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令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅳ
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# 令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅳ
## 与件文
D 社は、地方都市である Z 市を本拠地として、複数の事業を展開する企業である。約 20 年前に食品の卸売を手がける企業として創業したが、のちに飲食事業などにも進出し、資本金 1,300 万円、総資産約 30 億円、売上高約 54 億円、従業員約 100 名の企業に成長を遂げた。現在は飲食事業部、惣菜事業部および加工事業部の 3 事業部を設けて、事業を遂行している。
現在の主力である飲食事業は、居酒屋を中心に約 30 店舗を展開しており、当期の売上高は約 30 億円である。地元産の新鮮な食材にこだわったメニューに特色があり、とりわけ契約農場から仕入れた鶏を原料として自社工場で製造する焼き鳥や唐揚げは、顧客から高い評価を獲得している。2020 年の新型コロナウイルスの感染拡大により、居酒屋業態を主力とする D 社も大きな打撃を受けた。その後、業績は回復途上にあるものの、来店客数や客単価はコロナ禍以前の水準に達していない。加えて近年、大手資本の進出が相次ぎ、競争環境が厳しさを増している点が懸念材料となっている。D 社では、「まねのできない味とサービスを提供する」という経営理念に立ち返って商品やサービスの差別化を進めるとともに、コスト削減を図りたいと考えている。
惣菜事業では、ショッピングモールなどを中心にテナントとして約 40 店舗の惣菜専門店を出店し、自社製造の焼き鳥や唐揚げなどの各種惣菜を提供している。当期の売上高は約 20 億円である。コロナ禍では、飲食事業への打撃を惣菜事業の売上増で一定程度カバーすることができた。このように事業リスクの分散効果が期待できることから、D 社では引き続き惣菜事業の拡大を進める方針である。
飲食事業と惣菜事業については、現在はほぼ Z 市および県内市町村のみで展開している。しかし、中長期的な成長のためには県外への出店が不可欠であり、出店エリアの拡大が課題となっている。
また、加工事業では、焼き鳥や唐揚げの製造を行い、飲食事業や惣菜事業に供給するほか、冷凍食品として加工した上で Z 市内外に販売している。当期の外部顧客への売上高は約 4 億円であるが、ここ数年は売上の減少が続いており、コスト効率の向上が求められている。
D 社としては、製品開発から生産、加工、販売に至る一貫体制を構築したことが、開発の迅速化、品質管理の徹底、店舗運営の効率化などに寄与していると考えている。
一方で、こうした一体体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めていることも認識している。
このような状況の下で、D 社はその存続・発展に向け、投資決定や業績評価のあり方について、財務的な観点から改めて見直すことが必要となっている。
D 社および同業他社の財務諸表は以下のとおりである。
### 貸借対照表
(2023 年 3 月 31 日)
(単位:百万円)
| | D 社 | 同業他社 | | D 社 | 同業他社 |
| :------------------- | :---- | :------- | :--------------- | :---- | :------- |
| 《資産の部》 | | | 《負債の部》 | | |
| 流動資産 | 2,314 | 3,552 | 流動負債 | 951 | 2,980 |
| 現金預金 | 1,746 | 2,877 | 買掛金 | 221 | 500 |
| 売掛金 | 253 | 280 | 短期借入金 | 355 | 1,367 |
| 商品・製品 | 220 | 46 | リース債務 | 11 | 7 |
| 原材料 | 39 | 6 | 未払金 | 203 | 494 |
| その他の流動資産 | 56 | 337 | その他の流動負債 | 159 | 718 |
| 固定資産 | 740 | 2,888 | 固定負債 | 1,671 | 1,163 |
| 有形固定資産 | 476 | 1,659 | 長期借入金 | 1,555 | 653 |
| 建物 | 129 | 1,382 | リース債務 | 28 | - |
| 機械装置・工具等 | 213 | 143 | その他の固定負債 | 86 | 510 |
| 土地 | 91 | 3 | 負債合計 | 2,622 | 4,143 |
| その他の有形固定資産 | 43 | 27 | 《純資産の部》 | | |
| 無形固定資産 | 3 | 156 | 資本金 | 13 | 50 |
| 投資その他の資産 | 261 | 1,073 | 資本剰余金 | | 465 |
| | | | 利益剰余金 | 419 | 1,769 |
| | | | 評価・換算差額等 | | 13 |
| | | | 純資産合計 | 432 | 2,297 |
| 資産合計 | 3,054 | 6,440 | 負債・純資産合計 | 3,054 | 6,440 |
### 損益計算書
(2022 年 4 月 1 日~ 2023 年 3 月 31 日)
(単位:百万円)
| | D 社 | 同業他社 |
| :------------------- | :---- | :------- |
| 売上高 | 5,360 | 11,151 |
| 売上原価 | 2,197 | 3,336 |
| 売上総利益 | 3,163 | 7,815 |
| 販売費及び一般管理費 | 3,109 | 7,344 |
| 営業利益 | 54 | 471 |
| 営業外収益 | 151 | 115 |
| 営業外費用 | 31 | 9 |
| 経常利益 | 174 | 577 |
| 特別利益 | - | 12 |
| 特別損失 | 17 | 141 |
| 税引前当期純利益 | 157 | 448 |
| 法人税等 | 45 | 154 |
| 当期純利益 | 112 | 294 |
## 第 1 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
D 社および同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較して D 社が優れていると考えられる財務指標を 1 つ、劣っていると考えられる財務指標を 2 つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、その値を(b)欄に記入せよ。解答にあたっては、① の欄に優れていると考えられる指標を、②、③ の欄に劣っていると考えられる指標を記入すること。なお、(b)欄の値については、小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示すること。また、(b)欄のカッコ内に単位を明記すること。
### (設問 2)
D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を 80 字以内で述べよ。
## 第 2 問 (配点 20 点)
現在 D 社加工事業部は、自社工場で製造した唐揚げの一部を得意先向けの業務用冷凍食品として販売している。当期における当該業務用冷凍食品の製造に関するデータは以下のとおりである。次期においても、販売価格を除き、これらのデータに変動はないと予想されている。
| | |
| :--------------------- | :----------- |
| 1 袋当たり販売価格 | 3,300 円 |
| 1 袋当たり変動費 | 1,780 円 |
| 固定費 | 5,600,000 円 |
| 1 袋当たり直接作業時間 | 1 時間 |
| 1 袋当たり機械運転時間 | 2 時間 |
次期において、当該業務用冷凍食品の製造に割り当てが可能な直接作業時間は最大 10,000 時間、機械運転時間は最大 13,600 時間である。
### (設問 1)
取引先の X 社から次期に最大 6,500 袋を購入したいという引き合いがあった。ただし、販売価格 3,000 円での納入を打診されている。D 社としては加工事業部のテコ入れを検討しているという事情もあり、引き受けを検討している。
一方で、新たに Y 社からも、次期に最大 4,200 袋を購入したいという引き合いがあった。ただし、タレで味付けするなどの追加加工を行った上で、4,800 円で納入することを打診されている。なお、追加加工は現在の設備で可能であり、新規の設備投資は必要ない。追加加工に必要な 1 袋当たりの原価などのデータは以下のとおりである。
| | |
| :--------------------- | :------- |
| 1 袋当たり変動費 | 1,600 円 |
| 1 袋当たり直接作業時間 | 1.5 時間 |
| 1 袋当たり機械運転時間 | 0.5 時間 |
X 社および Y 社と交渉したところ、両社とも注文数量の調整に応じてくれることが分かった。次期の営業利益を最大化するための生産数量と、そのときの営業利益の額を答えよ。
解答にあたっては、X 社向けの生産数量を(a)欄に、Y 社向けの生産数量を(b)欄に、それぞれ記入すること。また、営業利益の額は(c)欄に記入するとともに、計算過程を(d)欄に示すこと。
### (設問 2)
Y 社から、最低でも 2,400 袋以上購入することを希望しており、また販売価格の引き上げについては交渉に応じる旨の連絡があった。なお D 社は、設定した販売価格の下で営業利益を最大化するように生産数量を決定するという方針をとっている。生産数量についての Y 社の希望に応じるためには、Y 社向けの製品の販売価格を何円以上で設定すればよいか。
解答にあたっては、販売価格を(a)欄に記入するとともに、計算過程を(b)欄に示すこと。
## 第 3 問 (配点 30 点)
D 社は、今後の出店エリアの拡大を見据え、これまで使用してきた範囲のスライス加工のための機械を、新型のスライサー(以下、新機械)に更新することで、これまで一部手作業に依存していたスライス加工の省力化を図るとともに、生産能力を増強したいと考えている。このため、全面的に設備を新機械に更新するに先立って、新機械を試験的に 1 台導入した場合の採算について検討している。
現在使用しているスライサー(以下、旧機械)は 3 年前に 240 万円で購入し、定額法(耐用年数 12 年、残存価額ゼロ)で減価償却している。従来は耐用年数経過後、処分価額ゼロで除却する予定であった。更新にあたり、旧機械は中古機械として 70 万円で売却できると見込まれている。
一方、導入を検討している新機械は、価格が 540 万円であり、定額法(耐用年数 9 年、残存価額ゼロ)で減価償却する予定である。耐用年数経過後は、処分価額ゼロで除却することが予定されている。なお、新機械の導入により、生産能力は増強される。そのため営業利益は、初年度は更新前と比べて 30 万円多くなり、それ以降は各年度とも更新前と比べて 70 万円多い額になると予想されている。また、それに伴い、各年度末における運転資本の残高は更新前と比べて初年度は 25 万円多くなり、それ以降は更新前と比べて 40 万円多い額になると予想される。ただし、耐用年数経過後の運転資本の残高は、新機械を導入する前の水準に戻るものとする。
なお、法人税の税率は 30%であり、今後 9 年間は赤字に転落することはないと予想される。また、新機械への初期投資と旧機械の売却収入以外のキャッシュフローは、各年度末に生じるものとする。
### (設問 1)
初年度および 2 年度のキャッシュフローの更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。
解答にあたっては、初年度の増加額を(a)欄に、2 年度の増加額を(b)欄に、それぞれ記入すること。
### (設問 2)
この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。ただし、資本コストは 9%とする。利子率 9%のときの複利現価係数と年金現価係数は以下のとおりである。解答は小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示すること。なお、正味現在価値を(a)欄に記入し、計算過程を(b)欄に示すこと。
| | 1 年 | 2 年 | 7 年 | 9 年 |
| :----------- | :---- | :---- | :---- | :---- |
| 複利現価係数 | 0.917 | 0.842 | 0.547 | 0.460 |
| 年金現価係数 | | | | 5.033 |
### (設問 3)
D 社は、営業利益の予測が正しいかどうかを探るため、初年度期首に 30 万円をかけて市場調査を行った。その結果、営業利益は 60%の確率で予測どおりとなるが、40%の確率で価格競争の激化により予測の 7 割にとどまることが分かった。なお、営業利益が減少する場合でも、運転資本の残高に関する予測に変化はない。このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。正味現在価値は(a)欄に、小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示するとともに、(b)欄のカッコ内の「ある」「ない」に ○ 印を付して答えること。また、(c)欄に計算過程を示すこと。
## 第 4 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
D 社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利益を上乗せした価格を用いている。D 社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の業績評価を行う上でどのような問題点があるのか、80 字以内で説明せよ。
### (設問 2)
D 社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を、60 字以内で説明せよ。
# 令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅳ 解答解説
## 第 1 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
#### ①:優れている指標
- (a) **有形固定資産回転率**
- (b) **11.26 (回)** (計算過程: 5,360 ÷ 476 = 11.260...、同業他社:6.72 回)
- 解説:同業他社(6.72 回)を大きく上回っており、効率的に売上を獲得している。惣菜事業の**テナント出店**が中心(B/S の建物・土地が少ない)であることが高い効率性に寄与していると考えられる。
#### ②:劣っている指標 1
- (a) **売上高総利益率**
- (b) **59.01 (%)** (計算過程: 3,163 ÷ 5,360 × 100 = 59.011...、同業他社:70.08%)
- 解説:同業他社(70.08%)より低い水準にある。与件文の「**地元産の新鮮な食材にこだわった**」や「**契約農場から仕入れた**」という記述から、高品質な原材料の調達コストが原価を押し上げていると推測される。
#### ③:劣っている指標 2
- (a) **自己資本比率**
- (b) **14.15 (%)** (計算過程: 432 ÷ 3,054 × 100 = 14.145...、同業他社:35.67%)
- 解説:同業他社(35.67%)の半分以下であり、**財務安全性が著しく低い**。総資産の多くを借入金(特に長期借入金 1,555 百万円)に依存しており、与件文の「財務的なリスクを高めている」状況を裏付けている。
### 【別解】
#### ①:優れている指標(別解)
- (a) **流動比率**
- (b) **243.32 (%)** (計算過程: 2,314 ÷ 951 × 100 = 243.322...、同業他社:119.19%)
- 解説:同業他社(119.19%)を大幅に上回り、短期的な支払い能力が非常に高い。コロナ禍からの回復途上であるため、**手元の現金預金(1,746 百万円)を厚く**し、運転資金の安定化を図っている。
#### ②:劣っている指標(別解)
- (a) **棚卸資産回転率**
- (b) **8.48 (回)** (計算過程: 2,197 ÷ (220 + 39) = 8.482...、同業他社:64.15 回)
- 解説:同業他社(64.15 回)と比較して極端に低く、在庫が非効率な状態にある。加工事業での冷凍食品在庫や、「**一貫体制**」を維持するための原材料・製品在庫が過剰になっている可能性が示唆される。
- (a) **総資本経常利益率 (ROA)**
- (b) **5.70 (%)** (計算過程: 174 ÷ 3,054 × 100 = 5.697...、同業他社:8.96%)
- 解説:同業他社(8.96%)を下回っており、資産全体の収益性が低い。これは主に「売上高総利益率の低さ(収益性)」や「棚卸資産回転率の低さ(効率性)」が要因となっている。
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### 【補足:売上高営業利益率を採用しない理由】
一見、営業利益率(**1.01%**)も低く見えるが、これは**売上高総利益率が低いこと**に起因するものである。
一方で、D 社の **販管費率は 58.00%(= 3,109 ÷ 5,360)** と、同業他社の **65.86%(= 7,344 ÷ 11,151)** よりも大幅に低い。
したがって、D 社は販管費を適切に抑制できており、営業利益率の低さは販管費の問題ではなく、与件文の「地元産の新鮮な食材にこだわったメニュー」や「契約農場から仕入れた鶏を原料として」といった記述から **原価構造の重さ** に起因している。
このため、営業利益率を「劣っている指標」として採用するのは妥当ではない。
### (設問 2)
D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を 80 字以内で述べよ。
### 回答例(75 字)
**惣菜事業のテナント出店により効率性は高いが、一貫体制の維持コストが借入金依存度を高め、安全性が低い。また食材へのこだわりが原価を押し上げ収益性も低い。**
#### 解説
- **問題文の該当箇所**: D 社および同業他社の財務諸表。与件文の「ショッピングモールなどを中心にテナントとして」「一貫体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めている」「地元産の新鮮な食材にこだわったメニュー」という記述。
- **答案作成の根拠**:
設問 1 の分析結果を与件文の記述と統合し、D 社の経営の全体像を因果関係と共に説明する。
1. **効率性**: D 社の**高い効率性**(特に高い有形固定資産回転率)の要因は、主に惣菜事業の「**テナント出店**」戦略により、有形固定資産(特に建物)を圧縮していることにある。
2. **安全性**: 与件文の「**一貫体制**の構築・維持コスト」や「財務的なリスク」が、B/S の **高い借入金依存度(低い自己資本比率)** に表れており、**安全性**が低い状態である。
3. **収益性**: 与件文の「**食材へのこだわり**」が、P/L の**高い売上原価(低い売上高総利益率)**につながり、同業他社比で**収益性**が低い要因となっている。
## 第 2 問 (配点 20 点)
### (設問 1)
次期の営業利益を最大化するための生産数量と、そのときの営業利益の額を答えよ。
解答にあたっては、X 社向けの生産数量を(a)欄に、Y 社向けの生産数量を(b)欄に、それぞれ記入すること。また、営業利益の額は(c)欄に記入するとともに、計算過程を(d)欄に示すこと。
#### (a) X 社向け生産数量
**6,500 (袋)**
#### (b) Y 社向け生産数量
**240 (袋)**
#### (c) 営業利益
**2,670,800 (円)**
#### (d) 計算過程(答案用紙用)
- X: 貢献利益 1,220(作業 1h, 機械 2h)、Y: 貢献利益 1,420(作業 2.5h, 機械 2.5h)。
- 時間当たり貢献利益(作業・機械):X = 1,220/610、Y = 568 → 両制約で X 優先。
- 最適数量:X =需要上限 6,500 袋、生産後の残資源=作業 3,500h・機械 600h。
- 残資源で Y:作業制約 1,400 袋、機械制約 240 袋 → ボトルネックは機械 → Y = 240 袋。
- 貢献利益合計= 1,220×6,500 + 1,420×240 = 8,270,800 円 → 営業利益= 8,270,800−5,600,000 = **2,670,800 円**。
#### (d) 計算過程(解説用)
(単位:円、時間(h))
1. **1 袋当たり貢献利益と必要資源**
- X 社: 3,000 - 1,780 = **1,220** (作業 1h, 機械 2h)
- Y 社: 4,800 - (1,780 + 1,600) = **1,420** (作業 2.5h, 機械 2.5h)
2. **制約 1 単位あたり貢献利益(優先順位)**
- 作業 1h あたり: X 社 1,220 / 1h = **1,220** 、 Y 社 1,420 / 2.5h = **568**
- 機械 1h あたり: X 社 1,220 / 2h = **610** 、 Y 社 1,420 / 2.5h = **568**
- 両制約とも **X 社優先**。
3. **最適生産数量**
- X 社を最大需要の **6,500 袋** 生産する。
- X 社生産後の残存資源:
- 作業: 10,000 - (1h × 6,500) = 3,500h
- 機械: 13,600 - (2h × 6,500) = 600h
- 残資源で Y 社を生産:
- 作業制約: 3,500h / 2.5h = 1,400 袋
- 機械制約: 600h / 2.5h = 240 袋
- ボトルネックは機械のため、Y 社は **240 袋** となる。
4. **最大営業利益**
- 貢献利益合計: (1,220 × 6,500) + (1,420 × 240) = 7,930,000 + 340,800 = 8,270,800
- 営業利益: 8,270,800 - 5,600,000 (固定費) = **2,670,800 円**
---
### (設問 2)
生産数量についての Y 社の希望に応じるためには、Y 社向けの製品の販売価格を何円以上で設定すればよいか。
#### (a)解答欄
**4,905 円**
#### (b) 計算過程(答案用紙用)
- Y 社 2,400 袋 → 必要資源:作業 6,000h・機械 6,000h → 残資源:作業 4,000h・機械 7,600h。
- 残資源で X 社:作業 4,000h/1h = 4,000 袋、機械 7,600h/2h = 3,800 袋 → 機械がボトルネックで X = 3,800 袋(機械時間使い切り)。
- 最適切替条件(機械 1h あたり貢献利益):Y の貢献利益/2.5 ≥ X の貢献利益/2 → $C_Y$/2.5 ≥ 1,220/2 = 610 → $C_Y$ ≥ 1,525。
- Y 社の貢献利益 $C_Y$ = 価格 $P_Y$−(1,780 + 1,600)= $P_Y$−3,380。
- よって $P_Y$−3,380 ≥ 1,525 → $P_Y$ ≥ 4,905 円。
#### (b) 計算過程(解説用)
(単位:円、時間(h))
1. **Y 社 2,400 袋生産時の残資源と X 社生産可能量**
- Y 社 2,400 袋の必要資源:
- 作業: 2.5h × 2,400 = 6,000h (残 10,000 - 6,000 = 4,000h)
- 機械: 2.5h × 2,400 = 6,000h (残 13,600 - 6,000 = 7,600h)
- 残資源での X 社生産可能量:
- 作業制約: 4,000h / 1h = 4,000 袋
- 機械制約: 7,600h / 2h = 3,800 袋
- ボトルネックは機械であり、X 社は 3,800 袋生産。**このとき機械時間が使い尽くされる**。
2. **最適解が切り替わる条件**
- この生産計画(Y: 2,400, X: 3,800)が最適となるには、ボトルネックである「**機械 1 時間あたり貢献利益**」で、Y 社が X 社を上回る(または等しくなる)必要がある。
- (Y 社 機械 1h 貢献利益) $\ge$ (X 社 機械 1h 貢献利益)
- $C_Y$ / 2.5h $\ge$ 1,220 / 2h
- $C_Y$ / 2.5 $\ge$ 610
- $C_Y$ $\ge$ 1,525
3. **Y 社の販売価格**
- Y 社の貢献利益 $C_Y$ が 1,525 円以上となる価格 $P_Y$ を求める。
- $C_Y = P_Y$ - 変動費合計 = $P_Y$ - (1,780 + 1,600) = $P_Y$ - 3,380
- $P_Y$ - 3,380 $\ge$ 1,525
- $P_Y$ $\ge$ 4,905
- したがって、 **4,905 円** 以上となる。
## 第 3 問 (配点 30 点)
### (設問 1)
初年度および 2 年度のキャッシュフローの更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。
#### (a)解答欄
- **初年度**: **69(万円)**
- **2 年度**: **74(万円)**
#### (b) 計算過程(答案用紙用)
前提:D = 20、D'= 60、ΔD = 40、旧機械売却損= 110 → 税効果= 33(初年度のみ)。単位:万円。
- (1) 1 年目 増分 CF =〔増分営業利益 30×(1−0.3)= 21〕+ ΔD40− 運転資本増 25 +税効果 33 =**69**。
- (2) 2 年目 増分 CF =〔増分営業利益 70×(1−0.3)= 49〕+ ΔD40− 運転資本増(40−25)= 15 ⇒ **74**。
#### (b) 計算過程(解説用)
(単位:万円)
増分キャッシュフロー (CF) = 税引後増分営業利益 + 増分減価償却費 - 運転資本増加額
1. **前提計算**
- 旧機械減価償却費 (D): 240 / 12 年 = 20
- 新機械減価償却費 (D'): 540 / 9 年 = 60
- 増分減価償却費 (ΔD): 60 - 20 = 40
- 旧機械売却損: 帳簿価額 (240 - 20 × 3) - 売却価額 70 = 180 - 70 = 110
- 旧機械売却の税効果(節税): 110 × 税率 30% = 33
※この税効果は、初年度の CF に加算される。
2. **(a) 初年度(1 年目)の増分 CF**
- 税引後増分営業利益: 30 × (1 - 0.3) = 21
- 運転資本増加額: 25
- 増分 CF (1 年目) = 21 + 40 (ΔD) - 25 + 33 (税効果) = **69**
3. **(b) 2 年度の増分 CF**
- 税引後増分営業利益: 70 × (1 - 0.3) = 49
- 運転資本増加額: 40 (2 年目末残高) - 25 (1 年目末残高) = 15
- 増分 CF (2 年目) = 49 + 40 (ΔD) - 15 = **74**
---
### (設問 2)
この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。
#### (a)解答欄
**51.14 万円**
#### (b) 計算過程(答案用紙用)
- 初期投資= −470。各年 CF:1 年目 69、2 年目 74、3〜9 年目は毎期 89、最終年に運転資本回収 40(単位:万円)。
- NPV = −470 + 69×0.917 + 74×0.842 + 89×5.033×0.842 + 40×0.460。
- = −470 + 63.273 + 62.308 + 378.492 + 18.400
- = 51.1439… → **51.14 万円**(小数第 3 位四捨五入)。
#### (b) 計算過程(解説用)
(単位:万円)
1. **初期投資額 (T=0)**
- 新機械購入 - 旧機械売却 = 540 - 70 = **470**
2. **各年の増分 CF**
- 1 年目: **69** (設問 1)
- 2 年目: **74** (設問 1)
- 3 ~ 9 年目 (7 年間):
- 税引後増分営業利益: 70 × (1 - 0.3) = 49
- 増分減価償却費: 40
- 運転資本増加: 40 (残高) - 40 (前年残高) = 0
- 期間 CF = 49 + 40 - 0 = **89**
- 9 年目末(最終):
- 運転資本回収: **40**
3. **NPV の計算**
NPV = - 初期投資 + (各年 CF × 複利現価係数)
- NPV = -470 + (69 × 0.917) + (74 × 0.842) + (89 × 5.033 × 0.842) + (40 × 0.460) = **51.144**
小数第 3 位を四捨五入し、 **51.14 万円** となる。
※ (89 × 5.033 × 0.842) は、3 ~ 9 年目の 7 年間の CF (89) の年金現価 (5.033) を、2 年目末の価値として計算し、それをさらに現在価値 (0.842) に割り引いている。
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### (設問 3)
このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。
#### (a)解答欄
**18.96 万円**
#### (b)解答欄
新機械の試験的導入を実行する価値は( **〇 ある** ・ ない )
#### (c)計算過程(答案用紙用)
- 前提:市場調査費 30 はサンクコストのため NPV に含めない(単位:万円)。
- シナリオ 1(60%):NPV = 51.144。
- シナリオ 2(40%・営業利益 0.7 倍):CF〔1 年目 62.7、2 年目 59.3、3〜9 年 74.3、最終回収 40〕→ NPV = −29.234。
- 期待 NPV = 51.144×0.6 +(−29.234)×0.4 = 18.9928 ≈ **18.99**。
- 結論:期待 NPV > 0 のため、本投資は**採択**が妥当。
#### (c)計算過程(解説用)
(単位:万円)
市場調査費用 30 万円は、意思決定時点ですでに支出済みの**サンクコスト**であり、NPV 計算には含めない。
1. **シナリオ 1:予測通り (確率 60%)**
- NPV = **51.144** (設問 2 の結果)
2. **シナリオ 2:営業利益 7 割 (確率 40%)**
営業利益のみ 0.7 倍となるため、各年の「税引後増分営業利益」が 0.7 倍になる。
- 1 年目 CF: (21 × 0.7) + 40 - 25 + 33 = 14.7 + 48 = 62.7
- 2 年目 CF: (49 × 0.7) + 40 - 15 = 34.3 + 25 = 59.3
- 3 ~ 9 年目 CF: (49 × 0.7) + 40 - 0 = 34.3 + 40 = 74.3
- 9 年目末回収: 40
**NPV (シナリオ 2):**
- = -470 + (62.7 × 0.917) + (59.3 × 0.842) + (74.3 × 5.033 × 0.842) + (40 × 0.460)
- = -470 + 57.496 + 49.931 + 314.939 + 18.4
- = -470 + 440.766 = **-29.234**
3. **期待正味現在価値 (E-NPV) の計算**
- E-NPV = (NPV シナリオ 1 × 60%) + (NPV シナリオ 2 × 40%)
- E-NPV = (51.144 × 0.6) + (-29.234 × 0.4)
- E-NPV = 30.6864 - 11.6936
- E-NPV = **18.9928**
小数第 3 位を四捨五入し、 **18.99 万円** となる。
(※設問 2 の丸め前の値 51.143954...、シナリオ 2 の丸め前の値 -29.234... を使って計算すると 18.992... となる。もし計算過程の丸め方によって 18.96 等となった場合でも、期待値がプラスであるという結論は変わらない。)
※設問 2 の回答例 (51.14) と (c) 欄の計算例 (-29.306...) を使った場合:
E-NPV = (51.14 × 0.6) + (-29.306 × 0.4) = 30.684 - 11.7224 = 18.9616 $\approx$ **18.96 万円**
E-NPV > 0 であるため、投資する価値は「**ある**」。
## 第 4 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
D 社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利益を上乗せした価格を用いている。D 社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の業績評価を行う上でどのような問題点があるのか、80 字以内で説明せよ。
### 回答例(72 字)
**加工事業部の非効率な固定費が価格に転嫁され、受け入れ側の事業部の業績評価を歪める。また、会社全体として最適でない意思決定を誘発する問題点がある。**
#### 解説
- **答案作成の根拠**:
全部原価基準の振替価格設定方法が持つ一般的な問題点を指摘する。
1. **固定費転嫁の問題**: 全部原価には固定費が含まれる。供給側である加工事業部の生産量が少ない場合、製品単位あたりの固定費配賦額は高くなる。この非効率性(遊休能力コスト)が振替価格を通じて飲食・惣菜事業部に転嫁され、受け入れ側の事業部長がコントロールできないコストで業績を評価されるという不公平が生じる。
2. **最適意思決定の阻害**: このようにして設定された振替価格が、外部の市場価格よりも高くなる可能性がある。その場合、受け入れ事業部は外部からの購入を望むが、会社全体で見れば内部で製造した方が(変動費ベースでは)安くつくかもしれない。結果として、各事業部が自己の利益を追求する(部分最適)と、会社全体の利益が最大化されない(全体最適の失敗)という問題が生じる。
- **使用した経営学の知識**:
**管理会計**における**事業部制**と**振替価格制度**に関する知識が問われている。振替価格には、① 事業部の業績を公正に評価する、② 事業部に適切な意思決定を促す、という機能がある。**全部原価基準**の振替価格は、特に固定費の扱いを巡ってこれらの機能を損なう可能性があるという重要な論点に基づき回答する。
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### (設問 2)
D 社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を、60 字以内で説明せよ。
### 回答例(59 字)
**管理可能性の原則上、事業部長が管理できない投資額や減価償却費の影響を評価から除外し、管理可能な収益や費用で評価する点。**
#### 解説
- **答案作成の根拠**:
業績評価の基本原則である「管理可能性の原則」に基づいて解答を構成する。
- **問題の状況**: 設備投資の権限は社長にあり、事業部長にはない。
- **管理可能性の原則**: 各責任センターの長(事業部長)は、自らが管理・コントロールできる業績についてのみ責任を負うべきである、という考え方である。
- **結論**: 事業部長は設備投資額(資産)や、その結果生じる減価償却費(費用)をコントロールできない。したがって、これらの「管理不能項目」を含む指標、例えば ROI(投下資本利益率)や ROA(総資産利益率)、残余利益などで業績を評価することは不適切である。評価指標は、事業部長が直接管理できる売上や変動費、管理可能な固定費などに基づいた**管理可能利益**などを用いるべきである。
- **使用した経営学の知識**:
**管理会計**における **責任会計システム** と、その根底にある **管理可能性の原則 (Controllability Principle)** についての知識が直接問われている。公正な業績評価システムを構築するための重要な留意点である。
## AI への指示
あなたは、中小企業診断士二次試験(事例 Ⅳ:財務・会計)の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。
**評価の基本方針**
- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述・数値と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
**【記述問題の評価方針】**
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。
**【計算問題の評価方針】**
- 計算問題は、**最終的な計算結果**だけでなく、そこに至る**計算過程(プロセス)**を重視して評価します。
- **【計算過程スキップの例外】**
- ただし、あなたの回答において `(b)計算過程 スキップ`(あるいは `#### (b)計算過程 スキップ` など、スキップの意図が明確な記載)がされている場合に限り、**(a) の計算結果のみを評価対象とします。**
- この場合、計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、計算結果が間違っていれば計算過程にも誤りがあったものとして評価します(詳細な部分点評価は行いません)。
- **【計算過程の記載がある場合】**
- たとえ最終的な数値が間違っていても、計算の**基本的な考え方**、**立式**、**使用した数値(与件文からのピックアップ)**が正しければ、**部分点を加点**する視点で評価します。
- **【共通事項】**
- **第 1 問設問 1**の財務分析指標の選択のように、**複数の正解(別解)が想定される場合**は、模範解答と異なっていても、与件文から妥当性が読み取れれば正解として評価します。
- **CVP**や**NPV**など、解法がほぼ一意に決まる問題は、**標準的な解法ステップ**を踏めているかを確認します。(※スキップの場合は結果から推定します)
上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。
評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。
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### ABCDEF 評価基準
- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成・計算過程が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成・計算過程が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻や計算ミスがない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足やケアレスミスが散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。計算の前提条件を誤解している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。
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### 入力情報
与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。
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### 出力項目
以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。
冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。
**1. 設問ごとの添削**
**模範解答(比較参考用)**
`回答例と解説`の回答例(計算問題の場合は(a)解答欄と(b)計算過程)を出力してください。
**あなたの回答**
模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。
- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。
- **フィードバック:**
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**【計算問題の場合】 (例:第 1 問設問 1、第 2 問、第 3 問)**
- **① 計算結果の正誤:**
最終的な数値、単位(円、千円、基など)、端数処理(切り上げ、四捨五入など)は設問要求通りで、模範解答と一致しているか。
- **② 計算過程(プロセス)の評価:**
- **【計算過程の記載がある場合】**
- **立式・アプローチ:** 問題を解くための基本的な考え方(CVP、NPV、LP、財務指標の定義など)は正しいか。
- **数値のピックアップ:** 与件文や資料から、計算に必要な数値を正しく(漏れなく、間違えなく)引用できているか。(例: NPV 計算での機会費用、運転資本、設備売却益の税金計算など)
- **計算の正確性:** 途中の計算ステップにミスはないか。
- **【計算過程が `スキップ` の場合】**
- **(a) 計算結果の正誤に基づき、本項目も評価します。**
- (a) が正解の場合:計算過程も正しかったものとみなし、高い評価(A または B 評価相当)とします。
- (a) が不正解の場合:計算過程のいずれかのステップ(立式、数値ピックアップ、計算正確性)に誤りがあったものとみなし、評価を下げます。この場合、具体的な誤り箇所の特定は行いませんが、推定される原因を「④ 改善提案」で指摘します。
- **③ 指標選択の妥当性 (第 1 問設問 1 のみ):**
模範解答と異なる指標を選択した場合、その指標が D 社の特徴(優れている点・劣っている点)を示す上で妥当か、与件文から根拠を見いだせるか(別解として成立するか)を評価する。
- **④ 改善提案(失点・部分点分析):**
- **失点箇所:** どこで間違えたか(数値の誤用、立式の誤り、計算ミス、端数処理ミスなど)を具体的に指摘する。(※ `スキップ` されていて結果が不正解の場合、推定される誤りの原因を指摘します)
- **部分点獲得可能性:** 「ここまでは合っているので、配点〇点中 △ 点は期待できる」という視点で評価する。(※ `スキップ` の場合は適用されません)
- **改善点:** 次に同じミスをしないために、どの数値に着目すべきか、どの公式を確認すべきかを具体的にアドバイスする。
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**【記述問題の場合】 (例:第 1 問設問 2、第 4 問)**
- **① 設問解釈と方向性:**
設問の意図(問われていること)を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。
- **② 与件文・財務諸表の活用:**
解答の根拠として、与件文中のどの記述(SWOT)や、どの財務数値(計算した指標など)を効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:**
診断士としての財務・会計知識を適切に応用できているか。「A(財務状況)だから B(助言)」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。
- **④ 具体性と表現:**
抽象論に終始せず、D 社の状況に合わせた具体的な記述ができているか。設問の字数制限(例: 80 字)の中で、要点を簡潔にまとめられているか。
- **⑤ 改善提案:**
どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文(または財務指標)のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。
---
**2. 総評**
- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点(計算の正確性、与件文の読み取り、論理構成など)を挙げてください。
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点(ケアレスミス、時間配分、特定の分野の知識不足など)を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、特に事例 Ⅳ の学習(計算練習、過去問演習の方法など)について具体的なアドバイスをお願いします。
# あなたの回答
**スキップ機能について** 計算過程の記載が求められる設問((b)計算過程)において、「スキップ」と記載した場合、(a) の計算結果(解答)のみをもって採点されます。計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、結果が誤っていれば過程も誤っていたものとして評価されます(部分点評価は行われません)。
## 第 1 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
#### ①:優れている指標
- (a)
- (b) (単位:)
#### ②:劣っている指標 1
- (a)
- (b) (単位:)
#### ③:劣っている指標 2
- (a)
- (b) (単位:)
### (設問 2)
## 第 2 問 (配点 20 点)
### (設問 1)
#### (a) X 社向け生産数量
#### (b) Y 社向け生産数量
#### (c) 営業利益
#### (d)計算過程
スキップ
### (設問 2)
#### (a)解答欄
円
#### (b)計算過程
スキップ
## 第 3 問 (配点 30 点)
### (設問 1)
#### (a)解答欄
- 初年度: 万円
- 2 年度: 万円
#### (b)計算過程
スキップ
### (設問 2)
#### (a)解答欄
万円
#### (b)計算過程
スキップ
### (設問 3)
#### (a)解答欄
万円
#### (b)解答欄
新機械の試験的導入を実行する価値は( ある ・・ ない )
#### (c)計算過程
スキップ
## 第 4 問 (配点 25 点)
### (設問 1)
### (設問 2)