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平成 24 年度(2012 年度)事例 Ⅱ

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# 平成 24 年度(2012 年度)事例 Ⅱ

## 与件文

B 酒造(B 社)は、地方都市の X 市にある芋焼酎を専門とする酒造メーカーである(資本金 2,000 万円、パートを含む従業員数 20 名)。B 社は 1899 年(明治 32 年)に現会長の曾祖父が創業し、経営は同族間で引き継がれ、現在は 4 代目が会長、5 代目が社長に就任している。創業以来、陶器製カメを用いた伝統的製法にこだわった焼酎造りを続けている.

なお、X 市の主な産業は畜産業、酒造業、陶器製造業などであり、2000 年代に入って大規模な陶器工場が撤退するなどの影響もあって、経済的にはやや縮小傾向にあり、それに伴い市内人口も減少している.

B 社製品の購入者は、創業以来 1990 年代に至るまではほぼ X 市内の消費者によって占められてきたが、B 社は 1980 年代に一度経営不振に陥り、その後の経営再建により状況は一変した.

1980 年代、B 社では伝統的な芋焼酎の味わいにこだわったことが災いし、新製品の開発が停滞した。当時は甲類焼酎(注 1)を用いたチューハイブームの時期であり、また麦を原材料とする飲みやすい乙類焼酎(注 2)が全国的にヒットするなど、消費者の焼酎に対する嗜好が変化した。これらの影響で焼酎全体の消費量が大幅に伸びる中、自社製品の売上は低迷し、B 社は危機意識を高め、1990 年代に入り経営再建に着手した.

経営再建の過程で B 社は、製造方法の見直しと他企業との提携という 2 つの改革を行った。製造方法の見直しでは、新たに杜氏(焼酎造りの専門家)を招き、陶器製カメという伝統的な焼酎造りのこだわりを守りながらも、消費者の嗜好変化に対応できるよう発酵方法等を見直した。また、杜氏の助言をもとに既存製品をリニューアルし、原材料である芋の香りを残しつつ、X 市内消費者の嗜好に合わせてやや甘みのある味わいに変更した.

その上で B 社は、企業提携による新たな販路の獲得を模索した。第 1 の提携先は全国に販路を有する大手酒造メーカー Y 社であった。Y 社は当時、清酒と甲類焼酎をメインに販売していたが、製品ラインアップには有力な乙類焼酎、特に高品質の芋焼酎が欠けていた。B 社の伝統的製法による製品が加わることは Y 社にとって魅力的な提携であり、提携後、両社は製品開発を開始。Y 社の全国的な市場調査に基づき、芋の香りを抑えた全国向け新製品が開発され、この共同開発製品は好調な販売推移をたどり、現在も両社の主力製品となっている.

第 2 の提携先は、県内に数店舗を展開する酒販店 Z 社である。Z 社は、急成長していたスーパーマーケットや競合のディスカウントストアに対抗するため、プライベートブランドの開発を検討していた過程で、X 市内にある B 社との提携に至った。このプライベートブランドは、X 市内だけでなく、Z 社が出店する県内全域を販路と想定し、開発が進められた。X 市内ではお湯割りでの飲み方が主流であるが、県内では徐々にロック(氷割り)で焼酎が飲まれ始めているという市場調査結果に基づき、ロック向けの製品が開発され、県内消費者から支持を得た.

なお、これらの提携による共同開発製品は、従来から稼働している自社工場を大規模に改修することなく生産され、製品ラベルには製造者として B 社の名称、販売者として提携先企業の名称が記載されている.

B 社と Y 社、Z 社との提携は、市場ニーズに合った製品の共同開発で成功したといえるが、伝統的製法へのこだわりを製品ラベルや広告、店頭販促に前面に出したことが、双方の製品の重要な成功要因であったという認識は一致している.

1990 年代の経営再建による新たな販路獲得に加え、2000 年代の全国的な乙類焼酎流行(本格焼酎ブーム)により B 社の経営状態は大幅に改善した。Y 社との共同開発製品は、全国の飲食店の店主から高い評価を受け、Y 社内では飲食店市場向け営業成績向上の要因の一つとされている。また、Z 社のプライベートブランドも“ロック向け”という訴求が県内消費者に支持され、該当商品の来店目的として声が寄せられている.

しかし、2010 年代に入って本格焼酎ブームが下火になる中で、B 社の近年の売上はやや停滞している。B 社では「伝統的な製法」に加え、市場に対するユニークな企業ブランド価値のデザインが課題となっており、この課題に対して 5 代目社長を中心に様々な試みが繰り返されている。社長は、地域に根ざした企業ブランドの強化を目指し、地元 X 市にフォーカスしたマーケティングを開始している。4 代目会長が行った提携による全国や県内への展開が一巡したことを踏まえ、再び地元 X 市の消費者との関係強化を図るべきだと考えている。なお、2010 年代に入ってからの B 社売上高の約半額は Y 社・Z 社との共同開発製品、残りは X 市内向け製品からもたらされている。そのため、X 市の経済低迷や人口減少は、X 市地域と B 社双方にとって共通の問題である。特に X 市の大きな課題の 1 つは、2000 年代中頃に洪水で大規模被害を受けた商店街の復興であり、水害後も堤防増強などの公共工事が行われ、一部店舗の移転が求められるなどの影響が続いている。しかし、ほとんどの商店主は商店街の衰退が買物難民や周辺地域の衰退につながると考え、廃業せず新たに盛り上げる努力を続けている。B 社はこの商店街の復興を自社課題の 1 つとし、X 市内向け製品売上の一部を、商工会議所主催の商店街イベントや新規出店支援事業に寄付している.

そして、B 社の社長は、地域に根ざした企業ブランドのさらなる強化に向け、中小企業診断士に今後の展開について相談することとした.

(注 1)甲類焼酎とは、原材料のクセや香りの無い焼酎のことである.  
(注 2)乙類焼酎とは、原材料本来の旨みや香りを有した焼酎のことであり、本格焼酎とも呼ばれている.

## 設問文

### 第 1 問(配点 10 点)

B 社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を 100 字以内で説明せよ.

### 第 2 問(配点 30 点)

B 社は提携により新たな販路を獲得し、経営再建を成し遂げた。一方、この提携は提携先企業にとってもメリットがあったため成功したといえる。B 社の提携先企業にとってのメリットについて、次の設問に答えよ.

#### 設問 1

B 社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100 字以内で答えよ.

#### 設問 2

B 社が行った水平的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100 字以内で答えよ.

### 第 3 問(配点 30 点)

B 社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ.

#### 設問 1

B 社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を 80 字以内で整理せよ.

#### 設問 2

B 社の売上はコーズリレーテッド・マーケティングの効果により再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが B 社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80 字以内で答えよ.

### 第 4 問(配点 30 点)

地域における企業ブランドの強化に向け、有効と考えられる B 社のマーケティング・アクションを 2 つ提案し、それぞれについて 80 字以内で答えよ。ただし、各アクションの実行により期待される効果についても併せて述べること.

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 10 点)

B 社が水平的提携、垂直的提携を通じて採用することになったセグメンテーション戦略とセグメントごとのニーズに対応した製品戦略について、整理・分析する基礎的な能力を問う問題である。

### 第 2 問(配点 30 点)

#### 設問 1

B 社と垂直的提携を行った酒販店 Z 社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。

#### 設問 2

B 社と水平的提携を行った大手酒造メーカー Y 社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 30 点)

#### 設問 1

B 社が地域社会との関係性強化のために行っているコーズリレーテッド・マーケティングの現状を、整理・分析する能力を問う問題である。

#### 設問 2

B 社が試みているコーズリレーテッド・マーケティングが消費者の購買拡大に与える効果について、分析する能力を問う問題である。

### 第 4 問(配点 30 点)

B 社社長が目指す、地域における企業ブランド強化の方向性に即したマーケティング戦略を立案するための構想力と提案力を問う問題である。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 10 点)

### 第 2 問(配点 30 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 3 問(配点 30 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 4 問(配点 30 点)

## AI への指示

以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。

この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。

1. **模範解答**  
   各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。

2. **フィードバック**  
   回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
   与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。

3. **改善点**  
   どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。

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