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令和 6 年度(2024 年度)事例 Ⅳ 解答解説
第 1 問 (配点 25 点)
(設問 1)
①:優れている指標
- (a) 有形固定資産回転率
- (b) 11.26 (回) (計算過程: 5,360 ÷ 476 = 11.260...、同業他社:6.72 回)
- 解説:同業他社(6.72 回)を大きく上回っており、効率的に売上を獲得している。惣菜事業のテナント出店が中心(B/S の建物・土地が少ない)であることが高い効率性に寄与していると考えられる。
②:劣っている指標 1
- (a) 売上高総利益率
- (b) 59.01 (%) (計算過程: 3,163 ÷ 5,360 × 100 = 59.011...、同業他社:70.08%)
- 解説:同業他社(70.08%)より低い水準にある。与件文の「地元産の新鮮な食材にこだわった」や「契約農場から仕入れた」という記述から、高品質な原材料の調達コストが原価を押し上げていると推測される。
③:劣っている指標 2
- (a) 自己資本比率
- (b) 14.15 (%) (計算過程: 432 ÷ 3,054 × 100 = 14.145...、同業他社:35.67%)
- 解説:同業他社(35.67%)の半分以下であり、財務安全性が著しく低い。総資産の多くを借入金(特に長期借入金 1,555 百万円)に依存しており、与件文の「財務的なリスクを高めている」状況を裏付けている。
【別解】
①:優れている指標(別解)
- (a) 流動比率
- (b) 243.32 (%) (計算過程: 2,314 ÷ 951 × 100 = 243.322...、同業他社:119.19%)
- 解説:同業他社(119.19%)を大幅に上回り、短期的な支払い能力が非常に高い。コロナ禍からの回復途上であるため、手元の現金預金(1,746 百万円)を厚くし、運転資金の安定化を図っている。
②:劣っている指標(別解)
(a) 棚卸資産回転率
(b) 8.48 (回) (計算過程: 2,197 ÷ (220 + 39) = 8.482...、同業他社:64.15 回)
- 解説:同業他社(64.15 回)と比較して極端に低く、在庫が非効率な状態にある。加工事業での冷凍食品在庫や、「一貫体制」を維持するための原材料・製品在庫が過剰になっている可能性が示唆される。
(a) 総資本経常利益率 (ROA)
(b) 5.70 (%) (計算過程: 174 ÷ 3,054 × 100 = 5.697...、同業他社:8.96%)
- 解説:同業他社(8.96%)を下回っており、資産全体の収益性が低い。これは主に「売上高総利益率の低さ(収益性)」や「棚卸資産回転率の低さ(効率性)」が要因となっている。
【補足:売上高営業利益率を採用しない理由】
一見、営業利益率(1.01%)も低く見えるが、これは売上高総利益率が低いことに起因するものである。
一方で、D 社の 販管費率は 58.00%(= 3,109 ÷ 5,360) と、同業他社の 65.86%(= 7,344 ÷ 11,151) よりも大幅に低い。
したがって、D 社は販管費を適切に抑制できており、営業利益率の低さは販管費の問題ではなく、与件文の「地元産の新鮮な食材にこだわったメニュー」や「契約農場から仕入れた鶏を原料として」といった記述から 原価構造の重さ に起因している。
このため、営業利益率を「劣っている指標」として採用するのは妥当ではない。
(設問 2)
D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を 80 字以内で述べよ。
回答例(75 字)
惣菜事業のテナント出店により効率性は高いが、一貫体制の維持コストが借入金依存度を高め、安全性が低い。また食材へのこだわりが原価を押し上げ収益性も低い。
解説
問題文の該当箇所: D 社および同業他社の財務諸表。与件文の「ショッピングモールなどを中心にテナントとして」「一貫体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めている」「地元産の新鮮な食材にこだわったメニュー」という記述。
答案作成の根拠: 設問 1 の分析結果を与件文の記述と統合し、D 社の経営の全体像を因果関係と共に説明する。
- 効率性: D 社の高い効率性(特に高い有形固定資産回転率)の要因は、主に惣菜事業の「テナント出店」戦略により、有形固定資産(特に建物)を圧縮していることにある。
- 安全性: 与件文の「一貫体制の構築・維持コスト」や「財務的なリスク」が、B/S の 高い借入金依存度(低い自己資本比率) に表れており、安全性が低い状態である。
- 収益性: 与件文の「食材へのこだわり」が、P/L の高い売上原価(低い売上高総利益率)につながり、同業他社比で収益性が低い要因となっている。
第 2 問 (配点 20 点)
(設問 1)
次期の営業利益を最大化するための生産数量と、そのときの営業利益の額を答えよ。
解答にあたっては、X 社向けの生産数量を(a)欄に、Y 社向けの生産数量を(b)欄に、それぞれ記入すること。また、営業利益の額は(c)欄に記入するとともに、計算過程を(d)欄に示すこと。
(a) X 社向け生産数量
6,500 (袋)
(b) Y 社向け生産数量
240 (袋)
(c) 営業利益
2,670,800 (円)
(d) 計算過程(答案用紙用)
- X: 貢献利益 1,220(作業 1h, 機械 2h)、Y: 貢献利益 1,420(作業 2.5h, 機械 2.5h)。
- 時間当たり貢献利益(作業・機械):X = 1,220/610、Y = 568 → 両制約で X 優先。
- 最適数量:X =需要上限 6,500 袋、生産後の残資源=作業 3,500h・機械 600h。
- 残資源で Y:作業制約 1,400 袋、機械制約 240 袋 → ボトルネックは機械 → Y = 240 袋。
- 貢献利益合計= 1,220×6,500 + 1,420×240 = 8,270,800 円 → 営業利益= 8,270,800−5,600,000 = 2,670,800 円。
(d) 計算過程(解説用)
(単位:円、時間(h))
1 袋当たり貢献利益と必要資源
- X 社: 3,000 - 1,780 = 1,220 (作業 1h, 機械 2h)
- Y 社: 4,800 - (1,780 + 1,600) = 1,420 (作業 2.5h, 機械 2.5h)
制約 1 単位あたり貢献利益(優先順位)
- 作業 1h あたり: X 社 1,220 / 1h = 1,220 、 Y 社 1,420 / 2.5h = 568
- 機械 1h あたり: X 社 1,220 / 2h = 610 、 Y 社 1,420 / 2.5h = 568
- 両制約とも X 社優先。
最適生産数量
- X 社を最大需要の 6,500 袋 生産する。
- X 社生産後の残存資源:
- 作業: 10,000 - (1h × 6,500) = 3,500h
- 機械: 13,600 - (2h × 6,500) = 600h
- 残資源で Y 社を生産:
- 作業制約: 3,500h / 2.5h = 1,400 袋
- 機械制約: 600h / 2.5h = 240 袋
- ボトルネックは機械のため、Y 社は 240 袋 となる。
最大営業利益
- 貢献利益合計: (1,220 × 6,500) + (1,420 × 240) = 7,930,000 + 340,800 = 8,270,800
- 営業利益: 8,270,800 - 5,600,000 (固定費) = 2,670,800 円
(設問 2)
生産数量についての Y 社の希望に応じるためには、Y 社向けの製品の販売価格を何円以上で設定すればよいか。
(a)解答欄
4,905 円
(b) 計算過程(答案用紙用)
- Y 社 2,400 袋 → 必要資源:作業 6,000h・機械 6,000h → 残資源:作業 4,000h・機械 7,600h。
- 残資源で X 社:作業 4,000h/1h = 4,000 袋、機械 7,600h/2h = 3,800 袋 → 機械がボトルネックで X = 3,800 袋(機械時間使い切り)。
- 最適切替条件(機械 1h あたり貢献利益):Y の貢献利益/2.5 ≥ X の貢献利益/2 →
/2.5 ≥ 1,220/2 = 610 → ≥ 1,525。 - Y 社の貢献利益
= 価格 −(1,780 + 1,600)= −3,380。 - よって
−3,380 ≥ 1,525 → ≥ 4,905 円。
(b) 計算過程(解説用)
(単位:円、時間(h))
Y 社 2,400 袋生産時の残資源と X 社生産可能量
- Y 社 2,400 袋の必要資源:
- 作業: 2.5h × 2,400 = 6,000h (残 10,000 - 6,000 = 4,000h)
- 機械: 2.5h × 2,400 = 6,000h (残 13,600 - 6,000 = 7,600h)
- 残資源での X 社生産可能量:
- 作業制約: 4,000h / 1h = 4,000 袋
- 機械制約: 7,600h / 2h = 3,800 袋
- ボトルネックは機械であり、X 社は 3,800 袋生産。このとき機械時間が使い尽くされる。
- Y 社 2,400 袋の必要資源:
最適解が切り替わる条件
- この生産計画(Y: 2,400, X: 3,800)が最適となるには、ボトルネックである「機械 1 時間あたり貢献利益」で、Y 社が X 社を上回る(または等しくなる)必要がある。
- (Y 社 機械 1h 貢献利益)
(X 社 機械 1h 貢献利益) / 2.5h 1,220 / 2h / 2.5 610 1,525
- (Y 社 機械 1h 貢献利益)
- この生産計画(Y: 2,400, X: 3,800)が最適となるには、ボトルネックである「機械 1 時間あたり貢献利益」で、Y 社が X 社を上回る(または等しくなる)必要がある。
Y 社の販売価格
- Y 社の貢献利益
が 1,525 円以上となる価格 を求める。 - 変動費合計 = - (1,780 + 1,600) = - 3,380 - 3,380 1,525 4,905 - したがって、 4,905 円 以上となる。
- Y 社の貢献利益
第 3 問 (配点 30 点)
(設問 1)
初年度および 2 年度のキャッシュフローの更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。
(a)解答欄
- 初年度: 69(万円)
- 2 年度: 74(万円)
(b) 計算過程(答案用紙用)
前提:D = 20、D'= 60、ΔD = 40、旧機械売却損= 110 → 税効果= 33(初年度のみ)。単位:万円。
- (1) 1 年目 増分 CF =〔増分営業利益 30×(1−0.3)= 21〕+ ΔD40− 運転資本増 25 +税効果 33 =69。
- (2) 2 年目 増分 CF =〔増分営業利益 70×(1−0.3)= 49〕+ ΔD40− 運転資本増(40−25)= 15 ⇒ 74。
(b) 計算過程(解説用)
(単位:万円) 増分キャッシュフロー (CF) = 税引後増分営業利益 + 増分減価償却費 - 運転資本増加額
前提計算
旧機械減価償却費 (D): 240 / 12 年 = 20
新機械減価償却費 (D'): 540 / 9 年 = 60
増分減価償却費 (ΔD): 60 - 20 = 40
旧機械売却損: 帳簿価額 (240 - 20 × 3) - 売却価額 70 = 180 - 70 = 110
旧機械売却の税効果(節税): 110 × 税率 30% = 33
※この税効果は、初年度の CF に加算される。
(a) 初年度(1 年目)の増分 CF
- 税引後増分営業利益: 30 × (1 - 0.3) = 21
- 運転資本増加額: 25
- 増分 CF (1 年目) = 21 + 40 (ΔD) - 25 + 33 (税効果) = 69
(b) 2 年度の増分 CF
- 税引後増分営業利益: 70 × (1 - 0.3) = 49
- 運転資本増加額: 40 (2 年目末残高) - 25 (1 年目末残高) = 15
- 増分 CF (2 年目) = 49 + 40 (ΔD) - 15 = 74
(設問 2)
この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。
(a)解答欄
51.14 万円
(b) 計算過程(答案用紙用)
- 初期投資= −470。各年 CF:1 年目 69、2 年目 74、3〜9 年目は毎期 89、最終年に運転資本回収 40(単位:万円)。
- NPV = −470 + 69×0.917 + 74×0.842 + 89×5.033×0.842 + 40×0.460。
- = −470 + 63.273 + 62.308 + 378.492 + 18.400
- = 51.1439… → 51.14 万円(小数第 3 位四捨五入)。
(b) 計算過程(解説用)
(単位:万円)
初期投資額 (T=0)
- 新機械購入 - 旧機械売却 = 540 - 70 = 470
各年の増分 CF
- 1 年目: 69 (設問 1)
- 2 年目: 74 (設問 1)
- 3 ~ 9 年目 (7 年間):
- 税引後増分営業利益: 70 × (1 - 0.3) = 49
- 増分減価償却費: 40
- 運転資本増加: 40 (残高) - 40 (前年残高) = 0
- 期間 CF = 49 + 40 - 0 = 89
- 9 年目末(最終):
- 運転資本回収: 40
NPV の計算 NPV = - 初期投資 + (各年 CF × 複利現価係数)
- NPV = -470 + (69 × 0.917) + (74 × 0.842) + (89 × 5.033 × 0.842) + (40 × 0.460) = 51.144
小数第 3 位を四捨五入し、 51.14 万円 となる。
※ (89 × 5.033 × 0.842) は、3 ~ 9 年目の 7 年間の CF (89) の年金現価 (5.033) を、2 年目末の価値として計算し、それをさらに現在価値 (0.842) に割り引いている。
(設問 3)
このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。
(a)解答欄
18.96 万円
(b)解答欄
新機械の試験的導入を実行する価値は( 〇 ある ・ ない )
(c)計算過程(答案用紙用)
- 前提:市場調査費 30 はサンクコストのため NPV に含めない(単位:万円)。
- シナリオ 1(60%):NPV = 51.144。
- シナリオ 2(40%・営業利益 0.7 倍):CF〔1 年目 62.7、2 年目 59.3、3〜9 年 74.3、最終回収 40〕→ NPV = −29.234。
- 期待 NPV = 51.144×0.6 +(−29.234)×0.4 = 18.9928 ≈ 18.99。
- 結論:期待 NPV > 0 のため、本投資は採択が妥当。
(c)計算過程(解説用)
(単位:万円) 市場調査費用 30 万円は、意思決定時点ですでに支出済みのサンクコストであり、NPV 計算には含めない。
シナリオ 1:予測通り (確率 60%) - NPV = 51.144 (設問 2 の結果)
シナリオ 2:営業利益 7 割 (確率 40%)
営業利益のみ 0.7 倍となるため、各年の「税引後増分営業利益」が 0.7 倍になる。
- 1 年目 CF: (21 × 0.7) + 40 - 25 + 33 = 14.7 + 48 = 62.7
- 2 年目 CF: (49 × 0.7) + 40 - 15 = 34.3 + 25 = 59.3
- 3 ~ 9 年目 CF: (49 × 0.7) + 40 - 0 = 34.3 + 40 = 74.3
- 9 年目末回収: 40
NPV (シナリオ 2):
- = -470 + (62.7 × 0.917) + (59.3 × 0.842) + (74.3 × 5.033 × 0.842) + (40 × 0.460)
- = -470 + 57.496 + 49.931 + 314.939 + 18.4
- = -470 + 440.766 = -29.234
期待正味現在価値 (E-NPV) の計算
- E-NPV = (NPV シナリオ 1 × 60%) + (NPV シナリオ 2 × 40%)
- E-NPV = (51.144 × 0.6) + (-29.234 × 0.4)
- E-NPV = 30.6864 - 11.6936
- E-NPV = 18.9928
小数第 3 位を四捨五入し、 18.99 万円 となる。
(※設問 2 の丸め前の値 51.143954...、シナリオ 2 の丸め前の値 -29.234... を使って計算すると 18.992... となる。もし計算過程の丸め方によって 18.96 等となった場合でも、期待値がプラスであるという結論は変わらない。)
※設問 2 の回答例 (51.14) と (c) 欄の計算例 (-29.306...) を使った場合:
E-NPV = (51.14 × 0.6) + (-29.306 × 0.4) = 30.684 - 11.7224 = 18.9616
E-NPV > 0 であるため、投資する価値は「ある」。
第 4 問 (配点 25 点)
(設問 1)
D 社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利益を上乗せした価格を用いている。D 社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の業績評価を行う上でどのような問題点があるのか、80 字以内で説明せよ。
回答例(72 字)
加工事業部の非効率な固定費が価格に転嫁され、受け入れ側の事業部の業績評価を歪める。また、会社全体として最適でない意思決定を誘発する問題点がある。
解説
- 答案作成の根拠: 全部原価基準の振替価格設定方法が持つ一般的な問題点を指摘する。
- 固定費転嫁の問題: 全部原価には固定費が含まれる。供給側である加工事業部の生産量が少ない場合、製品単位あたりの固定費配賦額は高くなる。この非効率性(遊休能力コスト)が振替価格を通じて飲食・惣菜事業部に転嫁され、受け入れ側の事業部長がコントロールできないコストで業績を評価されるという不公平が生じる。
- 最適意思決定の阻害: このようにして設定された振替価格が、外部の市場価格よりも高くなる可能性がある。その場合、受け入れ事業部は外部からの購入を望むが、会社全体で見れば内部で製造した方が(変動費ベースでは)安くつくかもしれない。結果として、各事業部が自己の利益を追求する(部分最適)と、会社全体の利益が最大化されない(全体最適の失敗)という問題が生じる。
- 使用した経営学の知識: 管理会計における事業部制と振替価格制度に関する知識が問われている。振替価格には、① 事業部の業績を公正に評価する、② 事業部に適切な意思決定を促す、という機能がある。全部原価基準の振替価格は、特に固定費の扱いを巡ってこれらの機能を損なう可能性があるという重要な論点に基づき回答する。
(設問 2)
D 社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を、60 字以内で説明せよ。
回答例(59 字)
管理可能性の原則上、事業部長が管理できない投資額や減価償却費の影響を評価から除外し、管理可能な収益や費用で評価する点。
解説
- 答案作成の根拠: 業績評価の基本原則である「管理可能性の原則」に基づいて解答を構成する。
- 問題の状況: 設備投資の権限は社長にあり、事業部長にはない。
- 管理可能性の原則: 各責任センターの長(事業部長)は、自らが管理・コントロールできる業績についてのみ責任を負うべきである、という考え方である。
- 結論: 事業部長は設備投資額(資産)や、その結果生じる減価償却費(費用)をコントロールできない。したがって、これらの「管理不能項目」を含む指標、例えば ROI(投下資本利益率)や ROA(総資産利益率)、残余利益などで業績を評価することは不適切である。評価指標は、事業部長が直接管理できる売上や変動費、管理可能な固定費などに基づいた管理可能利益などを用いるべきである。
- 使用した経営学の知識: 管理会計における 責任会計システム と、その根底にある 管理可能性の原則 (Controllability Principle) についての知識が直接問われている。公正な業績評価システムを構築するための重要な留意点である。