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平成 23 年度(2011 年度)事例 Ⅳ

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# 平成 23 年度(2011 年度)事例 Ⅳ

## 与件文

D 社は日本海側の地方都市にある創業 25 年の水産加工メーカーである。資本金 1,300 万円、総資産約 13 億円、売上高約 24 億 5 千万円、従業員数は 35 名(アルバイト・パート除く)で、地元漁港から揚がる魚介類を中心に、水産物の加工品を主に地元スーパーおよび外食産業に卸す他、年に数回、飛び込みの需要にも応じている。

近年の販売実績は、食の安全に対する消費者意識、生活習慣病を予防する食生活への関心を反映して、地元で揚がる魚介類に対するニーズが高まったこともあり、おおむね好調である。さらに、数年前より全国に展開する大手スーパーとの取引が始まり、売上の 15%を占めるなど販売も順調に伸びている。

しかしながら、3 つの工場設備は生産能力に余剰があるものの老朽化がみられ、大手スーパーから増産の要請も見込まれるため、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)導入を前提とした新規工場建設を検討している。工場用地についてはすでに取得済みである。工場新設にあたっては、製品ラインの見直しが求められている。

また、D 社では上記の状況とは別に、単身世帯の増加、個食への対応として、電子レンジや真空パック用個別包装の製品開発、生産、販売という新規事業が提案されている。
D 社の財務諸表および同業他社の財務諸表は次のとおりである。

### 貸借対照表

(単位:百万円)

|                      | D 社           | D 社           | 同業他社       |
| :------------------- | :------------- | :------------- | :------------- |
|                      | 平成 21 年度末 | 平成 22 年度末 | 平成 22 年度末 |
| **資産の部**         |                |                |                |
| 流動資産             | 851            | 900            | 469            |
| 現金・預金           | 126            | 163            | 68             |
| 受取手形・売掛金     | 339            | 360            | 200            |
| 貸倒引当金           | △3             | △3             | △2             |
| 有価証券             | 10             | 10             | 20             |
| 棚卸資産             | 377            | 368            | 182            |
| その他流動資産       | 2              | 2              | 1              |
| 固定資産             | 425            | 402            | 377            |
| 土地                 | 162            | 162            | 117            |
| 建物・機械装置       | 689            | 689            | 341            |
| 減価償却累計額       | △468           | △490           | △147           |
| 投資有価証券         | 42             | 41             | 66             |
| **資産合計**         | 1,276          | 1,302          | 846            |
| **負債の部**         |                |                |                |
| 流動負債             | 578            | 579            | 340            |
| 支払手形・買掛金     | 298            | 285            | 118            |
| 短期借入金           | 198            | 210            | 145            |
| 未払法人税等         | 2              | 4              | 3              |
| その他流動負債       | 80             | 80             | 74             |
| 固定負債             | 374            | 390            | 256            |
| 長期借入金           | 350            | 368            | 234            |
| その他固定負債       | 24             | 22             | 22             |
| **負債合計**         | 952            | 969            | 596            |
| **純資産の部**       |                |                |                |
| 資本金               | 13             | 13             | 11             |
| 利益準備金           | 3              | 3              | 1              |
| 別途積立金           | 300            | 300            | 226            |
| 繰越利益剰余金       | 8              | 17             | 12             |
| **純資産合計**       | 324            | 333            | 250            |
| **負債・純資産合計** | 1,276          | 1,302          | 846            |

### 損益計算書

(単位:百万円)

|                    | D 社         | 同業他社     |
| :----------------- | :----------- | :----------- |
|                    | 平成 22 年度 | 平成 22 年度 |
| 売上高             | 2,450        | 1,935        |
| 売上原価           | 1,972        | 1,539        |
| 売上総利益         | 478          | 396          |
| 販売費・一般管理費 | 428          | 362          |
| 営業利益           | 50           | 34           |
| 営業外収益         | 5            | 11           |
| (うち受取利息)   | (5)        | (10)       |
| 営業外費用         | 40           | 21           |
| (うち支払利息)   | (40)       | (21)       |
| 経常利益           | 15           | 24           |
| 特別利益           | -            | 1            |
| 特別損失           | -            | 2            |
| 税引前当期純利益   | 15           | 23           |
| 法人税等           | 6            | 9            |
| 当期純利益         | 9            | 14           |

## 第 1 問(配点 35 点)

### (設問 1)

D 社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社との比較を通じて、D 社の財務上の問題点と思われる点を特徴づける経営指標を 3 つ取り上げ、その名称を(a)欄に示し、数値を計算(小数点第 3 位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その原因を(c)欄に、改善策を(d)欄にそれぞれ 60 字以内で述べよ。

### (設問 2)

D 社の営業キャッシュフローの計算過程を(a)欄に示し、今後の経営上の課題について(b)欄に 100 字以内で述べよ。

## 第 2 問(配点 15 点)

D 社は人気製品の 1 つである製品 W について、月産 20,000 単位の生産能力をもってており、来月の予定生産量を得意先からの予想受注量である 18,000 単位に定めている。販売価格は単位当たり 1,000 円である。製造原価は、単位当たり変動費 500 円、月間固定費は 8,000,000 円である。販売費・一般管理費はすべて固定費である。

そこへ、アジア地域の新規顧客から 1 単位 800 円の価格ならば 2,000 単位購入したい旨のオファーがあった(発送諸掛は先方負担)。社内で検討したところ、海外取引でこのような値引きを行っても、国内需要と国内販売価格には影響を与えないと予想されている。この特別注文を受諾すべきかどうかについて根拠となる数値を提示しながら 40 字以内で述べよ。

## 第 3 問(配点 25 点)

D 社の第 3 設備では、X、Y、Z の 3 種類の製品を製造している。製品別の損益計算書は以下のとおりである。

|                  | (単位)   | 製品 X  | 製品 Y  | 製品 Z  |
| :--------------- | :--------- | :------ | :------ | :------ |
| 売上数量         | (単位)   | 250,000 | 250,000 | 400,000 |
| 売上高           | (百万円) | 350     | 450     | 600     |
| 変動費           | 〃         | 125     | 200     | 280     |
| 限界利益         | 〃         | 225     | 250     | 320     |
| 個別固定費       | 〃         | 100     | 150     | 200     |
| 共通固定費       | 〃         | 87.5    | 87.5    | 140     |
| 営業利益(損失) | 〃         | 37.5    | 12.5    | △20     |

※共通固定費は販売量に基づいて配賦している。

製品 X と Y は利益を上げているが、製品 Z は赤字である。そこで、製品 Z の製造を中止してはどうかとの検討を行うことにした。製品 Z を廃止すべきかどうかについて、計算過程を(a)欄に、結論を理由とともに(b)欄に 50 字以内で述べよ。なお、製品 Z の製造中止によって、製品 X と Y の販売量等は全く影響を受けないと仮定する。

## 第 4 問(配点 25 点)

D 社の新規事業案について、今後 3 年間の予測情報をもとに検討することになった。今後 3 年間の売上は、表に示すように販売が好調に推移する場合と不調に終わる場合の 2 通りが予想されており、毎年、それぞれ確率 50%で生じると予想されている。また、コストについては、毎年低コストで済む場合と高コストになる場合の 2 通りが予想されており、こちらも確率がそれぞれ 50%と予想されている。キャッシュフローは売上からコストを控除したものとみなすことができ、初期投資は 15 百万円と見積もられている。このとき、次の設問に答えよ。

売上予想

(単位:百万円)

|        | 販売が好調に推移する場合 | 販売が不調に終わる場合 |
| :----- | :----------------------- | :--------------------- |
| 1 年目 | 100                      | 50                     |
| 2 年目 | 150                      | 100                    |
| 3 年目 | 200                      | 100                    |

コスト予想

(単位:百万円)

|          | 低コストの場合 | 高コストの場合 |
| :------- | :------------- | :------------- |
| 年当たり | 80             | 150            |

### (設問 1)

各年のキャッシュフローの期待値を(a)欄に、正味現在価値の期待値を(b)欄に示し、どのような意思決定を下すべきかを(c)欄に述べよ。なお、計算を簡素化するため、キャッシュフロー等を現在価値に割り引くことはしない。

### (設問 2)

初期投資に先だって、R&D 費として 10 百万円を投資することで、コストの高低が判明すると仮定した場合、(設問 1)で得られた結果はどのようになるか、根拠となる数値を提示しながら 150 字以内で述べよ。

# 平成 23 年度(2011 年度)事例 Ⅳ 解答解説

## 第 1 問(配点 35 点)

### (設問 1)

#### ①:問題点を示す経営指標 1(収益性)

- (a) **売上高経常利益率**
- (b) **0.61 %** (計算過程:15 ÷ 2,450 × 100、同業他社:1.24 %)

#### ②:問題点を示す経営指標 2(安全性)

- (a) **インタレスト・カバレッジ・レシオ**
- (b) **1.38 倍**(計算過程:(50 + 5) ÷ 40、同業他社:2.14 倍)

#### ③:問題点を示す経営指標 3(効率性)

- (a) **棚卸資産回転率**
- (b) **5.36 回** (計算過程:1,972 ÷ 368、同業他社:8.46 回)

#### (c) 原因(59 字)

水産加工品の見込み生産による過剰在庫が資産効率を圧迫。有利子負債依存が支払利息負担となり、経常利益率を悪化させている。

#### (d) 改善策(55 字)

在庫管理の徹底による棚卸資産の圧縮と、余剰資産売却等による有利子負債の削減を進め、財務体質と収益性を改善する。

#### 解説

- **指標選定の視点**
  D 社の財務課題を多角的に示すため、収益性・安全性・効率性の観点から、特に同業他社比較で問題が顕著な指標を選定する。
- **各指標の解説**
  1.  **売上高経常利益率**:営業利益率(D 社 2.04%)は同業(1.76%)を上回るが、支払利息(40 百万円)が重く、経常利益率(D 社 0.61%)は同業(1.24%)を大きく下回る。財務活動(借入)が本業の利益を圧迫している状況を示す。
  2.  **インタレスト・カバレッジ・レシオ**:D 社(1.38 倍)は同業(2.14 倍)より著しく低い。営業利益等は支払利息の 1.38 倍しかなく、利息支払能力が低い。これが ① の経常利益率圧迫の直接要因であるため採用。
  3.  **棚卸資産回転率**:D 社(5.36 回)は同業(8.46 回)より著しく低い。与件文に「生産能力に余剰」とある一方、棚卸資産(368)が過大であることを示す。過剰在庫は資金繰りを圧迫し、総資産の効率性低下にも寄与している。
- **(c)原因と(d)改善策の連動**
  (c)では、上記 3 指標が示す問題点(低い経常利益率、低い利息支払能力、低い在庫回転率)の根本原因が、「過剰在庫」と「過大な有利子負債」にあることを連動させて指摘する。
  (d)では、(c)で特定した 2 つの根本原因に対し、「在庫圧縮」と「有利子負債削減」という直接的な改善策を提示する。

---

### (設問 2)

#### (a) 営業キャッシュフローの計算過程

(単位:百万円)

- 税引前当期純利益: 15
- 減価償却費: 22 (H22 累計 490 - H21 累計 468)
- 営業外収益(受取利息): △5
- 営業外費用(支払利息): 40
- 売上債権の増加: △21 (H22 360 - H21 339)
- 棚卸資産の減少: 9 (H21 377 - H22 368)
- 仕入債務の減少: △13 (H21 298 - H22 285)
- 小計(利息及び法人税等調整前): 47
- 利息の受取額: 5
- 利息の支払額: △40
- 法人税等の支払額: △4 (期首未払 2 + P/L 計上 6 - 期末未払 4)
- **営業キャッシュフロー = 47 + 5 - 40 - 4 = 8 (百万円)**

#### (b) 今後の経営上の課題(90 字)

営業 CF が 8 百万円と低水準であり、本業でのキャッシュ創出力が弱い。老朽設備の更新や HACCP 対応の新工場建設という多額の投資需要に対し、内部資金が不足しており、借入依存度が高い点。

#### 解説

- **(a) 営業 CF**

  - **減価償却費**: 貸借対照表の減価償却累計額の差分(490 - 468 = 22 百万円)。
  - **運転資本の増減**: 売上債権(純額)の増加は CF のマイナス(△21)、棚卸資産の減少は CF のプラス(9)、仕入債務の減少は CF のマイナス(△13)。
  - **利息・法人税**:
    - 税引前利益からスタートした場合、営業外の利息(非営業活動項目)の影響を除外し(収益は引き、費用は足す)、実際に支払・受取があった額を加減算する。
    - **法人税等の支払額**: P/L 上の「法人税等(6)」と B/S の「未払法人税等」の増減(H21: 2 → H22: 4)から算出する。支払額 = 期首未払 2 + P/L 計上 6 - 期末未払 4 = 4 百万円。

- **(b) 経営課題**:営業 CF が 8 百万円と、当期純利益(9 百万円)や減価償却費(22 百万円)と比して低水準であることに変わりはない。与件文の「老朽化」「新規工場建設」といった多額の投資(投資 CF のマイナス)が今後見込まれる中で、営業 CF の創出力強化が急務である。

## 第 2 問(配点 15 点)

### 回答例(32 字)

**貢献利益が 60 万円増加し、会社全体の利益が増えるため受諾すべき。**

### 解説

1.  **前提確認**

    - 月間生産能力:20,000 単位
    - 予定生産量:18,000 単位
    - 余剰能力:20,000 - 18,000 = 2,000 単位
    - 特別注文量:2,000 単位
    - → 特別注文は余剰能力の範囲内で対応可能であるため、追加の固定費は発生しない(埋没原価)。

2.  **差額原価収益分析**

    - 意思決定は、この注文を受諾することによる差額収益と差額費用(変動費のみ)を比較して行う。
    - 差額収益(単価):800 円
    - 差額費用(単価):500 円(単位当たり変動費)
    - 差額限界利益(単価):800 円 - 500 円 = 300 円
    - 差額限界利益(総額):300 円/単位 × 2,000 単位 = **600,000 円**

3.  **判断**
    - 差額限界利益がプラス(600,000 円)となるため、この特別注文は受諾した方が企業全体の利益増加に貢献する。

## 第 3 問(配点 25 点)

#### (a) 計算過程

- 製品 Z の限界利益: 320
- 製品 Z の個別固定費: 200
- **製品 Z の貢献利益 = 320 - 200 = 120 (百万円)**

#### (b) 結論と理由(43 字)

**廃止すべきでない。Z は 1.2 億円の貢献利益を生み、共通固定費の回収に貢献しているため。**

#### 解説

1.  **分析の視点**

    - 製品 Z は営業損失 20 百万円だが、これには共通固定費 140 百万円が配賦されている。
    - 共通固定費は、製品 Z を廃止しても減少しない(発生し続ける)と仮定される。
    - したがって、意思決定は「限界利益」から「個別固定費」を差し引いた **「貢献利益」** がプラスかマイナスかで判断する。

2.  **貢献利益の算定**

    - (a)の計算過程のとおり、製品 Z の貢献利益は 120 百万円(=限界利益 320 百万円 − 個別固定費 200 百万円)の黒字である。

3.  **判断**
    - 製品 Z は、それ自身の製造・販売に直接かかる固定費(個別固定費)を賄った上で、さらに 120 百万円の利益(貢献利益)を生み出している。
    - この 120 百万円は、企業全体の共通固定費(315 百万円)の回収に貢献している。
    - もし製品 Z を廃止すると、この貢献利益 120 百万円が失われるため、企業全体の利益は現状よりも 120 百万円減少してしまう。

## 第 4 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### (a) 各年のキャッシュフローの期待値

- 1 年目:**−40 百万円**
- 2 年目:**10 百万円**
- 3 年目:**35 百万円**

#### (b) 正味現在価値の期待値

**−10 百万円**

#### (c) 意思決定

**正味現在価値の期待値がマイナスであるため、この新規事業案は採用すべきでない。**

#### 解説

本設問は、不確実性下における意思決定問題であり、各事象の発生確率が与えられているため、**期待値(期待キャッシュフロー)**を求めて投資可否を判断するものである。

(1) **各年のキャッシュフローの計算方法**
各年のキャッシュフローは、
「売上の期待値 − コストの期待値」で算出する。
売上とコストは独立事象であるため、それぞれを別々に計算して差し引く。

- 1 年目:
  売上期待値 = (100×0.5 + 50×0.5) = 75
  コスト期待値 = (80×0.5 + 150×0.5) = 115
  CF 期待値 = 75 − 115 = **−40 百万円**

- 2 年目:
  売上期待値 = (150×0.5 + 100×0.5) = 125
  コスト期待値 = 115
  CF 期待値 = 125 − 115 = **10 百万円**

- 3 年目:
  売上期待値 = (200×0.5 + 100×0.5) = 150
  コスト期待値 = 115
  CF 期待値 = 150 − 115 = **35 百万円**

(2) **正味現在価値(NPV)の計算方法**
「現在価値に割り引かない」という条件のため、各年のキャッシュフロー期待値を単純合計する。
−40 + 10 + 35 = **5 百万円**
これに初期投資 15 百万円を差し引くと、
5 − 15 = **−10 百万円** となる。

(3) **意思決定の根拠**
NPV(正味現在価値)の期待値がマイナスであるため、投資基準に照らして**本事業は採用すべきでない**と判断する。

### (設問 2)

初期投資に先だって、R&D 費として 10 百万円を投資することで、コストの高低が判明すると仮定した場合、(設問 1)で得られた結果はどのようになるか、根拠となる数値を提示しながら 150 字以内で述べよ。

### 回答例(143 字)

**R&D 投資により、低コスト(確率 50%)なら NPV95 百万円で事業実施、高コスト(確率 50%)なら事業中止(価値 0)と判断できる。R&D 後の期待価値は 47.5 百万円。R&D 費 10 百万円を引いた正味価値は 37.5 百万円となる。これは設問 1 の価値 0 を上回るため、R&D 投資を行うべきである。**

#### 解説

これは**リアルオプション**(特に「学習のオプション」)の考え方を用いた意思決定問題である。R&D 投資によって不確実性(コストの高低)を解消し、その情報に基づいて最適な行動(事業実施または中止)を選択できるという「柔軟性」の価値を評価する。

1. **【低コスト(80)と判明した場合:確率 50%】**
   総キャッシュフロー(CF)= (-5) + 45 + 70 = 110
   NPV = 110 − 初期投資 15 = 95
   NPV > 0 であるため、**事業を実施**する。このシナリオの価値は 95 百万円である。

2. **【高コスト(150)と判明した場合:確率 50%】**
   総 CF = (-75) + (-25) + 0 = -100
   NPV = -100 − 初期投資 15 = -115
   NPV < 0 であるため、**事業を中止**する。このシナリオの価値は 0(投資を行わないため損失は発生しない)。

3. **R&D 投資時点での期待価値**
   (95 百万円 × 50%) + (0 百万円 × 50%) = 47.5 百万円

4. **R&D 投資を含めた正味価値**
   期待価値 47.5 百万円 − R&D 費 10 百万円 = **37.5 百万円**

設問 1 では価値が 0(事業を実施しないため)であったのに対し、R&D 投資案では 37.5 百万円のプラスの価値が生じる。したがって、意思決定は覆り、**R&D 投資を行うべきである**と結論付けられる。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験(事例 Ⅳ:財務・会計)の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述・数値と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。

**【記述問題の評価方針】**

- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

**【計算問題の評価方針】**

- 計算問題は、**最終的な計算結果**だけでなく、そこに至る**計算過程(プロセス)**を重視して評価します。
- **【計算過程スキップの例外】**
  - ただし、あなたの回答において `(b)計算過程 スキップ`(あるいは `#### (b)計算過程 スキップ` など、スキップの意図が明確な記載)がされている場合に限り、**(a) の計算結果のみを評価対象とします。**
  - この場合、計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、計算結果が間違っていれば計算過程にも誤りがあったものとして評価します(詳細な部分点評価は行いません)。
- **【計算過程の記載がある場合】**
  - たとえ最終的な数値が間違っていても、計算の**基本的な考え方****立式****使用した数値(与件文からのピックアップ)**が正しければ、**部分点を加点**する視点で評価します。
- **【共通事項】**
  - **第 1 問設問 1**の財務分析指標の選択のように、**複数の正解(別解)が想定される場合**は、模範解答と異なっていても、与件文から妥当性が読み取れれば正解として評価します。
  - **CVP****NPV**など、解法がほぼ一意に決まる問題は、**標準的な解法ステップ**を踏めているかを確認します。(※スキップの場合は結果から推定します)

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成・計算過程が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成・計算過程が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻や計算ミスがない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足やケアレスミスが散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。計算の前提条件を誤解している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例(計算問題の場合は(a)解答欄と(b)計算過程)を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

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**【計算問題の場合】 (例:第 1 問設問 1、第 2 問、第 3 問)**

- **① 計算結果の正誤:**
  最終的な数値、単位(円、千円、基など)、端数処理(切り上げ、四捨五入など)は設問要求通りで、模範解答と一致しているか。
- **② 計算過程(プロセス)の評価:**
  - **【計算過程の記載がある場合】**
    - **立式・アプローチ:** 問題を解くための基本的な考え方(CVP、NPV、LP、財務指標の定義など)は正しいか。
    - **数値のピックアップ:** 与件文や資料から、計算に必要な数値を正しく(漏れなく、間違えなく)引用できているか。(例: NPV 計算での機会費用、運転資本、設備売却益の税金計算など)
    - **計算の正確性:** 途中の計算ステップにミスはないか。
  - **【計算過程が `スキップ` の場合】**
    - **(a) 計算結果の正誤に基づき、本項目も評価します。**
    - (a) が正解の場合:計算過程も正しかったものとみなし、高い評価(A または B 評価相当)とします。
    - (a) が不正解の場合:計算過程のいずれかのステップ(立式、数値ピックアップ、計算正確性)に誤りがあったものとみなし、評価を下げます。この場合、具体的な誤り箇所の特定は行いませんが、推定される原因を「④ 改善提案」で指摘します。
- **③ 指標選択の妥当性 (第 1 問設問 1 のみ):**
  模範解答と異なる指標を選択した場合、その指標が D 社の特徴(優れている点・劣っている点)を示す上で妥当か、与件文から根拠を見いだせるか(別解として成立するか)を評価する。
- **④ 改善提案(失点・部分点分析):**
  - **失点箇所:** どこで間違えたか(数値の誤用、立式の誤り、計算ミス、端数処理ミスなど)を具体的に指摘する。(※ `スキップ` されていて結果が不正解の場合、推定される誤りの原因を指摘します)
  - **部分点獲得可能性:** 「ここまでは合っているので、配点〇点中 △ 点は期待できる」という視点で評価する。(※ `スキップ` の場合は適用されません)
  - **改善点:** 次に同じミスをしないために、どの数値に着目すべきか、どの公式を確認すべきかを具体的にアドバイスする。

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**【記述問題の場合】 (例:第 1 問設問 2、第 4 問)**

- **① 設問解釈と方向性:**
  設問の意図(問われていること)を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。
- **② 与件文・財務諸表の活用:**
  解答の根拠として、与件文中のどの記述(SWOT)や、どの財務数値(計算した指標など)を効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:**
  診断士としての財務・会計知識を適切に応用できているか。「A(財務状況)だから B(助言)」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。
- **④ 具体性と表現:**
  抽象論に終始せず、D 社の状況に合わせた具体的な記述ができているか。設問の字数制限(例: 80 字)の中で、要点を簡潔にまとめられているか。
- **⑤ 改善提案:**
  どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文(または財務指標)のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。

---

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点(計算の正確性、与件文の読み取り、論理構成など)を挙げてください。
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点(ケアレスミス、時間配分、特定の分野の知識不足など)を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、特に事例 Ⅳ の学習(計算練習、過去問演習の方法など)について具体的なアドバイスをお願いします。

# あなたの回答

**スキップ機能について**  
計算過程の記載が求められる設問((b)計算過程)において、「スキップ」と記載した場合、(a) の計算結果(解答)のみをもって採点されます。計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、結果が誤っていれば過程も誤っていたものとして評価されます(部分点評価は行われません)。

## 第 1 問(配点 35 点)

### (設問 1)

#### ①:問題点を示す経営指標 1

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:

#### ②:問題点を示す経営指標 2

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:

#### ③:問題点を示す経営指標 3

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:

#### (c) 原因(60 字以内)

#### (d) 改善策(60 字以内)

### (設問 2)

#### (a) 営業キャッシュフローの計算過程

スキップ

#### (b) 今後の経営上の課題(100 字以内)

## 第 2 問(配点 15 点)(40 字以内)

## 第 3 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### (a) 計算過程

スキップ

#### (b) 結論と理由(50 字以内)

## 第 4 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### (a) 各年のキャッシュフローの期待値

- 1 年目:(百万円)
- 2 年目:(百万円)
- 3 年目:(百万円)

#### (b) 正味現在価値の期待値

(百万円)

#### (c) 意思決定

### (設問 2)(150 字以内)

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