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平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅱ

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# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅱ

## 与件文

B 社は、地方都市である I 県 Y 市とその周辺地域に 8 店舗を展開する食品スーパー・マーケットである。資本金 3,000 万円、年商は 65 億円である。現在の従業員数はパート、アルバイトを含めて 250 名である。B 社の創業は 1914 年(大正 3 年)、現社長の曽祖父が乾物屋を開業し、やがて野菜、鮮魚、精肉など、取扱商品の品揃えを充実させ、食品全般を商う食品スーパーへと発展した。その後、B 社の経営は同族間で代々引き継がれ、1990 年までに 6 店舗を擁する中堅スーパーとなった.

その間、I 県全体に大きく展開する地元の大型スーパーや全国規模の大手スーパーなどとの価格競争に巻き込まれ、多店舗展開がコスト増につながるようになり、次第に利益率の低下を招き、1995 年度には大幅な赤字となってしまった。また、従業員の能力や成果も十分に評価されず、職場の士気にも影響を及ぼしていた。その熾烈な競争環境にさらされていたその年に、現社長が父親から B 社の経営を引き継ぐことになった.

現社長は、早速 B 社の経営再建に着手し、徹底した組織内部の制度改革や環境の改善、取引先の見直しなどを行った。まず、同族経営にありがちな肥大化した取締役陣に対して、身内とのあつれきを覚悟で退任を要求し、経営陣のスリム化を図った。また、パートを含めた従業員に対しては、その能力を尊重した透明性のある昇給制度を導入し、給与体系も見直した。さらに、優秀なパート従業員に対しては、正社員への登用制度を作り、社員と区別なく能力を評価した.

顧客とのトラブル対応については、各売り場責任者と一緒に基本的ガイドラインを作成し、それに沿って各売り場責任者に顧客対応の意思決定を任せた。また、各売り場に毎月予算を与え、売り場ごとのイベントを考えてもらうようにした。このことで各売り場に活気が溢れ、従業員の結束が強くなった。さらに現場の従業員から発信されるつぶやきやアイデアは積極的に取り入れ、いつでも現社長と直接メールでコミュニケーションが取れるような関係を構築することで可能となっている。従業員を大切にすることによって、従業員から B 社が愛される関係を築いてきた.

さらに、創業当時からの長い付き合いのある仕入先も含めて、今までの人間関係の視点ではなく顧客視点に立ち、現在の仕入先の精査を行い、その再構築を図った.

曽祖父の代より、100 年近く地元で生かされてきた B 社であるからこそ、現社長は「経営の原点は、地元への感謝から」という経営哲学を持っていた。B 社は、まず地元の中高年女性に注目し、売り場づくり、品揃えを工夫した。さらに、パートを含む従業員も地元の中高年女性を積極的に採用した.

同時に、現社長は高齢者の単身世帯への宅配サービスを始めたが、ただ単に注文の品を届けるだけではなく、高齢者の不安、不便さの悩みを解決するために、B 社にできることは何でも引き受け、御用聞きのサービスもするようにした。高齢者の単身世帯への訪問は、「安否確認」という別の役割を果たすことにもなった。このようなサービスを通じて、B 社はさらに地元に深く根付いていくようになった.

こうした経営努力によって、B 社は単年度ごとに少しずつ収支のバランスが改善されるようになった。現社長が経営を受け継いでから 2005 年までに 2 店舗を増やし、安定した利益を確保できるようになった.

さらに、標準化された顧客対応ではなく、B 社だからできる顧客対応を考えた。前社長の代より既に導入していた、買物 100 円で 1 ポイント(1 ポイントは 1 円)付与する、「B ポイントカード」の機能を拡大して、顧客との絆づくりを強化した.

現社長はもともとエコ活動に関心を持ち、使用済みペットボトル(廃ペット)やプラスチック容器などを自主回収して、業者への売却益を地元自治体に寄付していた。この売却益の収支報告は、B 社のホームページ上に公開されている。さらに、地元自治体に協力して、B 社の各店舗の入口近くに資源ゴミの集積所を無償で設置し、地元の顧客もこれを利用できるようにした.

もともと Y 市の郊外は畑の多い地域であった。これまで生ゴミは畑や庭に埋めたり、焼却されることが多かったが、高齢化による農業世帯の減少と都市化の進展により、家庭で処理できない生ゴミが急に増えてきた。一方、行政コストは削減され、Y 市や I 県下の多くの市町村では専用のゴミ袋を有償で市民に購入してもらう方式で、ゴミの回収の有料化が開始された.

現社長は、生ゴミのリサイクルに着目した。生ゴミを顧客から無料で引き取って堆肥化し、契約農家に肥料として提供し、有機野菜を生産してもらうという、生産から消費を循環するシステムを考案した。手始めに旗艦店で生ゴミを処理・堆肥化する機械を購入し、それを店頭の資源ゴミの集積所の隣に設置した。他の店舗では従業員が生ゴミを受け取り、回収して旗艦店まで運ぶこととした。堆肥は契約農家に無償で提供され、農家が栽培する有機野菜を店頭で販売した.

顧客の生ゴミの持ち込みに対して、現社長は新たに「グリーンポイント」という制度を考案し、そのポイントを地元自治体に還元することにした。生ゴミを回収するごとに、2 ポイント(1 ポイントは 1 円)の「グリーンポイント」が発生し、この「グリーンポイント」は B 社の店舗のある地元自治体への寄付となり、緑化事業と公園整備に使われる.

旗艦店での「グリーンポイント」の集計は、顧客が生ゴミを持ち込むときに自分の「B ポイントカード」を生ゴミ処理機横の「ポイント集計機」に差し込み、処理機の秤に生ゴミを置くとポイントが表示され、生ゴミ投入口が開くようになっている。処理機の置いていない店舗では、「ポイント集計機」だけ設置され、従業員に渡す際に「ポイント集計機」にカードを差し込むことになる。ちなみに、生ゴミの処理能力の問題もあり、ゴミの持ち込みは「B ポイントカード」1 枚につき、1 日 1 回に制限している.

現社長は、さらに B 社でレジ袋の有料化を行い、顧客から集めたその代金(原価の 2 円)も「グリーンポイント」として蓄積し、これも自治体への寄付としている。この「グリーンポイント」の寄付報告は、廃ペットと同様に、B 社のホームページ上に公開されている.

また、マイバッグを持って、レジ袋を辞退する顧客に対しては、「B ポイントカード」に買物のポイント以外に 2 ポイントを還元している。レジ袋の辞退率は年々増加し、70%を超えるまでになった.

## 設問文

### 第 1 問(配点 10 点)

B 社の現社長は、経営再建策の 1 つとして、仕入先の精査を行ったが、具体的にはどのようなことを実施したと考えるか。80 字以内で答えよ.

### 第 2 問(配点 30 点)

大手スーパーなどへの差別化として、B 社の現社長は 2 つのターゲット・セグメントを設定した。そこで B 社が採用した戦略は各々のターゲットにどのような便益を与えようとしたのか。それぞれのセグメントごとに 100 字以内で答えよ.

#### セグメント 1

#### セグメント 2

### 第 3 問(配点 10 点)

B 社の現社長は、従業員の能力を引き出すためにインターナル・マーケティングを展開した。実際にどのようなインターナル・マーケティングを行ったのか。50 字以内で 2 つ答えよ.

#### インターナル・マーケティング 1

#### インターナル・マーケティング 2

### 第 4 問(配点 20 点)

B 社の現社長は「B ポイントカード」の機能を拡大した。それは顧客にどのような便益を与えようとしたのか、50 字以内で 2 つ答えよ.

#### 便益 1

#### 便益 2

### 第 5 問(配点 30 点)

B 社の現社長がエコ活動を続けようとしているのは、B 社の経営上、どのような効果を狙っているのか。2 つの視点から具体的にそれぞれ 100 字以内で説明せよ.

#### 効果 1

#### 効果 2

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 10 点)

現社長が行った経営再建策により解決した B 社のマーケティング戦略上の問題点について、分析力を問う問題である。

### 第 2 問(配点 30 点)

大手スーパーなどとの差別化をするために、B 社が行ったマーケティング戦略について、2 つのターゲットを見極め、それぞれのターゲットに与える便益について、分析力と応用力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 10 点)

B 社の現社長が、従業員満足を実現し、B 社に対する従業員からのロイヤリティを獲得するために行ったインターナル・マーケティングについて、分析力と問題解決能力を問う問題である。

### 第 4 問(配点 20 点)

B 社が発行するポイントカードの機能を拡大することによって、B 社の顧客に与えるさらなる便益について、分析力と応用力を問う問題である。

### 第 5 問(配点 30 点)

B 社が行う様々な地域密着のエコ活動や社会貢献を通じて、B 社へのロイヤリティを獲得するための戦略について、分析力と応用力を問う問題である。

# 平成 22 年度(2010 年度)事例 Ⅱ 回答と解説

## 第 1 問(配点 10 点)

### 設問文

B 社の現社長は、経営再建策の 1 つとして、仕入先の精査を行ったが、具体的にはどのようなことを実施したと考えるか。80 字以内で答えよ.

### 回答例(78 字)

**ターゲットである中高年女性のニーズを満たす品質・鮮度・安全性を重視。慣習に囚われず、契約農家など地産地消を実現できる供給元へ切り替え、取引関係を再構築した。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「創業当時からの長い付き合いのある仕入先も含めて、今までの人間関係の視点ではなく顧客視点に立ち、現在の仕入先の精査を行い、その再構築を図った。」
  - 「B 社は、まず地元の中高年女性に注目し、売り場づくり、品揃えを工夫した。」
  - 「堆肥は契約農家に無償で提供され、農家が栽培する有機野菜を店頭で販売した。」

- **答案作成の根拠**
  設問は「具体的にどのようなことを実施したか」を問うている。与件文から、B 社が「人間関係の視点」から「顧客視点」へと転換したことが読み取れる。その「顧客」とは主要ターゲットである「地元の中高年女性」である。
  彼女たちが重視するであろう価値、すなわち価格だけでなく「品質」「鮮度」「安全性(有機など)」といったニーズに応えることが、顧客視点に立つことだと考えられる。
  したがって、具体的な行動としては、旧来の人間関係や取引の慣習に捉われず、たとえ長い付き合いの仕入先であっても、これらのニーズを満たせなければ取引を見直し、逆にニーズを満たす「契約農家」のような新たな仕入先を重視して取引関係を再構築したと推測できる。

- **使用した経営学の知識**
  - **ターゲット・マーケティング**: 特定の顧客セグメント(中高年女性)のニーズに適合するように、マーケティング・ミックス(4P)を最適化する考え方。本件では Product(商品)の調達、すなわち仕入れ戦略をターゲットに合わせて再構築している。
  - **サプライチェーン・マネジメント (SCM)**: 顧客価値の最大化を目的として、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでのプロセス全体を最適化する経営手法。顧客視点での仕入先再構築は SCM の一環である。

## 第 2 問(配点 30 点)

### 設問文

大手スーパーなどへの差別化として、B 社の現社長は 2 つのターゲット・セグメントを設定した。そこで B 社が採用した戦略は各々のターゲットにどのような便益を与えようとしたのか。それぞれのセグメントごとに 100 字以内で答えよ。

### 回答例

#### セグメント 1(99 字)

**ターゲットは地元の中高年女性。顧客ニーズに合う品質・鮮度・安全性を重視した品揃えを提供。加えて、同世代の店員との交流やエコ活動への参加を通じ、買い物の楽しさと地域に貢献する満足感という便益を与える。**

#### セグメント 1(解説)

- **問題文の該当箇所**

  - 「B 社は、まず地元の中高年女性に注目し、売り場づくり、品揃えを工夫した。」
  - 「パートを含む従業員も地元の中高年女性を積極的に採用した。」
  - 「有機野菜を店頭で販売した。」
  - 「マイバッグを持って、レジ袋を辞退する顧客に対しては、「B ポイントカード」に買物のポイント以外に 2 ポイントを還元している。」

- **答案作成の根拠**
  与件文から第 1 のターゲットは「地元の中高年女性」と明確に特定できる。彼女たちに提供した便益は、以下の 2 つの側面から整理できる。

  1.  **商品・買い物そのものから得られる便益**: 大手スーパーの価格訴求とは異なり、品質・鮮度・安全性といったニーズに応える品揃えを提供した。これは、顧客が求める商品を安心して購入できるという機能的便益である。
  2.  **付随的な経験から得られる便益**: 同世代の従業員とのコミュニケーションは、買い物の楽しさという情緒的便益を生む。また、エコ活動への参加(マイバッグ利用や生ゴミ持ち込み)は、地域や環境に貢献しているという自己実現的な満足感を提供する。

- **使用した経営学の知識**
  - **顧客便益(ベネフィット)**: 顧客が製品やサービスを通じて得られる価値のこと。物理的・機能的な「機能的便益」と、心理的・感情的な「情緒的便益」に大別される。B 社は両方の便益を提供することで、大手スーパーとの差別化を図っている。
  - **STP 分析**: 市場を細分化(Segmentation)し、狙うべき市場を決定(Targeting)し、自社の立ち位置を明確にする(Positioning)マーケティングの基本フレームワーク。B 社は「中高年女性」をターゲットに設定し、独自の便益を提供することで差別化されたポジションを築いている。

#### セグメント 2(99 字)

**ターゲットは高齢者の単身世帯。宅配サービスにより買い物の身体的負担が軽減される便益。御用聞きが生活上の不便を解消し、定期的な訪問が安否確認の役割も果たし、精神的な安心感と孤独感の緩和をもたらす便益。**

#### セグメント 2(解説)

- **問題文の該当箇所**

  - 「同時に、現社長は高齢者の単身世帯への宅配サービスを始めたが、ただ単に注文の品を届けるだけではなく、高齢者の不安、不便さの悩みを解決するために、B 社にできることは何でも引き受け、御用聞きのサービスもするようにした。」
  - 「高齢者の単身世帯への訪問は、「安否確認」という別の役割を果たすことにもなった。」

- **答案作成の根拠**
  与件文から第 2 のターゲットは「高齢者の単身世帯」と特定できる。彼らへの便益は、物理的な側面と精神的な側面から構成される。

  1.  **物理的・機能的便益**: 宅配サービスは、買い物に行くのが困難な高齢者の身体的負担を軽減する。さらに「御用聞きサービス」は、電球交換やゴミ出しといった日常生活の「不便さ」を解消する直接的な解決策となる。
  2.  **精神的・情緒的便益**: B 社のサービスは単なる物や労働力の提供に留まらない。定期的な訪問は社会との接点を維持し、「安否確認」として機能することで、利用者本人とその家族に大きな「安心感」をもたらし、高齢者の「孤独感」を和らげる効果がある。

- **使用した経営学の知識**
  - **サービス・マーケティング**: 形のないサービスという商材のマーケティング。B 社は「宅配」「御用聞き」「安否確認」といったサービスを組み合わせ、顧客(高齢者)の課題解決というレベルで価値を提供しており、単なる商品販売業からサービス業へと事業領域を拡大している。
  - **リレーションシップ・マーケティング**: 顧客との長期的で良好な関係を築き、維持することを重視するマーケティング。B 社の訪問サービスは、顧客との深い信頼関係を構築する典型的な事例である。

## 第 3 問(配点 10 点)

### 設問文

B 社の現社長は、従業員の能力を引き出すためにインターナル・マーケティングを展開した。実際にどのようなインターナル・マーケティングを行ったのか。50 字以内で 2 つ答えよ。

### 回答例

#### インターナル・マーケティング 1(44 字)

**透明性のある昇給・評価制度や正社員登用制度を導入し、従業員の貢献意欲と能力向上を促した。**

#### インターナル・マーケティング 2(47 字)

**各売場への予算配分とイベント企画や顧客対応に関する権限委譲を行い、主体性と責任感を引き出した。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「パートを含めた従業員に対しては、その能力を尊重した透明性のある昇給制度を導入し、給与体系も見直した。」
  - 「優秀なパート従業員に対しては、正社員への登用制度を作り、社員と区別なく能力を評価した。」
  - 「顧客とのトラブル対応については、...各売り場責任者に顧客対応の意思決定を任せた。」
  - 「各売り場に毎月予算を与え、売り場ごとのイベントを考えてもらうようにした。」
  - 「現場の従業員から発信されるつぶやきやアイデアは積極的に取り入れ...」

- **答案作成の根拠**
  インターナル・マーケティングとは、従業員を「内部顧客」と捉え、その満足度(ES)を高めることで、結果的に顧客満足度(CS)の向上を目指す活動である。設問では「従業員の能力を引き出すため」の施策を問われている。

  1.  **動機付けの強化**: 頑張りが報われる仕組みは、従業員のモチベーションを直接的に刺激する。「透明性のある昇給制度」や「正社員登用」は、努力と成果が公正に評価・処遇されることを示し、従業員の能力開発への意欲を高める。
  2.  **主体性の尊重**: 従業員を単なる作業員ではなく、自ら考えて行動するパートナーとして扱うことも重要である。「権限委譲」(顧客対応の意思決定)や「裁量権の付与」(売り場ごとのイベント企画・予算執行)は、従業員に当事者意識と責任感を持たせ、仕事へのやりがいを通じて潜在能力を引き出す効果がある。

- **使用した経営学の知識**
  - **インターナル・マーケティング**: 従業員満足(ES)が顧客満足(CS)を生むという「サービス・プロフィット・チェーン」の考え方が根底にある。B 社は、従業員を大切にすることで従業員から会社が愛される関係を築き、それが質の高い顧客サービスに繋がるという好循環を創出している。
  - **動機付け理論**: ハーズバーグの二要因理論における「動機付け要因(承認、責任、昇進など)」や、マクレガーの Y 理論(人間は生来働くことが好きで、自己実現を求める)に通じる施策を展開している。

## 第 4 問(配点 20 点)

### 設問文

B 社の現社長は「B ポイントカード」の機能を拡大した。それは顧客にどのような便益を与えようとしたのか、50 字以内で 2 つ答えよ。

### 回答例

### 便益 1(47 字)

**マイバッグ持参でポイントが還元されることで、環境配慮行動が直接的な経済的メリットに繋がる便益。**

### 便益 2(50 字)

**生ゴミ持ち込み等で貯まるポイントが自動で地元に寄付され、環境活動への参加と地域貢献を実感できる便益。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「生ゴミを回収するごとに、2 ポイント(1 ポイントは 1 円)の「グリーンポイント」が発生し、この「グリーンポイント」は B 社の店舗のある地元自治体への寄付となり...」
  - 「ゴミの持ち込みは「B ポイントカード」1 枚につき、1 日 1 回に制限している。」(カードが認証キーとして機能)
  - 「マイバッグを持って、レジ袋を辞退する顧客に対しては、「B ポイントカード」に買物のポイント以外に 2 ポイントを還元している。」

- **答案作成の根拠**
  「B ポイントカード」は単なる値引きツールではなく、顧客との関係性を深めるための多機能なツールへと進化している。その拡大機能がもたらす便益は以下の通りである。

  1.  **経済的便益の拡大**: 従来の購買金額に応じたポイント付与に加え、「マイバッグ持参」という顧客の特定の行動(環境配慮行動)に対して直接的な経済的インセンティブ(2 ポイント還元)を提供している。これは顧客にとって分かりやすく、行動を促す直接的なメリットとなる。
  2.  **社会貢献・自己実現的便益**: 生ゴミ持ち込みで発生する「グリーンポイント」は顧客自身に還元されるのではなく、自動的に地元自治体へ寄付される。これにより、顧客は日々の買い物を通じて、手間なく簡単に地域貢献(緑化事業など)に参加できる。自分の行動が社会の役に立っているという満足感や、地域の一員としての連帯感を得られるという心理的な便益を提供している。

- **使用した経営学の知識**
  - **CRM (Customer Relationship Management)**: B 社はポイントカードを単なる販促ツールから、顧客の行動変容を促し、企業と顧客の価値観(環境配慮、地域貢献)を共有するためのコミュニケーション・ツールへと昇華させている。これにより、顧客とのエンゲージメント(深い関係性)を強化している。
  - **コーズ・リレーテッド・マーケティング (CRM)**: 企業の売上の一部を社会貢献活動に寄付するなど、事業活動と社会貢献を結びつける手法。「グリーンポイント」制度は、顧客の参加を促しつつ社会貢献を実現する典型的なコーズ・リレーテッド・マーケティングである。

## 第 5 問(配点 30 点)

### 設問文

B 社の現社長がエコ活動を続けようとしているのは、B 社の経営上、どのような効果を狙っているのか。2 つの視点から具体的にそれぞれ 100 字以内で説明せよ。

### 回答例

### 効果 1(98 字)

**「地域や環境に貢献する企業」というブランドイメージを構築する効果。この活動に共感する顧客のロイヤルティを高め、安定した顧客基盤を確立し、非価格競争による差別化と長期的な収益安定化を図る狙いがある。**

### 効果 2(99 字)

**事業基盤の強化と共生関係を構築する効果。生ゴミの堆肥化から有機野菜販売に至る循環システムは地域社会の課題解決に貢献し、行政や農家との連携を深めることで、地域に不可欠な存在としての地位を確立している。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「地元の大型スーパーや全国規模の大手スーパーなどとの価格競争に巻き込まれ...」
  - 「経営の原点は、地元への感謝から」
  - 廃ペットやプラスチック容器の自主回収と寄付。
  - 資源ゴミ集積所の無償設置。
  - 生ゴミを無料で引き取り堆肥化し、契約農家に提供し、有機野菜を生産・販売する循環システム。
  - 「グリーンポイント」による地元自治体への寄付。

- **答案作成の根拠**
  B 社のエコ活動は、単なる慈善事業ではなく、経営戦略と深く結びついている。その経営上の効果を 2 つの視点から分析する。

  1.  **対顧客・市場における効果(差別化とブランド構築)**: B 社はかつて大手スーパーとの価格競争で疲弊した経験を持つ。エコ活動は、「安さ」という土俵から抜け出し、「地域貢献」「環境配慮」という新たな価値基準で顧客に選ばれるための強力な差別化戦略である。この活動に共感する顧客は、価格が多少高くても B 社を選び続けるロイヤルカスタマーとなる可能性が高い。これにより、安定した収益基盤を築くことができる。
  2.  **事業基盤の強化と共生関係の構築**: 生ゴミの堆肥化から有機野菜販売に至る循環システムは、他社が容易に模倣できない独自のサプライチェーンを構築している。これは「B 社でしか買えない」という魅力的な商品(高付加価値商品)を生み出し、来店動機を強化する。同時に、ゴミ問題という地域の課題解決に貢献し、自治体や契約農家といった地域のステークホルダーとの連携を深めることで、「地域に不可欠な存在」としての地位を確立し、持続的な事業展開のための強固な基盤を築いている。

- **使用した経営学の知識**
  - **CSV (Creating Shared Value / 共通価値の創造)**: 企業の競争戦略と CSR(企業の社会的責任)を統合する考え方。B 社は、地域のゴミ問題という社会的課題の解決と、有機野菜という経済的価値の創出を両立させており、CSV の好事例と言える。
  - **ブランディング**: エコ活動を一貫して続けることで、「B 社=地域と環境を大切にするスーパー」というポジティブなブランド・アイデンティティを顧客や地域社会の心の中に形成している。
  - **ステークホルダー理論**: 企業は株主だけでなく、顧客、従業員、取引先、地域社会、行政など、すべての利害関係者との関係を良好に保つことで持続的に成長できるという考え方。B 社の活動は、まさしく多様なステークホルダーとの共存共栄を目指すものである。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 10 点)

### 第 2 問(配点 30 点)

#### セグメント 1

#### セグメント 2

### 第 3 問(配点 10 点)

#### インターナル・マーケティング 1

#### インターナル・マーケティング 2

### 第 4 問(配点 20 点)

#### 便益 1

#### 便益 2

### 第 5 問(配点 30 点)

#### 効果 1

#### 効果 2

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