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平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅳ

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# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅳ

## 与件文

D 社は地方都市に本社をおく、資本金 2.5 億円、総資産約 37 億円、売上高約 48 億円、従業員 79 人の電子部品のメーカーである。D 社はインダクタ(コイル)をはじめとした電子部品を製造している。工場は本社の近くの工業団地に位置し、本社との密接な連携と、顧客の要求に対する迅速な対応は D 社の強みのひとつでもある。D 社は積極的に技術開発と設備投資を行うことによって、製品の小型化・高性能化と安定した品質を実現し、顧客である大手メーカーからの信頼を得てきた。そのため、受注は安定的で収益も高く、獲得した利益を内部留保として、これを設備投資に振り向けて成長してきた。

情報機器を生産している大手メーカー Z 社は、D 社の主要な顧客であり、Z 社向けの部品 Q は、D 社の売り上げの多くを占めている。D 社では部品 Q の長期的な受注増を予想しており、現在の生産能力には余裕がある。一方で、価格競争力の観点から平成 20 年度までに、遊休資産の売却等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行した。

しかしながら、Z 社の最終製品の価格下落にともなって、Z 社から部品 Q の納入価格の大幅な引き下げを要求されている。D 社の取締役会では、この要求にいかに対処すべきかが議論されているが、売り上げの多くを Z 社に依存しているだけに問題は深刻である。しかし、すでに述べたように大規模なリストラクチャリングを行ったので、さらなる固定費の削減は望めない状況にある。また、生産技術部からは、現状の設備では大幅な変動費の削減は困難であるとの報告があった。

平成 21 年度の D 社の財務諸表及び同業他社(業界中位)の財務諸表は次のとおりである。

以下の問題に答えよ。なお、計算の結果は小数点第 3 位を四捨五入せよ。

### 貸借対照表

(単位:百万円)

|                    | D 社  | 同業他社 |                      | D 社  | 同業他社 |
| :----------------- | :---- | :------- | :------------------- | :---- | :------- |
| **資産の部**       |       |          | **負債の部**         |       |          |
| 流動資産           | 1,969 | 1,341    | 流動負債             | 1,547 | 1,005    |
| 現金等             | 701   | 461      | 支払手形・買掛金     | 711   | 541      |
| 受取手形・売掛金   | 615   | 429      | 短期借入金           | 615   | 371      |
| 有価証券           | 71    | 28       | その他流動負債       | 221   | 93       |
| 棚卸資産           | 451   | 351      | 固定負債             | 832   | 913      |
| その他流動資産     | 131   | 72       | 長期借入金           | 729   | 836      |
| 固定資産           | 1,687 | 1,517    | その他固定負債       | 103   | 77       |
| 土地               | 359   | 383      | **負債合計**         | 2,379 | 1,918    |
| 建物・機械装置     | 922   | 557      | **純資産の部**       |       |          |
| その他有形固定資産 | 7     | 54       | 資本金               | 250   | 200      |
| 投資有価証券       | 399   | 523      | 利益準備金           | 62    | 50       |
|                    |       |          | 別途積立金           | 121   | 17       |
|                    |       |          | 繰越利益剰余金       | 844   | 673      |
|                    |       |          | **純資産合計**       | 1,277 | 940      |
| **資産合計**       | 3,656 | 2,858    | **負債・純資産合計** | 3,656 | 2,858    |

(単位:百万円)

|                | D 社 | 同業他社 |
| :------------- | :--- | :------- |
| 減価償却累計額 | 468  | 451      |

### 損益計算書

(単位:百万円)

|                    | D 社   | 同業他社 |
| :----------------- | :----- | :------- |
| 売上高             | 4,799  | 3,675    |
| 売上原価           | 4,116  | 3,160    |
| 売上総利益         | 683    | 515      |
| 販売費・一般管理費 | 443    | 394      |
| 営業利益           | 240    | 121      |
| 営業外収益         | 62     | 44       |
| (うち、受取利息) | (5)  | (3)    |
| 営業外費用         | 88     | 103      |
| (うち、支払利息) | (69) | (61)   |
| 経常利益           | 214    | 62       |
| 特別利益           | 22     | 18       |
| 特別損失           | 150    | 45       |
| 税引前当期純利益   | 86     | 35       |
| 法人税等           | 34     | 14       |
| 当期純利益         | 52     | 21       |

(単位:人)

|          | D 社 | 同業他社 |
| :------- | :--- | :------- |
| 従業員数 | 79   | 68       |

## 第 1 問(配点 40 点)

D 社の平成 21 年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比べたこの企業の財務上の長所または短所のうち、重要と思われるものを 3 つ取り上げよ。その各々について、長所または短所の根拠を最も的確に示す経営指標を 1 つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標を計算して(b)欄に示した上で、その長所または短所について、D 社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に 60 字以内で説明せよ。

## 第 2 問(配点 25 点)

営業部からの報告によれば、Z 社は部品 Q の納入価格の 20%引き下げを要求している。さらに Z 社からは、納入価格を現在の価格より 30%引き下げることができれば、今後は仕入れ先を D 社に一本化し、発注量を 2 倍にする案が提示されている。部品 Q の現在の売上高は 2,823 百万円、変動費は 1,129 百万円、固定費は 1,640 百万円である。
なお、現状の生産能力には十分な余裕があり、生産技術部からは、部品 Q の納入量を 2 倍にしても、その原価構造は現状と変化がないと報告されている。

### (設問 1)

部品 Q の損益分岐点図表は次ページに示されたとおりである。
① 納入価格を 20%引き下げた場合、② 納入価格を 30%引き下げた場合のそれぞれについて、解答用紙の損益分岐点図表に総費用線を描け。また、① および ② の場合の損益分岐点売上高を所定の解答欄に求めよ(単位:百万円)。
なお、総費用線を描く際には、2 つのケースを区別するため、① の場合を破線(--------)、② の場合を実線(――)で表すものとする。
定規がない場合、フリーハンドでもよいが、始点、交点、終点等のうち重要なものは明確にすること。

### 損益分岐点分析を示すグラフ

**グラフの構成要素:**

- **横軸:** 売上高(単位:百万円)
- **縦軸:** 売上高・費用・損益(単位:百万円)

**グラフの線:**

- **売上高線:** 原点(0,0)から右肩上がりに伸びる直線です。売上高と売上高が一致するため、傾きは 1 です。
- **総費用線:** 縦軸の 1,640(百万円)から始まる右肩上がりの直線です。この線は、変動費と固定費の合計を示しています。
- **固定費線:** 縦軸の 1,640(百万円)を通る横一直線のグラフです。売上高に関わらず一定の固定費を示しています。

**損益分岐点:**

- 売上高線と総費用線が交わる点(横軸約 2,650、縦軸約 2,650)が、損益分岐点です。この点では、売上高と総費用が等しく、利益がゼロになります。

**グラフの解釈:**

- 損益分岐点よりも売上高が低い領域では、総費用が売上高を上回るため、損失が発生しています。
- 損益分岐点よりも売上高が高い領域では、売上高が総費用を上回るため、利益が発生しています。

### (設問 2)

D 社は Z 社から提示された案のうち、どちらを受け入れるべきか、その理由とともに 60 字以内で解答せよ。

## 第 3 問(配点 20 点)

仮に部品 Q の納入価格の 30%引き下げを受け入れた場合について、生産技術部より製品原価の引き下げを主眼とする設備投資に関する報告が得られた。これによれば、設備投資(5 億円)を行って、新たな生産方法を取り入れることにより、変動費を初年度は現状に比べ 3%、第 2 年度以降、第 5 年度までは現状に比べ 7%削減することが可能になる。なお、この設備投資によって不要になる生産設備はない。設備投資資金の原資としては内部留保を予定しており、資本コストは 6%、割引計算のみに使用する。設備の耐用年数は 5 年で 5 年後の残存価額をゼロ、5 年後の処分価値をゼロとして定額法によって減価償却を行う。なお、金利$r = 0.06$とした場合の年金現価係数 $\sum_{i=1}^{4} \frac{1}{(1+r)^i}$ は 3.4651 であり、法人税等の実効税率を 40%と仮定する。また、すべてのキャッシュフローは期末に発生するものと仮定し、設備投資に伴う運転資本の増減はないと仮定する。

### (設問 1)

新たな生産方法を採用し、部品 Q の受注量が 2 倍になった場合、この設備投資の NPV(正味現在価値)はいくらになるかを(a)欄に解答せよ(単位:百万円)。
また、第 2 年度以降の損益分岐点売上高はいくらになるかを(b)欄に解答せよ(単位:百万円)。

### (設問 2)

D 社は、現状の生産方法で生産を続けるべきか、それとも設備投資を行い新たな生産方法を採用すべきか、理由を含めて 60 字以内で解答せよ。

## 第 4 問(配点 15 点)

D 社は、かねてから、将来的にも部品 Q の受注が増加すると予想していた。そこで数年前より部品 Q の増産に向けて新工場の建設プロジェクトを立ち上げ、社内で検討してきた。D 社の製品は品質の面で他社より優位な立場にある。そこで新工場では、さらなる価格競争にも対応できる生産設備を導入することにしている。Z 社からの受注増を受け入れるのであれば、このプロジェクトが実施される公算が大きい。

平成 25 年度末の工場建設開始に向けて、余剰資金の一部を国債で運用することを計画している。新工場建設に伴う投資規模は約 8 億円と推定されている。先頃すでに 5 年後満期の利付国債を 3.6 億円購入した。手元資金のうち 2 億円についても同様に利付国債での運用を検討している。

### (設問 1)

金利が上昇した場合に保有債券の市場価値にどのような影響が出るかを 20 字以内で説明せよ。

### (設問 2)

設問 1 の影響を軽減するための方策を 30 字以内で提案せよ。

# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅳ 解答解説

## 第 1 問(配点 40 点)

#### ①:長所(収益性)

- (a) **売上高営業利益率**
- (b) **5.00 (%)** (計算過程:240 ÷ 4,799 × 100、同業他社:3.29 %)
- (c) **技術開発や設備投資により高付加価値製品を実現し、リストラも奏功し、本業の収益性が同業他社より優れている。(52 文字)**

#### ②:長所(安全性)

- (a) **自己資本比率**
- (b) **34.93 (%)** (計算過程:1,277 ÷ 3,656 × 100、同業他社:32.89 %)
- (c) **獲得した利益を内部留保し財務基盤の強化に充ててきた結果、資本構成が安定しており、長期的な安全性が高い。(51 文字)**

#### ③:短所(効率性)

- (a) **有形固定資産回転率**
- (b) **3.73 (回)** (計算過程:4,799 ÷ (359+922+7)、同業他社:3.70 回)
- (c) **積極的な設備投資(建物・機械 922)を行ったが、生産能力に余裕があり、資産効率が同業他社(3.70 回)並みにとどまる。(59 文字)**

#### (別解:短所)

- (a) **流動比率**
- (b) **127.28 (%)** (計算過程:1,969 ÷ 1,547 × 100、同業他社:133.43 %)
- (c) **短期借入金が同業比で多く、流動比率が下回っている。Z 社依存のリスクもあり、短期的な支払能力に懸念がある。(52 文字)**

### 解説

- **指標選定理由**
  1.  **売上高営業利益率(収益性)**:与件の「高い収益性」「顧客からの信頼」を裏付ける指標として選定。
  2.  **自己資本比率(安全性)**:与件の「利益を内部留保として」「成長してきた」結果を示す、長期安全性の代表的指標として選定。
  3.  **有形固定資産回転率(効率性)**:与件の「積極的に技術開発と設備投資を行う」に対し、D 社の有形固定資産(1,288 百万円)は同業他社(994 百万円)より大きい。しかし与件に「現在の生産能力には余裕がある」とある通り、投資に見合う売上を上げられておらず、回転率が同業他社(3.70 回)並み(3.73 回)にとどまっている点を課題として選定。
- **算定ルール**
  - 売上高営業利益率=営業利益 ÷ 売上高 × 100
  - 自己資本比率=純資産合計 ÷ 資産合計 × 100
  - 有形固定資産回転率=売上高 ÷ 有形固定資産
  - (D 社 有形固定資産 = 359 + 922 + 7 = 1,288 百万円)
  - (同業他社 有形固定資産 = 383 + 557 + 54 = 994 百万円)
- **丸め・単位**:計算結果は小数第 3 位を四捨五入し、%、回で表示。
- **解釈**:D 社は、技術力とリストラにより本業の収益性(①)は高く、内部留保の蓄積により財務基盤(②)も安定している。しかし、積極的な設備投資の成果が売上に十分反映されておらず、過剰設備により効率性(③)が伸び悩んでいる点が課題である。

## 第 2 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### ①(20%値下げ)の損益分岐点売上高

**3,279.42 (百万円)**

#### ②(30%値下げ・数量 2 倍)の損益分岐点売上高

**3,825.76 (百万円)**

### 解説

1.  **現状分析**

    - 売上高 S = 2,823 百万円
    - 変動費 V = 1,129 百万円
    - 固定費 F = 1,640 百万円
    - 現状の変動費率 v = V / S = 1,129 ÷ 2,823
    - 現状の限界利益率 m = 1 - v = 1 - (1,129 / 2,823) = (2,823 - 1,129) / 2,823 = 1,694 / 2,823

2.  **ケース ①(価格 0.8 倍)**

    - 新価格 p' = 0.8p
    - 新変動費率 v' = (単位変動費 v_unit) / (新価格 p')
    - v' = (v_unit / p) / 0.8 = v / 0.8 = (1,129 / 2,823) / 0.8
    - v' = 1,129 / (2,823 × 0.8) = 1,129 / 2,258.4
    - 新限界利益率 m' = 1 - v' = 1 - (1,129 / 2,258.4) = (2,258.4 - 1,129) / 2,258.4 = 1,129.4 / 2,258.4
    - **BEP①** = F / m' = 1,640 / (1,129.4 / 2,258.4)
    - **BEP①** = (1,640 × 2,258.4) / 1,129.4 = 3,703,776 / 1,129.4 = 3,279.423...
    - (小数第 3 位四捨五入)→ **3,279.42 百万円**

3.  **ケース ②(価格 0.7 倍, 数量 2 倍)**
    - 新価格 p'' = 0.7p
    - 新変動費率 v'' = v / 0.7 = (1,129 / 2,823) / 0.7
    - v'' = 1,129 / (2,823 × 0.7) = 1,129 / 1,976.1
    - 新限界利益率 m'' = 1 - v'' = 1 - (1,129 / 1,976.1) = (1,976.1 - 1,129) / 1,976.1 = 847.1 / 1,976.1
    - **BEP②** = F / m'' = 1,640 / (847.1 / 1,976.1)
    - **BEP②** = (1,640 × 1,976.1) / 847.1 = 3,240,804 / 847.1 = 3,825.763...
    - (小数第 3 位四捨五入)→ **3,825.76 百万円**

### (設問 2)

D 社は Z 社から提示された案のうち、どちらを受け入れるべきか、その理由とともに 60 字以内で解答せよ。

### 回答例(60 字)

**価格 30%引き下げ案を受け入れる。20%引き下げ案では赤字になるが、前者では受注量が 2 倍になり、現状の利益を上回るため。**

#### 解説

判断の根拠として、部品 Q に関する「現状」「① 20%値下げ案」「② 30%値下げ・数量 2 倍案」の 3 パターンの営業利益を比較計算する。
固定費は 1,640 百万円で一定である。

1.  **現状の営業利益**
    売上高 2,823 − 変動費 1,129 − 固定費 1,640 = **54 百万円**
2.  **① 20%値下げ案の営業利益**
    (数量は現状維持と仮定)
    新売上高 = 2,823 × 0.8 = 2,258.4 百万円
    変動費 = 1,129 百万円(※数量は変わらないため)
    営業利益 = 2,258.4 − 1,129 − 1,640 = **-510.6 百万円**
3.  **② 30%値下げ・数量 2 倍案の営業利益**
    新売上高 = (2,823 × 0.7) × 2 = 3,952.2 百万円
    新変動費 = 1,129 × 2 = 2,258 百万円(※数量が 2 倍になるため)
    営業利益 = 3,952.2 − 2,258 − 1,640 = **54.2 百万円**

**比較結果**
② (54.2 百万円) > 現状 (54 百万円) > ① (-510.6 百万円)

① の案では大幅な赤字(-510.6 百万円)となってしまう。
一方、② の案では営業利益 54.2 百万円となり、現状の 54 百万円をわずかに上回る。
したがって、営業利益が最大化される ② の案を受け入れるべきである。

## 第 3 問(配点 20 点)

### (設問 1)

#### (a) NPV(正味現在価値)

**16.99 (百万円)**

#### (b) 第 2 年度以降の損益分岐点売上高

**3,712.67 (百万円)**

#### 解説

1.  **(a) NPV の算定**

    - 初期投資 I = 500 百万円 (t=0)
    - 減価償却費(増分) D = 500 ÷ 5 年 = 100 百万円/年
    - 税率 T = 40%、資本コスト r = 6%
    - ベース(ケース ②)の売上高 S'' = 3,952.2 百万円
    - ベース(ケース ②)の変動費 V'' = 2,258 百万円
    - **変動費削減額(ΔV)の計算**
      - t=1:ΔV1 = V'' × 0.03 = 2,258 × 0.03 = 67.74 百万円
      - t=2-5:ΔV2-5 = V'' × 0.07 = 2,258 × 0.07 = 158.06 百万円
    - **キャッシュフローの増分(NCF)の計算**
      - NCF =(変動費削減額)× (1 - T) +(減価償却費増分)× T
      - NCF1 = 67.74 × (1 - 0.4) + 100 × 0.4 = 40.644 + 40 = 80.644 百万円
      - NCF2-5 = 158.06 × (1 - 0.4) + 100 × 0.4 = 94.836 + 40 = 134.836 百万円
    - **現価係数(r=6%)**
      - t=1: 1 / (1.06) = 0.9434
      - t=2-5: (4 年年金係数 3.4651 + 5 年目係数 0.7473) - 1 年目係数 0.9434 = 4.2124 - 0.9434 = 3.269
    - **NCF の現在価値合計 (PV)**
      - PV = (80.644 × 0.9434) + (134.836 × 3.269)
      - PV = 76.071... + 440.916... = 516.987... 百万円
    - **NPV** = PV - I = 516.987... - 500 = 16.987...

2.  **(b) 第 2 年度以降の BEP**
    - 本設問では、変動費の削減を「**変動費率**」の削減と解釈して計算する。(※「変動費絶対額」の削減と解釈すると BEP は 3,712.91 百万円となる)
    - ベース(ケース ②)の変動費率 v'' = V'' / S'' = 2,258 / 3,952.2 = 1,129 / 1,976.1
    - 新固定費 F_new = 元の固定費 1,640 + 追加減価償却 100 = 1,740 百万円
    - 新変動費率(t=2-5) v_new = v'' × (1 - 0.07)
    - v_new = (1,129 / 1,976.1) × 0.93 = 1,049.97 / 1,976.1 = 0.53133...
    - 新限界利益率 m_new = 1 - v_new = 1 - 0.53133... = 0.46866...
    - **BEP (b)** = F_new / m_new = 1,740 / 0.46866... = 3,712.671...
    - (小数第 3 位四捨五入)→ **3,712.67 百万円**

### (設問 2)

D 社は、現状の生産方法で生産を続けるべきか、それとも設備投資を行い新たな生産方法を採用すべきか、理由を含めて 60 字以内で解答せよ。

### 回答例(60 字)

**設備投資を行うべきである。NPV が正の値であり投資は財務的に有利である上、損益分岐点売上高も低下し収益性が改善するため。**

#### 解説

- **NPV 基準**:設備投資案の NPV(正味現在価値)が 16.85 百万円(または 17.00 百万円)とプラス(NPV > 0)である。これは、投資が資本コスト(6%)を上回る価値を生み出すことを示しており、財務的に有利な投資である。
- **BEP 基準**:投資前の損益分岐点売上高(ケース ②:3,825.76 百万円)と比較し、投資後の損益分岐点売上高(t=2-5:3,712.67 百万円)は低下している。これは、投資によって原価構造が改善し、より低い売上高で利益を出せるようになる(収益性が改善する)ことを意味する。
- したがって、上記 2 つの観点から、この設備投資は実行すべきである。

## 第 4 問(配点 15 点)

### (設問 1)

金利が上昇した場合に保有債券の市場価値にどのような影響が出るかを 20 字以内で説明せよ。

### 回答例(16 字)

**金利が上昇すると債券価格は下落する。**

#### 解説

- 債券の市場価値(価格)は、その債券から将来得られる利息と償還金を、市場金利(割引率)で現在価値に割り引いた合計値として計算される。
- 市場金利が上昇すると、割引率が高くなるため、将来のキャッシュフローの現在価値は減少し、結果として債券の市場価値は下落する。

### (設問 2)

設問 1 の影響を軽減するための方策を 30 字以内で提案せよ。

### 回答例(28 字)

**資金需要時期に合わせて、残存期間の短い債券に乗り換える。**

#### 解説

- 金利変動に対する債券価格の感応度(価格変動リスク)は、デュレーション(平均回収期間、残存期間が長いほど長くなる傾向)に比例する。
- 金利上昇による価格下落リスクを軽減するためには、デュレーションが短い(=残存期間が短い)債券を保有することが有効である。
- (なお、D 社の資金使途は 5 年後であり、5 年満期国債を保有することは、満期まで保有すれば金利変動リスクを回避できる「マッチング戦略」ではあるが、設問は「市場価値」への影響とその軽減策を問うているため、デュレーション短縮が解答となる。)

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験(事例 Ⅳ:財務・会計)の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述・数値と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。

**【記述問題の評価方針】**

- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

**【計算問題の評価方針】**

- 計算問題は、**最終的な計算結果**だけでなく、そこに至る**計算過程(プロセス)**を重視して評価します。
- **【計算過程スキップの例外】**
  - ただし、あなたの回答において `(b)計算過程 スキップ`(あるいは `#### (b)計算過程 スキップ` など、スキップの意図が明確な記載)がされている場合に限り、**(a) の計算結果のみを評価対象とします。**
  - この場合、計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、計算結果が間違っていれば計算過程にも誤りがあったものとして評価します(詳細な部分点評価は行いません)。
- **【計算過程の記載がある場合】**
  - たとえ最終的な数値が間違っていても、計算の**基本的な考え方****立式****使用した数値(与件文からのピックアップ)**が正しければ、**部分点を加点**する視点で評価します。
- **【共通事項】**
  - **第 1 問設問 1**の財務分析指標の選択のように、**複数の正解(別解)が想定される場合**は、模範解答と異なっていても、与件文から妥当性が読み取れれば正解として評価します。
  - **CVP****NPV**など、解法がほぼ一意に決まる問題は、**標準的な解法ステップ**を踏めているかを確認します。(※スキップの場合は結果から推定します)

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成・計算過程が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成・計算過程が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻や計算ミスがない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足やケアレスミスが散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。計算の前提条件を誤解している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例(計算問題の場合は(a)解答欄と(b)計算過程)を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

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**【計算問題の場合】 (例:第 1 問設問 1、第 2 問、第 3 問)**

- **① 計算結果の正誤:**
  最終的な数値、単位(円、千円、基など)、端数処理(切り上げ、四捨五入など)は設問要求通りで、模範解答と一致しているか。
- **② 計算過程(プロセス)の評価:**
  - **【計算過程の記載がある場合】**
    - **立式・アプローチ:** 問題を解くための基本的な考え方(CVP、NPV、LP、財務指標の定義など)は正しいか。
    - **数値のピックアップ:** 与件文や資料から、計算に必要な数値を正しく(漏れなく、間違えなく)引用できているか。(例: NPV 計算での機会費用、運転資本、設備売却益の税金計算など)
    - **計算の正確性:** 途中の計算ステップにミスはないか。
  - **【計算過程が `スキップ` の場合】**
    - **(a) 計算結果の正誤に基づき、本項目も評価します。**
    - (a) が正解の場合:計算過程も正しかったものとみなし、高い評価(A または B 評価相当)とします。
    - (a) が不正解の場合:計算過程のいずれかのステップ(立式、数値ピックアップ、計算正確性)に誤りがあったものとみなし、評価を下げます。この場合、具体的な誤り箇所の特定は行いませんが、推定される原因を「④ 改善提案」で指摘します。
- **③ 指標選択の妥当性 (第 1 問設問 1 のみ):**
  模範解答と異なる指標を選択した場合、その指標が D 社の特徴(優れている点・劣っている点)を示す上で妥当か、与件文から根拠を見いだせるか(別解として成立するか)を評価する。
- **④ 改善提案(失点・部分点分析):**
  - **失点箇所:** どこで間違えたか(数値の誤用、立式の誤り、計算ミス、端数処理ミスなど)を具体的に指摘する。(※ `スキップ` されていて結果が不正解の場合、推定される誤りの原因を指摘します)
  - **部分点獲得可能性:** 「ここまでは合っているので、配点〇点中 △ 点は期待できる」という視点で評価する。(※ `スキップ` の場合は適用されません)
  - **改善点:** 次に同じミスをしないために、どの数値に着目すべきか、どの公式を確認すべきかを具体的にアドバイスする。

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**【記述問題の場合】 (例:第 1 問設問 2、第 4 問)**

- **① 設問解釈と方向性:**
  設問の意図(問われていること)を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。
- **② 与件文・財務諸表の活用:**
  解答の根拠として、与件文中のどの記述(SWOT)や、どの財務数値(計算した指標など)を効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:**
  診断士としての財務・会計知識を適切に応用できているか。「A(財務状況)だから B(助言)」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。
- **④ 具体性と表現:**
  抽象論に終始せず、D 社の状況に合わせた具体的な記述ができているか。設問の字数制限(例: 80 字)の中で、要点を簡潔にまとめられているか。
- **⑤ 改善提案:**
  どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文(または財務指標)のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。

---

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点(計算の正確性、与件文の読み取り、論理構成など)を挙げてください。
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点(ケアレスミス、時間配分、特定の分野の知識不足など)を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、特に事例 Ⅳ の学習(計算練習、過去問演習の方法など)について具体的なアドバイスをお願いします。

# あなたの回答

**スキップ機能について**  
計算過程の記載が求められる設問((b)計算過程)において、「スキップ」と記載した場合、(a) の計算結果(解答)のみをもって採点されます。計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、結果が誤っていれば過程も誤っていたものとして評価されます(部分点評価は行われません)。

## 第 1 問(配点 40 点)

### ①:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

### ②:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

### ③:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

## 第 2 問(配点 25 点)

### (設問 1)

#### ①(20%値下げ)の損益分岐点売上高

(百万円)

#### ②(30%値下げ・数量 2 倍)の損益分岐点売上高

(百万円)

### (設問 2)(60 字以内)

## 第 3 問(配点 20 点)

### (設問 1)

#### (a) NPV(正味現在価値)

(百万円)

#### (b) 第 2 年度以降の損益分岐点売上高

(百万円)

### (設問 2)(60 字以内)

## 第 4 問(配点 20 点)

### (設問 1)(20 字以内)

### (設問 2)(30 字以内)

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