」、陶磁器の石膏型を作る「型屋」、型から生地を作る「生地屋」、生地を焼いて絵付けをする「窯元」などからなる。X 市には昔からこれらの事業者が集積し、地場産業を形成してきた。

X 市の窯元数は、江戸時代の 2 ~ 3 軒から明治期に 20 軒、最盛期の 1980 年代には 100 軒強に増え、最近でも 50 軒ほど存在する。ただし、その内実には大きな変化が生じている。1980 年代は一窯元当たり 10 ~ 20 人の陶工(陶磁器の製作者)を抱えていたのに対し、今日では一窯元当たり 1 ~ 2 人と零細になっているからである。多くの窯元が担う X 焼は図柄や色彩面で決まりを設けず、新しい作風を受け入れる土壌がある。このため、X 市にはクリエイター志望の移住者が窯元を開くケースが見られる。

X 市には、こうした新規参入の窯元と歴史的に徐々に規模を縮小してきた窯元が混在している。窯元が零細化した影響は、川上に当たる陶土屋や型屋、生地屋にも及ぶ。B 社はいわゆる産地問屋と呼ばれる卸売業者である。その事業内容は、X 市にある複数の窯元から陶磁器を集めて大消費地の陶磁器卸売業者に販売したり、百貨店やインテリアショップなど小売業のバイヤーや法人などの買い手からの注文をとりまとめて窯元に伝えたり、問屋オリジナル商品を企画して窯元に生産委託することである。また、問屋ではあるが、地元では自前の店舗を構え、業者のみならず一般の消費者向けにも販売を行っている。

B 社の経営も時代の波を受けてきた。創業期には景気の好転と高度経済成長を背景に、X 焼を販売しているだけで事業を拡大することができた。1960 年代以降は、プラスチックの普及や日本の食卓における和食率の低下といったライフスタイルの変化はあったものの、結婚式の引き出物や法人の贈答品需要の増加に支えられて成長できた。1970 ~ 1980 年代には、他の地域の陶磁器卸売業者と組んで、北米向け輸出にも積極的に取り組んだ。ところが、1990 年代に入ると内需不振とともに、安価な外国製陶磁器の輸入が増加し始めた。同じ時期には 100 円ショップが台頭し、安価かつデザイン性に富んだ外国製陶磁器を消費者が容易に購入できる環境ができあがった。高齢化と人口減少が進む社会では、陶磁器の新規需要も買い替え需要も拡大が見込めない。B 社の経営状態も 1990 年代半ば以降、徐々に低迷し始め、2000 年代からは悪化の一途をたどった。B 社と同じような産地問屋は、最盛期には X 市に 11 社ほどあったが減少し、今は B 社を含め 4 社である。

X 市では、1960 年代から大型連休に X 焼の陶磁器祭りを開催している。この祭り期間は自由に出入りできる窯元もあるほか、産地問屋や窯元が仮設の露店を構え、消費者に直接販売を行う。現在では幅広い年齢層の食器愛好家が 20 万人前後集まる大規模なイベントになった。しかし、最近では産地問屋が少なくなったことから X 焼に関する社会全般への情報発信が滞り、販路が細っている。窯元がオンラインで自らの商品をアピールすることも可能だが、規模が零細であり、生産活動も行う傍ら、頻繁な商品情報の更新を行うのは至難の業だ。

6 年前、3 代目は、手の打ちようがなくなった父親から「会社を助けてほしい」と懇願されて地元に戻った。実家に戻ったあいさつを兼ねて、3 代目はすぐさま地元窯元の商品や自社オリジナル商品のサンプルを持って大消費地の陶磁器卸売業者へ営業に出向いた。そこには似たようなデザインの陶磁器がすでにあり、「新鮮味もないし、安くもない」と一刀両断の扱いを受けた。

失意の 3 代目であったが、その直後、ファッション業界での経験を買われ、地元で新規開業するデザイナーズホテルの仕事に加わった。そのホテルは 1 日限定 5 組で全室に温泉をしつらえ、和とアジアンテイストを融合したプライベート感あふれる空間を提供し、地元食材を中心とした食事にもこだわることをコンセプトとしていた。3 代目がここで使われるオリジナルの食器の担当を任されて企画し、地元の窯元に生産を委託したところ、その食器はホテルの経営者や宿泊客から高い評価を得た。3 代目は、ホテルの料理長との綿密な打ち合わせを重ね、盛り付け映えや写真映えを考え抜き、季節感や月ごとに変わる料理内容に合わせた色や形の食器を提案し続けた。この取引自体は小規模だったが、旅行の雑誌やウェブサイトなどに取り上げられたホテルの情報を見て、3 代目の元には別の宿泊施設や飲食店からオリジナル食器の提案依頼が入り始めた。かつて地元を出て行った 3 代目が今までなかったようなセンスを持ち込んで X 焼と向き合う真剣な姿に、窯元をはじめ、この地で地場産業に携わってきた人々も温かい態度で接するようになった。3 代目が B 社をこの路線で立て直せるかもしれないと思い始めた矢先、コロナ禍に見舞われた。

新たな挑戦の可能性をコロナ禍に阻まれた 3 代目は落胆し、自社の存在感をアピールするためにオンラインを活用する方法について中小企業診断士に相談した結果、3 代目は、オンライン動画サイトに掲載するコンテンツをとりあえず 2 本作った。1 本目は、家庭料理でも見違えるほどおいしそうに見える食器への盛り付け方を紹介する動画を作った。すると思いの外、再生回数が伸び、コロナ禍で家庭に関心を向けるようになった若者と見られる視聴者や海外の人々から、驚きや感動を表すコメントが書き込まれた。2 本目は、X 市の郷土料理と X 焼を紹介する動画にした。X 市には、あぶじっくり炙った食材を地元の発酵調味料と混ぜ合わせて食べる郷土料理がある。3 代目はこの動画で、B 社オリジナルの陶磁器を直接ガスコンロに乗せればこの料理が家庭でも簡単に作れると実演して見せた。動画公開後の B 社には、旅先で食べたこの味わいを自宅で再現したいという視聴者からの問い合わせが相次いだ。

自分のセンスが間違っていないと確信した 3 代目は、オリジナルの X 焼の企画と市内の窯元への生産委託を地道に続け、X 焼の地位向上のために尽力すると決めた。まず、古びた自社店舗を建て直し、明るく開放感のあるスタイリッシュな空間に切り替えたほか、自社の扱う X 焼で軽食を提供するカフェスペースも併設した。長らく会社を取り仕切ってきた 2 代目社長は、事業内容が卸売業であることから、自社ホームページには会社概要と主要取引金融機関や大口取引先の記載さえあればよいと考えていた。しかし、動画の反響を通してオンラインの有用性を痛感した 3 代目は、ホームページをリニューアルし、自社が扱う X 焼を販売する EC サイトを開設することにした。

3 代目は B 社の将来を賭けて、中小企業診断士にさらに相談を続けることにした。

## 設問文

### 第 1 問(配点 20 点)

B 社の現状について、SWOT 分析をせよ。各要素について ① ~ ④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。

### 第 2 問(配点 25 点)

X 市は、ふるさと納税の返礼品として X 焼を活用したいと考えている。現在でも市の返礼品の中に X 焼はあるが、全国の返礼品の中で埋もれている状態にある。3 代目は、X 市から「返礼品の中でもっと目立ち、市と X 焼のファンを増やすような返礼品の企画を考えてほしい」と依頼を受けた。ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して、返礼品の企画を 100 字以内で提案せよ。

### 第 3 問(配点 25 点)

X 焼には窯元それぞれの魅力があるため、3 代目は、消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会をつくりたいと思っている。しかし、陶磁器祭りで接客をしていると、「あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない」と購入をためらう食器愛好家の声をよく耳にする。3 代目は、自社や窯元の事業機会拡大を図る一方、こうした食器愛好家のニーズを充足する新規事業を手がけたいと考えている。どのような事業内容にすべきか、100 字以内で提案せよ。

### 第 4 問(配点 30 点)

EC サイトの新規顧客は増えたが、3 代目は顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさも感じ始めた。3 代目は、今後は、X 市の地元で開く店舗と EC サイトの両方を利用する顧客を増やしていきたいと考えるようになった。B 社にはどのような施策が必要か、150 字以内で具体的に提案せよ。

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 20 点)

B 社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。

### 第 2 問(配点 25 点)

B 社の強みと B 社が所在する X 市の課題を把握し、B 社の商品企画について助言する能力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 25 点)

飽和市場において新たな需要を喚起する新規事業について、B 社に助言する能力を問う問題である。

### 第 4 問(配点 30 点)

顧客接点を強化する施策について、チャネル戦略の観点から B 社に助言する能力を問う問題である。

# 令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅱ 回答と解説

## 第 1 問(配点 20 点)

### 設問文

B 社の現状について、SWOT 分析をせよ。各要素について ① ~ ④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。

### 回答例

- **① 強み(38 字):3 代目の企画力と発信力、及びデザイナーズホテル等の実績。窯元等との良好な関係。**
- **② 弱み(40 字):卸売業の体質が残り、BtoC のノウハウやオンラインを活用した販売体制が未熟な点。**
- **③ 機会(40 字):クリエイター志望の移住者による窯元の新規参入とオンラインでの新たな顧客層の開拓。**
- **④ 脅威(38 字):人口減少による国内市場の縮小、安価な輸入品との競合、産地の情報発信力の低下。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - **強み**:「ファッション業界での経験」「デザイナーズホテルの仕事に加わった」「オリジナルの食器の担当を任されて企画」「ホテルの経営者や宿泊客から高い評価を得た」「オンライン動画サイトに掲載」「再生回数が伸び」「窯元をはじめ、この地で地場産業に携わってきた人々も温かい態度で接するようになった」
  - **弱み**:「産地問屋と呼ばれる卸売業者」「2 代目社長は、事業内容が卸売業であることから、自社ホームページには会社概要と…さえあればよいと考えていた」「動画の反響を通してオンラインの有用性を痛感した 3 代目は、ホームページをリニューアルし…EC サイトを開設することにした」
  - **機会**:「X 市にはクリエイター志望の移住者が窯元を開くケースが見られる」「コロナ禍で家庭に関心を向けるようになった若者と見られる視聴者や海外の人々から、驚きや感動を表すコメントが書き込まれた」
  - **脅威**:「高齢化と人口減少が進む社会」「安価な外国製陶磁器の輸入が増加」「産地問屋が少なくなったことから X 焼に関する社会全般への情報発信が滞り、販路が細っている」

- **答案作成の根拠**

  - **強み**: 3 代目が持ち込んだ外部の知見(企画力・発信力)に加え、それが具体的な「実績」として認められている点、さらに事業推進の基盤となる産地内の「良好な関係」まで含めています。これらは今後の事業展開における重要な内部資源となります。
  - **弱み**: 2 代目の考え方に代表される、長年の BtoB 卸売業に特化した「事業構造」そのものを弱みと捉えています。その結果として、消費者向けのデジタルマーケティング(EC サイト等)への取り組みが遅れた、という因果関係を明確に示しています。
  - **機会**: X 焼産地の内部におけるポジティブな変化(クリエイターの新規参入)と、市場(顧客)におけるポジティブな変化(オンラインでの新規顧客層)の 2 つの側面から機会を捉えています。これらは 3 代目の強みを活かせる領域です。
  - **脅威**: マクロ環境である国内市場の縮小や輸入品との競合に加え、B 社が属する X 焼産地そのものが直面している「情報発信力の低下」という、より直接的な脅威を指摘しています。産地問屋である B 社にとって、産地全体の地盤沈下は深刻な経営課題です。

- **使用した経営学の知識**
  - **SWOT 分析**: 企業の経営戦略を策定する際に用いられるフレームワークです。企業の**内部環境**を「**強み (Strength)**」と「**弱み (Weakness)**」に、**外部環境**を「**機会 (Opportunity)**」と「**脅威 (Threat)**」に分類・整理することで、自社の現状を客観的に把握し、今後の戦略の方向性を検討します。

## 第 2 問(配点 25 点)

### 設問文

X 市は、ふるさと納税の返礼品として X 焼を活用したいと考えている。現在でも市の返礼品の中に X 焼はあるが、全国の返礼品の中で埋もれている状態にある。3 代目は、X 市から「返礼品の中でもっと目立ち、市と X 焼のファンを増やすような返礼品の企画を考えてほしい」と依頼を受けた。ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して、返礼品の企画を 100 字以内で提案せよ。

### 回答例(100 字)

**3 代目の企画力とクリエイター窯元を掛け合わせ、伝統と革新を融合した限定品を開発。作り手の想いや地域の物語を伝える動画で訴求し、所有する喜びと、料理が映える美しさを提供。これにより市のファンを創造する。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して」
  - 「市と X 焼のファンを増やすような返礼品の企画」
  - 強み関連:「ファッション業界での経験」「盛り付け映えや写真映えを考え抜き」「オンライン動画サイトに掲載するコンテンツ」「再生回数が伸び」
  - 機会関連:「X 市にはクリエイター志望の移住者が窯元を開くケースが見られる」「新しい作風を受け入れる土壌がある」

- **答案作成の根拠**
  本提案は、設問で指定された「感覚価値」と「観念価値」を提供し、「市と X 焼のファンを増やす」という目的を達成するため、SWOT 分析で明らかになった B 社の**強み****機会**を積極的に活用するものです。

  1.  **強み(3 代目の企画力・発信力)× 機会(クリエイター窯元)**: 3 代目のモダンな企画力と、新しい作風を持つクリエイター窯元の技術力を掛け合わせることで、「伝統と革新の融合」という付加価値の高い限定品を開発します。これは、既存の返礼品との明確な差別化要因となります。
  2.  **感覚価値の提供**: 3 代目が得意とする「盛り付け映えや写真映え」を意識したデザインにより、「料理が映える美しさ」という、五感に訴える直接的な価値を提供します。
  3.  **観念価値の提供**: 3 代目のもう一つの強みである「動画による発信力」を活用します。作り手であるクリエイターの想いや制作風景、X 市の歴史といった「地域の物語」を伝えることで、消費者はモノの背景にあるストーリーに共感します。これにより、単なる食器ではなく、「所有する喜び」という特別な精神的価値を感じ、結果として市や X 焼に対する愛着(ファン化)が醸成されます。

- **使用した経営学の知識**
  - **ブランド価値構造**: 設問で示された通り、ブランドが提供する価値を分析する概念。
    - **感覚価値**:デザインの美しさなど五感で感じる価値。本提案では「料理が映える美しさ」が該当します。
    - **観念価値**:背景にある物語やコンセプトから生まれる精神的な価値。本提案では限定品であることによる希少性や、動画で伝えるストーリーによる「所有する喜び」が該当します。
  - **クロス SWOT 分析(SO 戦略)**: 自社の「強み」を活かして外部環境の「機会」を最大限に活用する戦略。本提案は、3 代目の能力(強み)とクリエイター窯元の存在(機会)を掛け合わせる典型的な SO 戦略です。
  - **ストーリーテリング**: 商品やサービスの背景にある物語を伝えることで、消費者の感情に訴えかけ、共感やロイヤルティを高めるマーケティング手法です。

## 第 3 問(配点 25 点)

### 設問文

X 焼には窯元それぞれの魅力があるため、3 代目は、消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会をつくりたいと思っている。しかし、陶磁器祭りで接客をしていると、「あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない」と購入をためらう食器愛好家の声をよく耳にする。3 代目は、自社や窯元の事業機会拡大を図る一方、こうした食器愛好家のニーズを充足する新規事業を手がけたいと考えている。どのような事業内容にすべきか、100 字以内で提案せよ。

### 回答例(99 字)

**様々な窯元の器を交換利用できるサブスクリプション事業を始める。収納場所を気にせず多様な器を楽しめる機会を提供。気に入った器は EC サイトで購入可能とし、窯元の事業機会拡大と食器愛好家の継続利用を促す。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 顧客のニーズ:「『あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない』と購入をためらう食器愛好家の声をよく耳にする」
  - 3 代目の想い:「消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会をつくりたい」
  - 事業目的:「自社や窯元の事業機会拡大を図る」

- **答案作成の根拠**
  本提案は、食器愛好家が抱える「所有したい欲求」と「収納スペースの限界」というジレンマを解決する新規事業です。

  1.  **顧客課題の解決**: モノを「所有」するのではなく、一定期間「利用」する権利を提供する**サブスクリプションモデル**を導入。これにより、顧客は収納問題を気にすることなく、B 社が目利きした様々な窯元の器を試すという体験価値を得られます。これは 3 代目の「多様な器に触れる機会を作りたい」という想いとも合致しています。
  2.  **事業機会の創出**: この事業は、B 社にとっては安定した月額収益を、零細な窯元にとっては新たな販路と自社製品のプロモーション機会をもたらします。
  3.  **既存事業との相乗効果**: レンタルサービスを「お試し期間」と位置づけ、気に入った商品を**EC サイトで購入できる**仕組みを設けることで、レンタルから販売へと繋がる新たな顧客導線を構築します。これにより、食器愛好家の継続的なファン化を促し、B 社および産地全体の収益拡大に貢献します。

- **使用した経営学の知識**
  - **サブスクリプションモデル**: 製品やサービスを買い切りで提供するのではなく、月額制などで利用権を提供するビジネスモデル。顧客との継続的な関係を構築し、安定した収益(ストック収入)を生み出します。
  - **コト消費**: モノ(商品)の所有で得られる満足だけでなく、サービスや体験から得られる精神的な満足を重視する消費スタイル。本提案は、多様な食器を使う「体験」を商品としています。
  - **アンメットニーズ(未充足ニーズ)**: 市場に存在するものの、まだ満たされていない顧客の欲求。「収納を気にせず色々な食器を使いたい」というニーズがこれに該当し、新規事業の起点となります。

## 第 4 問(配点 30 点)

### 設問文

EC サイトの新規顧客は増えたが、3 代目は顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさも感じ始めた。3 代目は、今後は、X 市の地元で開く店舗と EC サイトの両方を利用する顧客を増やしていきたいと考えるようになった。B 社にはどのような施策が必要か、150 字以内で具体的に提案せよ。

### 回答例(128 字)

**①EC サイトで 3 代目や窯元による食器の制作体験や盛り付け講座等のイベント予約を受け付け、店舗へ誘導する。② 店舗では、購入者やイベント参加者に EC サイトで使えるクーポンを提供し、相互利用を促進する。③ 両チャネルの顧客情報を一元管理し、継続的な関係を構築する。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさ」
  - 「X 市の地元で開く店舗と EC サイトの両方を利用する顧客を増やしていきたい」
  - 店舗:「明るく開放感のあるスタイリッシュな空間」「カフェスペースも併設」
  - オンライン:「EC サイト」「オンライン動画」
  - 3 代目の強み:「盛り付け方を紹介する動画」「窯元をはじめ、この地で地場産業に携わってきた人々も温かい態度で接するようになった」

- **答案作成の根拠**
  設問は、実店舗(オフライン)と EC サイト(オンライン)を連携させ、両チャネルを利用する顧客を増やすための具体的な施策を求めている。これは、オンラインとオフラインを融合させて顧客体験の向上を目指す OMO(Online Merges with Offline)戦略の構築に他ならない。

  1.  **オンラインからオフラインへの送客(O2O)**: EC サイトを単なる販売の場ではなく、リアルな体験への入り口と位置づける。3 代目の強みである「盛り付け」や、窯元との良好な関係を活かした「制作体験」といった付加価値の高いイベントを企画し、EC サイトで予約を受け付けることで、顧客が店舗に足を運ぶ強い動機付けとする。
  2.  **オフラインからオンラインへの送客(O2O)**: 店舗での体験を EC サイトでの次の購買行動につなげる。店舗での購入者やイベント参加者という、エンゲージメントが高い顧客に対し、EC サイトで利用できるクーポンを配布することで、オンラインチャネルの利用を促す。
  3.  **チャネル連携の基盤整備**: ① と ② の施策を効果的に行うには、顧客情報の一元管理が不可欠である。店舗と EC サイトの購買履歴やイベント参加履歴などを統合・分析することで、個々の顧客に合わせた、よりパーソナルなコミュニケーションが可能となり、LTV(顧客生涯価値)の向上につながる。

- **使用した経営学の知識**
  - **OMO(Online Merges with Offline)**:オンラインとオフラインの垣根をなくし、両者を融合させた形で顧客に一貫した購買体験を提供するマーケティング戦略。顧客データを中心に、オンラインの利便性とオフラインの体験価値を両立させることを目指す。
  - **O2O(Online to Offline)**:オンライン(Web サイトや SNS など)から、実店舗(オフライン)へと顧客を誘導する施策。クーポン配布やイベント告知が代表例。逆の Offline to Online も存在する。
  - **CRM(Customer Relationship Management)**:顧客関係管理。顧客情報を一元管理し、顧客との良好な関係を構築・維持していくための経営手法。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 20 点)

### 第 2 問(配点 25 点)

### 第 3 問(配点 25 点)

### 第 4 問(配点 30 点)

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