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平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅲ
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# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅲ
## 与件文
【C 社の概要】
C 社は資本金 9,000 万円、従業員 125 名、年間売上高約 24 億円で、完成車メーカーを頂点とする自動車部品業界では 2 次部品メーカーである。C 社の組織には、総務および経理機能を担当する総務部、金属プレス加工を行う金属プレス部、樹脂成形加工の樹脂成形部、設備メンテナンスおよび樹脂成形用・金属プレス用金型製作の生産技術部、そして製品品質の全社的管理を担当する品質保証部がある。製品開発や営業を専任する部門はなく、新規営業開拓は社長自ら担当し、受注後の開発・設計、日常の受注などの業務は、金属プレス部および樹脂成形部がそれぞれ担当している。
現社長の父親が創業し、家電製品の金属プレス加工部品の生産から C 社は出発した。現社長が生産部門の役員となってから、加工技術の向上を目指したプレス加工技能者の育成、加工品質向上のためのプレス金型の内製化、そして設備の改良・改善によるコストダウンを図るなど、社内改革を実施してきた。さらに、ISO 9001 の要求事項に従った品質マネジメントシステムを構築して品質保証の標準化を、そして ISO 14001 の要求事項に従った環境マネジメントシステムを構築して環境管理の標準化をそれぞれ達成している。
このような C 社の活動は取引先の家電メーカーからも高い信頼を得て、樹脂金型の製作技術を含む樹脂成形加工技術の供与を受け、家電部品事業は拡大した。
ところが、家電製品の生産が国内から海外に移転し、それに伴って部品も現地調達化され、C 社の受注が激減した時期がある。現社長は、家電業界の海外生産移転を早くから予測し、将来の事業の方向性を探っていた。ちょうどその時期に、それまで取引していた家電メーカーの幹部から、自動車部品メーカー X 社の紹介を受けた。その際、X 社からは、金属プレス加工および樹脂成形加工の両部門を有していること、それらの金型が内製化されていること、そして生産設備の改良・改善技術を有していることなどが評価された。
これをきっかけとして、さらに社内技術力の向上を図り、自動車業界での新規受注を計画し、時間をかけて自動車部品メーカーに C 社を転換させた。現在も家電部品の受注はあるが、ごくわずかになっている。
家電部品に代わり、現在の主な生産品目は自動車の駆動制御系部品および電子制御系電子部品に使われる金属プレス加工品と樹脂成形加工品であり、1 次部品メーカー 2 社(X 社および Y 社)から受注、生産、納品している。X 社と Y 社は異なった国内完成車メーカーの系列にある。X 社からは駆動制御系部品を構成する金属プレス加工品と、電子制御系電子部品の樹脂成形加工品の受注を、そして Y 社からは電子制御系電子部品の樹脂成形加工品と金属プレス加工品の受注を得ている。
C 社の売り上げの構成は、X 社約 40%、Y 社約 30%、その他約 30%(金型受注販売 15%、家電・その他 15%)となっている。
C 社の近年の業績は、国内自動車生産台数の停滞、海外工場での部品現地調達化などの国内完成車メーカーの動向に影響されて、受注量の減少傾向が続いている。また、ハイブリッド車、電気自動車の普及によって、金属プレス部品である駆動制御系部品の需要が減少する恐れもある。
【取引先からの協力要請による事業計画】
現在、取引先である 1 次部品メーカー 2 社からそれぞれ新たな生産協力などを迫られている。
1 つは Y 社から生産設備および工程の移管計画である。この移管計画は、Y 社と協力して生産リードタイムを短縮すること、そしてコストダウンを図ることの 2 つを目的にした計画である。これまで C 社で樹脂成形加工および金属プレス加工を行い別々に納品し、Y 社で組み立てをしていた電子部品の生産工程を見直し、Y 社に代わって C 社内で組立工程までも行えるようにするものである。
この組立工程は、これまで「金属プレス部品の前処理」⇒「樹脂成形部品への装着」⇒「接着」⇒「検査」の 4 工程で、それぞれ専用設備にオペレーターが付いて行われ、加工工数が多く、しかも高度な技術を要する組立工程である。
この移管計画についての協議では、Y 社から以下の内容を提示されている。
① 早期に品質を安定させて量産化ができるように、Y 社から生産技術者を派遣し、組立工程の技術指導を行う。
② 組立後の部品納入単価は、従来の Y 社での製造原価の 15%削減を見込む。
③ 生産移管の目的を達成するために、両社間で生産管理に関する情報を共有する。
この移管計画で最大の問題は、Y 社から提示されている厳しい契約単価である。以前からこの部品加工時の材料歩留まりが悪いことも指摘されており、現状の生産方法を続けるだけでは C 社が十分な利益を確保するのは難しい状況にある。Y 社と C 社では、この移管計画を機に、製品設計変更なども含む VE 提案を完成車メーカーに対して行うことも検討している。
もう 1 つは、X 社からの中国進出の要請である。X 社はこれまで海外生産を行ってこなかったが、中国国内での生産拡大を狙う完成車メーカーから中国進出の要請があった。そこで生産される部品に C 社の加工品が使われ、加えて中国国内では得にくい金型技術が高く評価され、X 社とともに中国進出をしようというものである。すでに C 社も中国沿海地域に工場用地を確保し、X 社の駆動制御系製品の組立工場に隣接して、C 社が金属プレス加工工場と金型工場を建設し金属プレス部品を X 社の組立工場に供給する計画である。資金面では金融機関の協力が得られることになり一定のめどが付いているが、さらに具体的計画立案のために X 社と協議を進めている。
## 設問文
### 第 1 問(配点 20 点)
自動車業界における C 社の強みを(a)欄に、弱みを(b)欄に、2 つずつ、それぞれ 20 字以内で述べよ。
#### (a)欄
#### (b)欄
### 第 2 問(配点 40 点)
Y 社から迫られている生産設備および工程の移管計画は、現在具体的な協議が進められている。
#### 設問 1
この計画で最も大きな問題は、Y 社から提示されている厳しい契約単価である。この計画でコストダウンを行い、利益を確保するために必要な具体的方法を 120 字以内で述べよ。
#### 設問 2
この計画の実施により C 社の生産現場に混乱が予想される。予想される混乱の内容を(a)欄に 60 字以内で、またその対策を(b)欄に 100 字以内で、それぞれ述べよ。
### 第 3 問(配点 20 点)
Y 社からの生産設備および工程の移管計画には、① 生産リードタイムの短縮、② コストダウンの 2 つの目的がある。これらの目的を達成するために Y 社と共有化すべき生産管理に関する情報は何か。目的 ①、② について具体的情報データ項目をそれぞれ 20 字以内であげよ。
### 第 4 問(配点 20 点)
X 社からの要請による中国進出計画が進展している。この計画に関して C 社の技術を生かした独自の経営の方向性と対応策について、中小企業診断士としてどのようなアドバイスをするか、140 字以内で述べよ。
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 20 点)
自動車業界における 2 次部品メーカーである C 社の強みと弱みについての分析能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 40 点)
#### 設問 1
単一工程の部品加工を主力としてきた C 社は、Y 社からの組立工程の移管計画に対してどのようにコスト面の対応をするかについて、問題解決能力を問う問題である。
#### 設問 2
Y 社からの組立工程の移管計画に対して、C 社生産現場で予想される課題についての分析能力とその問題解決能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 20 点)
生産リードタイムの短縮およびコストダウンを達成するために、取引先と共有する必要がある生産管理に関する具体的情報データ項目の分析能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 20 点)
取引先の 1 次部品メーカーと共同で事業を実施するにあたって、技術を生かし 2 次部品メーカーとして独自の経営を維持していくためには、C 社はどのような戦略を立てるべきなのかについて、分析能力と助言能力を問う問題である。
# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅲ 回答と解説
## 第 1 問(配点 20 点)
### 設問文
自動車業界における C 社の強みを(a)欄に、弱みを(b)欄に、2 つずつ、それぞれ 20 字以内で述べよ。
### 回答例
- **(a)(18 字):金属・樹脂の複合加工技術と金型内製化**
- **(b)(20 字):営業・開発の部署がなく、企画提案力が弱い**
### 解説
- **問題文の該当箇所**
- 強み:
- 「金属プレス加工および樹脂成形加工の両部門を有していること、それらの金型が内製化されていること、そして生産設備の改良・改善技術を有していることなどが評価された。」
- 「ISO 9001 の要求事項に従った品質マネジメントシステムを構築して品質保証の標準化を、そして ISO 14001 の要求事項に従った環境マネジメントシステムを構築して環境管理の標準化をそれぞれ達成している。」
- 弱み:
- 「製品開発や営業を専任する部門はなく、新規営業開拓は社長自ら担当し、受注後の開発・設計、日常の受注などの業務は、金属プレス部および樹脂成形部がそれぞれ担当している。」
- 「C 社の売り上げの構成は、X 社約 40%、Y 社約 30%」
- 「受注量の減少傾向が続いている。また、ハイブリッド車、電気自動車の普及によって、金属プレス部品である駆動制御系部品の需要が減少する恐れもある。」
- **答案作成の根拠**
- **(a) 強み:** C 社が自動車部品業界へ転換する際に取引先 X 社から評価された点を直接的な強みとして抽出する。具体的には、① 金属プレスと樹脂成形の両方を手掛ける「複合加工技術」、② 品質とコスト競争力の源泉である「金型の内製化」と「設備改善技術」である。これらをまとめて「金属・樹脂の複合加工技術と金型内製化による技術力」とする。また、ISO 認証取得による「標準化された品質・環境管理体制」も強みである。
- **(b) 弱み:** C 社は組織的に「製品開発や営業を専任する部門」を持たない。これは、顧客の潜在ニーズを発掘したり、技術提案を積極的に行ったりする機能が弱いことを意味する。これを「営業・開発の専門部署がなく、企画提案力が弱いこと」と要約する。また、売上が X 社と Y 社の 2 社に 70%も依存している「特定取引先への高い売上依存」も経営上の弱みである。
- **使用した経営学の知識**
- **SWOT 分析:** 企業の内部環境である強み (Strengths) と弱み (Weaknesses)、外部環境である機会 (Opportunities) と脅威 (Threats) を分析するフレームワーク。本問は内部環境分析に該当する。C 社の持つ技術力や組織体制を評価する。
- **コア・コンピタンス:** 競合他社に真似されにくく、複数の市場で活用でき、顧客価値に貢献する企業独自の強み。C 社にとって、金属と樹脂の複合加工技術や金型内製化技術はコア・コンピタンスに繋がりうる。
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## 第 2 問(配点 40 点)
### 設問文
Y 社から迫られている生産設備および工程の移管計画は、現在具体的な協議が進められている。
### (設問 1)
この計画で最も大きな問題は、Y 社から提示されている厳しい契約単価である。この計画でコストダウンを行い、利益を確保するために必要な具体的方法を 120 字以内で述べよ。
### 回答例(100 字)
**Y 社と連携し製品設計変更を含む VE 提案を完成車メーカーに行い材料費を削減する。併せて、強みの金型内製化技術で材料歩留まりを改善し、設備改善技術で多工程の組立作業の自動化・省人化を図り加工工数を削減する。**
#### 解説
- **問題文の該当箇所**
- 「Y 社から提示されている厳しい契約単価である。」
- 「以前からこの部品加工時の材料歩留まりが悪いことも指摘されており、現状の生産方法を続けるだけでは C 社が十分な利益を確保するのは難しい状況にある。」
- 「製品設計変更なども含む VE 提案を完成車メーカーに対して行うことも検討している。」
- 「加工工数が多く、しかも高度な技術を要する組立工程である。」
- (C 社の強みとして)「プレス金型の内製化」「設備の改良・改善によるコストダウン」
- **答案作成の根拠**
コストダウンと利益確保という課題に対し、与件文中のヒントから具体的な方法を導き出す。
1. **VE 提案:** 与件文に「製品設計変更なども含む VE 提案を行うことも検討している」と明記されている。これを実行し、根本的な材料費削減を目指す。
2. **材料歩留まり改善:** 以前から指摘されている「材料歩留まりの悪さ」を、C 社の強みである「金型内製化技術」を活かして改善する。
3. **加工工数削減:** 「加工工数が多く」「高度な技術を要する」組立工程に対し、これも C 社の強みである「設備の改良・改善技術」を用いて自動化・省人化を推進し、労務費を削減する。
これら 3 つの施策を組み合わせることで、厳しい単価条件の中でも利益を確保できる体制を構築する。
- **使用した経営学の知識**
- **VE (Value Engineering):** 製品やサービスの「価値」を、その「機能」と「コスト」の関係で捉え、最低のライフサイクルコストで必要な機能を確実に達成するための組織的な取り組み。本件では、製品設計にまで踏み込むことで価値を下げずにコストを抜本的に削減するアプローチとして有効である。
- **IE (Industrial Engineering):** 生産工程における人、モノ、設備、情報の最適な組み合わせを設計・改善する科学的アプローチ。動作研究や工程分析を通じて無駄を排除し、組立工程の効率化(加工工数削減)に貢献する。
### 第 2 問(設問 2)
この計画の実施により C 社の生産現場に混乱が予想される。予想される混乱の内容を(a)欄に 60 字以内で、またその対策を(b)欄に 100 字以内で、それぞれ述べよ。
### 回答例
- **(a)(58 字):新規の多工程で高度な組立作業により、既存の部品加工工程との連携に乱れが生じ、生産計画の遅延や仕掛品の増大を招く混乱。**
- **(b)(97 字):Y 社からの技術指導を円滑に進めるため、生産技術部を中心に専門チームを編成する。計画的な OJT で多能工を育成し、生産計画の一元管理と組立工程専門の品質保証体制を構築し、全社的な協力体制を整備する。**
#### 解説
- **問題文の該当箇所**
- 「C 社で樹脂成形加工および金属プレス加工を行い別々に納品し、Y 社で組み立てをしていた」
- 「C 社内で組立工程までも行えるようにする」
- 「『金属プレス部品の前処理』⇒『樹脂成形部品への装着』⇒『接着』⇒『検査』の 4 工程」
- 「加工工数が多く、しかも高度な技術を要する組立工程」
- 「Y 社から生産技術者を派遣し、組立工程の技術指導を行う」
- (C 社の組織)「金属プレス部」「樹脂成形部」「生産技術部」「品質保証部」
- **答案作成の根拠**
- **(a) 予想される混乱:** これまで部品加工のみであった C 社が、初めて「多工程」で「高度な技術」を要する組立工程を導入することが混乱の根本原因である。具体的には、① 従来の部品加工工程と新規の組立工程との生産同期が取れず、生産計画が乱れる、② 工程間の仕掛品が増加する、③ 新しい品質基準への対応が遅れる、といった事態が想定される。これらを「既存工程との連携の乱れ」と「それに伴う生産計画の遅延や仕掛品の増大」としてまとめる。
- **(b) 対策:** 混乱への対策は、技術面と管理面の両方からアプローチする。
- **技術・人的対応:** Y 社の技術指導を効果的に吸収するため、受け皿となる「専門チーム」を編成する。また、多工程に対応できる「多能工」を計画的に育成する。
- **管理的対応:** 部門間の連携を強化し、サプライチェーン全体を最適化するために「生産計画の一元管理」を行う。また、組立品という新しい製品形態に対応するため「組立工程専門の品質保証体制」を構築する。これらの施策を推進する上で、部門横断的な協力体制の整備が不可欠である。
- **使用した経営学の知識**
- **生産管理:** 生産活動を計画 (Plan) 、実施 (Do) 、統制 (Check/See) するための管理活動全般。新規工程導入時には、特に生産計画、工程管理、品質管理、人員配置といった各機能の見直しと再構築が重要となる。
- **多能工化:** 一人の作業者が複数の異なる工程や作業を遂行できる能力を持つこと。生産ラインの柔軟性を高め、欠員補充や生産量の変動に強く、少数精鋭での生産を可能にする。
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## 第 3 問(配点 20 点)
### 設問文
Y 社からの生産設備および工程の移管計画には、① 生産リードタイムの短縮、② コストダウンの 2 つの目的がある。これらの目的を達成するために Y 社と共有化すべき生産管理に関する情報は何か。目的 ①、② について具体的情報データ項目をそれぞれ 20 字以内であげよ。
### 回答例
- **目的 ①(17 字):生産計画データと各工程の進捗データ**
- **目的 ②(18 字):材料歩留まり率と工程別の不良率データ**
### 解説
- **問題文の該当箇所**
- 目的 ①:「生産リードタイムを短縮すること」
- 目的 ②:「コストダウンを図ること」
- 「両社間で生産管理に関する情報を共有する」
- 「材料歩留まりが悪いことも指摘されており」
- **答案作成の根拠**
- **目的 ①(生産リードタイム短縮):** リードタイムは、主に加工時間、検査時間、運搬時間、待ち時間で構成される。特にサプライチェーン全体で短縮を図るには、後工程(Y 社)の必要数・時期に合わせて前工程(C 社)が生産する、同期生産が理想である。そのためには、お互いの「生産計画」と、計画通りに進んでいるかを示す「進捗データ」の共有が不可欠となる。
- **目的 ②(コストダウン):** コストダウンのターゲットを明確にするためには、コストの内訳と発生源を特定する必要がある。与件文で「材料歩留まりが悪い」と指摘されていることから、「材料歩留まり率」は重要な共有情報である。また、組立工程の各段階や部品加工での「不良率データ」を共有することで、品質ロスによるコスト増大の原因を両社で追究し、改善策を講じることが可能になる。
- **使用した経営学の知識**
- **サプライチェーン・マネジメント (SCM):** 原材料の調達から製品が顧客に届くまでの一連のプロセスを統合的に管理し、最適化する経営手法。情報共有は SCM の根幹であり、リードタイム短縮やコスト削減(特に在庫削減)に直結する。
- **TQC (Total Quality Control) / TQM (Total Quality Management):** 全社的に品質管理活動に取り組むこと。顧客(後工程も含む)と品質情報を共有し、協力して品質改善を進めることは TQC/TQM の基本的な考え方である。
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## 第 4 問(配点 20 点)
### 設問文
X 社からの要請による中国進出計画が進展している。この計画に関して C 社の技術を生かした独自の経営の方向性と対応策について、中小企業診断士としてどのようなアドバイスをするか、140 字以内で述べよ。
### 回答例(104 字)
**X 社への部品供給を基盤としつつ、強みの金型技術を活かし、中国の現地企業へ金型を外販し顧客を多角化する。将来的には現地ニーズを捉え、プレス・樹脂・組立の一貫生産体制を構築し、高付加価値なユニット製品を供給する。**
### 解説
- **問題文の該当箇所**
- 「X 社とともに中国進出をしようというものである。」
- 「中国国内では得にくい金型技術が高く評価され」
- 「C 社が金属プレス加工工場と金型工場を建設し」
- (C 社の弱み)X 社、Y 社への高い売上依存
- (C 社の強み)金属プレス加工、樹脂成形加工、金型内製化
- **答案作成の根拠**
このアドバイスは、C 社が単なる X 社の海外進出における下請けに留まらず、この機会を活かして独自の成長戦略を描くべき、という視点に基づいている。
1. **方向性(独自の経営):** X 社との関係を維持しつつも、特定顧客への依存リスクを低減し、自立的な経営基盤を築く方向性を示す。そのためのキーワードは「顧客の多角化」と「高付加価値化」である。
2. **対応策(短期・中期):** 中国進出の初期段階では、X 社への供給を安定させることが最優先である。しかし同時に、中国で高く評価されている「金型技術」を活かし、X 社以外の現地企業(日系・地場)へ金型を販売する事業(外販)を開始する。これにより、新たな収益源と顧客を開拓する。
3. **対応策(長期):** 金型外販で得た顧客ネットワークや市場情報を元に、C 社の強みである金属プレス・樹脂成形の複合加工技術を活かした現地ニーズ対応型の製品開発を目指す。Y 社との協業で得る組立ノウハウも活用し、部品単体ではなく「ユニット製品」としての一貫生産・供給体制を構築することで、高付加価値化を実現し、下請けからの脱却を図る。
- **使用した経営学の知識**
- **成長戦略(アンゾフの成長マトリクス):** 「市場浸透」「新製品開発」「新市場開拓」「多角化」の 4 象限で企業の成長の方向性を分析するフレームワーク。本アドバイスは、「新市場(中国)開拓」を足掛かりに、既存技術(金型)を新規顧客に展開し、将来的には「新製品(ユニット製品)開発」へと繋げる複合的な成長戦略を提案している。
- **下請け企業の自立化戦略:** 親企業への依存度を下げ、独自の技術や製品を持つことで経営の安定化と成長を目指す戦略。そのためには、① 技術力の深化・高度化、② 販路の多角化、③ 自社製品開発が重要な要素となる。
## AI への指示
あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。
**評価の基本方針**
- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。
上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。
評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。
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### ABCDEF 評価基準
- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。
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### 入力情報
与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。
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### 出力項目
以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。
冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。
**1. 設問ごとの添削**
**模範解答(比較参考用)**
`回答例と解説`の回答例を出力してください。
**あなたの回答**
模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。
- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。
- **フィードバック:**
- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。
**2. 総評**
- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 20 点)
#### (a)欄
#### (b)欄
### 第 2 問(配点 40 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 3 問(配点 20 点)
### 第 4 問(配点 20 点)