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平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅳ

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# 平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅳ

## 与件文

D 社は、資本金 1 億円、総資産約 50 億円、売上高約 56 億円、従業員 80 人の企業で、ファッション性の高いスポーツウエアの製造及び販売を行っている。本社を中核都市の駅前に構えており、生産はその郊外にある自社工場で行っている。D 社は高い縫製加工技術による自社製品に定評を有しており、その技術力から国内大手の Y 社より有名ブランド品の OEM 生産を受託している。主力製品は Y 社向けの有名ブランドスポーツウエアで、日本製の高品質・高機能が消費者に支持されており、海外での生産は行っていない。他方で自社ブランドを立ち上げ、最近では米国等への海外輸出も手がけている。

D 社の取締役会では、各国の経済状況に伴う売上高の変動リスクが経営の課題として繰り返し議論されている。D 社の主力製品は発注元の Y 社で販売されるが、先進国だけでなくアジア諸国でも順調に売上高を伸ばしている。しかし、スポーツウエアの売上高はもともと景気変動の影響を受けやすいため、特に成長市場であるアジア諸国での売上高変動は経営者にとっての関心事である。近年の経済のグローバル化に伴う影響が D 社にとっての経営上の大きなリスクとなっている。

D 社の本社は創業当時より現所在地にあるが、事業の拡大に伴って手狭になったため隣地の中古不動産を買い増ししてきた。本社社屋の減価償却後の簿価は 7 億円である。本社社屋の一部は老朽化しており、建て替えも検討しなければならない時期を迎えている。一方で駅前の再開発事業も進んでおり、本社付近も一体開発される可能性がある。

D 社では、本社 (土地及び建物) を平成 21 年度期首に売却してオフィスを賃借すると同時に、本社の管理業務の一部をアウトソーシングすることを検討している。本社を売却した場合、18 億円の手取りのキャッシュフローが得られるので、これを全額負債の返済に充当する。オフィスの賃借料は年 4,500 万円であると推定される。また、本社の管理業務の一部を年間委託費 6,000 万円 (固定費) でアウトソーシングすることによって、従来発生していた販売費及び一般管理費 (減価償却費を含む) のうち 3 億円を削減することが可能である。

平成 20 年度の D 社の財務諸表及び同業他社の財務諸表は次のとおりである。

### 貸借対照表

(単位:百万円)

|                    | D 社  | 同業他社 |                      | D 社  | 同業他社 |
| :----------------- | :---- | :------- | :------------------- | :---- | :------- |
| **資産の部**       |       |          | **負債の部**         |       |          |
| 流動資産           | 2,659 | 2,645    | 流動負債             | 1,938 | 1,834    |
| 現金・預金         | 631   | 510      | 支払手形・買掛金     | 924   | 839      |
| 受取手形・売掛金   | 961   | 969      | 短期借入金           | 663   | 785      |
| 有価証券           | 153   | 142      | その他流動負債       | 351   | 210      |
| 棚卸資産           | 789   | 836      | 固定負債             | 1,793 | 1,189    |
| その他流動資産     | 125   | 188      | 長期借入金           | 1,626 | 1,103    |
| 固定資産           | 2,353 | 1,640    | その他固定負債       | 167   | 86       |
| 土地               | 1,034 | 567      | **負債合計**         | 3,731 | 3,023    |
| 建物・機械装置     | 1,086 | 539      | **純資産の部**       |       |          |
| その他有形固定資産 | 21    | 6        | 資本金               | 100   | 72       |
| 投資有価証券       | 212   | 528      | 利益準備金           | 25    | 18       |
|                    |       |          | 別途積立金           | 1,075 | 1,112    |
|                    |       |          | 繰越利益剰余金       | 81    | 60       |
|                    |       |          | **純資産合計**       | 1,281 | 1,262    |
| **資産合計**       | 5,012 | 4,285    | **負債・純資産合計** | 5,012 | 4,285    |

(単位:百万円)

|                | D 社 | 同業他社 |
| :------------- | :--- | :------- |
| 減価償却累計額 | 365  | 350      |

### 損益計算書

(単位:百万円)

|                    | D 社  | 同業他社 |
| :----------------- | :---- | :------- |
| 売上高             | 5,611 | 5,039    |
| 売上原価           | 4,204 | 3,985    |
| 売上総利益         | 1,407 | 1,054    |
| 販売費・一般管理費 | 931   | 853      |
| 営業利益           | 476   | 201      |
| 営業外収益         | 3     | 12       |
| 営業外費用         | 208   | 122      |
| 経常利益           | 271   | 91       |
| 特別利益           | 0     | 39       |
| 特別損失           | 0     | 41       |
| 税引前当期純利益   | 271   | 89       |
| 法人税等           | 108   | 36       |
| 当期純利益         | 163   | 53       |

(単位:人)

|          | D 社 | 同業他社 |
| :------- | :--- | :------- |
| 従業員数 | 80   | 75       |

## 第 1 問(配点 40 点)

D 社の平成 20 年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、この企業の財務上の長所・短所のうち重要と思われるものを 3 つ取り上げよ。その各々について、長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を 1 つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標を計算(小数第 3 位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その長所・短所が生じた原因を D 社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に 60 字以内で説明せよ。

## 第 2 問(配点 20 点)

近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している。D 社の平成 20 年度の期首の投下総資本は 4,907 百万円であり、それに対する平成 20 年度の総資本営業利益率は 9.7%であった。平成 21 年度の総資本営業利益率は前年並みになるか、もしくは景気が減速すれば-2.5%になると予想され、それぞれの状況が生起する確率は 1/2 と想定される。負債の平均資本コスト(負債総額に占める利息の割合)を 4.9%とし、支払利息以外の営業外損益および特別損益はゼロと仮定して、次の設問に答えよ。

### (設問 1)

本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成 21 年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第 3 位を四捨五入すること)。

### (設問 2)

本社(土地及び建物)を売却した場合、18 億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを 100 字以内で説明せよ。

## 第 3 問(配点 20 点)

D 社では、売上高と利益の関係を把握するため、経常利益ベースでの損益分岐点分析によるシミュレーションを開始した。平成 20 年度の売上原価に占める固定費は 1,598 百万円である。推計によると、平成 21 年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれることがわかった。

また、本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成 21 年度の固定費および営業外損益は平成 20 年度と同額とする。

なお、金利を 8%とし、販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費とする。

### (設問 1)

D 社の平成 20 年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ。
また、本社を売却しない場合について、平成 21 年度の売上高が平成 20 年度より 20%減少したときに予想される経常利益を求め、(b)欄に記入せよ。

なお、計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること。

### (設問 2)

本社を売却した場合の平成 21 年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ(計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること)。

また、この結果、営業レバレッジがどのように変化し、その変化が D 社の業績にどのような影響を与えるかを、財務・会計の観点から 100 字以内で(b)欄に説明せよ。

## 第 4 問(配点 20 点)

D 社は、Y 社への売り上げは円建てで支払いを受けているが、海外に輸出する自社製品の支払いは上期末と下期末の 2 回に分けて米ドルで受け取っている。この為替リスクをヘッジするため、D 社は、通常、各半期の期首に予想売上高分の為替予約を行っている。平成 21 年度上期分は 1 ドル 100 円で 500 万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行った。

### (設問 1)

平成 21 年度の上期の売上高は、予想を上回り 430 万ドルであった。上期末の為替のスポットレートは 102 円であった。この場合の為替による損益を求めよ(単位:百万円)。

### (設問 2)

D 社では、オプションを用いて為替リスクをヘッジすることも検討している。
1 ドル 100 円で決済するためには、どのようなオプションを用いるべきか、50 字以内で(a)欄に説明せよ。
また、オプションを用いた場合の長所と短所を 100 字以内で(b)欄に説明せよ。

# 平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅳ 解答解説

## 第 1 問(配点 40 点)

### 設問文

D 社の平成 20 年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、この企業の財務上の長所・短所のうち重要と思われるものを 3 つ取り上げよ。その各々について、長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を 1 つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標を計算(小数第 3 位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その長所・短所が生じた原因を D 社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に 60 字以内で説明せよ。

#### ①:優れている指標

- (a) **売上高営業利益率**
- (b) **8.48 (%)** (計算過程:476 ÷ 5,611 × 100、同業他社:3.99 %)
- (c) **高い縫製技術に基づく高品質・高機能な OEM 製品が主であり、同業他社比で高い収益性を確保しているため。(50 字)**

#### ②:課題となる指標

- (a) **有形固定資産回転率**
- (b) **2.62 (回)** (計算過程:5,611 ÷ (1,034 + 1,086 + 21)、同業他社:4.53 回)
- (c) **事業拡大で買い増した本社の土地・建物が過大で、老朽化も重なり、売上創出効率が同業より低いため。(47 字)**

#### ③:課題となる指標

- (a) **自己資本比率**
- (b) **25.56 (%)** (計算過程:1,281 ÷ 5,012 × 100、同業他社:29.45 %)
- (c) **過大な本社固定資産の取得を借入金に依存した結果、自己資本比率が同業より低く、財務安定性が劣るため。(49 字)**

### 解説

- **指標選定理由**
  1.  **売上高営業利益率(収益性)**:与件文の「高い縫製加工技術」「有名ブランド品の OEM 生産」という強みが本業の収益性に表れているかを測るため。D 社 8.48% は同業 3.99% を大きく上回り、明確な長所である。
  2.  **有形固定資産回転率(効率性)**:与件文の「手狭になったため隣地の中古不動産を買い増し」「老朽化しており、建て替えも検討」から、本社の固定資産が過大で非効率である可能性を疑うため。D 社 2.62 回は同業 4.53 回を大きく下回り、短所である。
  3.  **自己資本比率(安全性)**:過大な固定資産(②)の調達源泉として負債が過剰になり、総資本に占める自己資本の割合が低下していないか、また本社売却で財務改善を目指す背景を分析するため。D 社 25.56% は同業 29.45% より低く、財務安定性に課題があることを示す短所である。
- **算定ルール**
  - 売上高営業利益率=営業利益 ÷ 売上高 × 100
  - 有形固定資産回転率=売上高 ÷ 有形固定資産(土地+建物・機械装置+その他有形固定資産)
  - 自己資本比率=純資産合計 ÷ 資産合計 × 100
- **丸め・単位**:%・回は小数第 3 位を四捨五入。
- **解釈**:D 社は、OEM 生産を中心とした高い技術力で**高い収益性(長所)**を確保している。しかし、事業拡大に伴い買い増した本社の**固定資産が過大(短所)**であり、その多くを負債で調達した結果、**自己資本比率が低下(短所)**しており、効率性と安全性が同業他社に比べ劣っている。

## 第 2 問(配点 20 点)

### (設問 1)

本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成 21 年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第 3 位を四捨五入すること)。

### 回答例

**-0.19 (%)**

#### 解説

1.  **前提数値(H21 期首= H20 期末 B/S)**
    - 総資本 (A):5,012 百万円
    - 負債 (D):3,731 百万円
    - 自己資本 (E):1,281 百万円
    - 負債利子率 (i):4.9%
2.  **支払利息 (I) の計算**
    - I = D × i = 3,731 百万円 × 4.9% = 182.819 百万円
3.  **ケース 1(ROA 9.7%)**
    - 営業利益 (OI) = A × ROA = 5,012 × 9.7% = 486.164 百万円
    - 税引前利益 (EBT) = OI - I = 486.164 - 182.819 = 303.345 百万円
    - 税引前 ROE = EBT / E = 303.345 / 1,281 = 0.2368... (23.68%)
4.  **ケース 2(ROA -2.5%)**
    - 営業利益 (OI) = A × ROA = 5,012 × (-2.5%) = -125.3 百万円
    - 税引前利益 (EBT) = OI - I = -125.3 - 182.819 = -308.119 百万円
    - 税引前 ROE = EBT / E = -308.119 / 1,281 = -0.2405... (-24.05%)
5.  **期待値の計算**
    - 期待値 = (23.68% + (-24.05%)) × (1/2) = -0.37% × 0.5 = -0.185%
    - 小数第 3 位四捨五入により **-0.19%** となる。

### (設問 2)

本社(土地及び建物)を売却した場合、18 億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを 100 字以内で説明せよ。

### 回答例(98 字)

**本社売却による負債返済で自己資本比率が向上し、財務レバレッジが低下する。その結果、総資本営業利益率の変動が税引前自己資本利益率に与える増幅効果が緩和され、景気変動による利益のバラツキは小さくなる。**

#### 解説

本設問は、財務構造の変更が「自己資本利益率(ROE)の変動性(バラツキ)」に与える影響、すなわち**財務レバレッジ**の効果を理解しているかを問うものである。

1.  **財務構造の変化**

    - **負債(D)の減少**:本社売却で得たキャッシュ(18 億円)を全額負債の返済に充てるため、負債は減少する。
    - **自己資本(E)の増加**:与件文および貸借対照表から、売却手取額(18 億円)が売却する本社(土地+建物)の簿価(合計 17.34 億円)を上回る。この差額(66 百万円)は**売却益**として自己資本(純資産)を増加させる。

2.  **財務レバレッジの低下**

    - 上記の通り、負債(分子)が減少し、自己資本(分母)が増加するため、**負債比率(D/E)**は明確に低下する。
    - 同様に、総資産(A)も減少するが、自己資本(E)は増加するため、**財務レバレッジ(A/E)**も低下し、**自己資本比率(E/A)**は向上する。

3.  **バラツキへの影響**
    - 財務レバレッジは、総資本営業利益率(ROA)の変動を、自己資本利益率(ROE)の変動へと**増幅させる「てこ」の役割**(レバレッジ効果)を持つ。
    - 今回の施策(本社売却と負債返済)により財務レバレッジが低下するため、この**増幅効果が緩和**される。
    - したがって、景気変動によって ROA が好転・悪化しても、ROE が受ける影響の振れ幅(バラツキ)は、施策実行前よりも小さくなる。

## 第 3 問(配点 20 点)

### (設問 1)

D 社の平成 20 年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ。
平成 21 年度の売上高が平成 20 年度より 20%減少したときに予想される経常利益を求め、(b)欄に記入せよ。

#### (a) 損益分岐点売上高

**5,105 (百万円)**

#### (b) 予想される経常利益

**-330 (百万円)**

#### 解説

1.  **H20 の変動費・固定費(経常利益ベース)の算定**
    - 与件「販管費、営業外損益はすべて固定費」
    - H20 売上高 (S) = 5,611
    - 変動費 (V) = 売上原価 - 売上原価内固定費 = 4,204 - 1,598 = 2,606
    - 変動費率 (v) = V / S = 2,606 / 5,611
    - 固定費 (F) = 売上原価内固定費 + 販管費 + (営業外費用 - 営業外収益)
    - F = 1,598 + 931 + (208 - 3) = 2,734
2.  **(a) H20 損益分岐点売上高 (BEP) の計算**
    - BEP = F / (1 - v) = 2,734 / (1 - 2,606 / 5,611)
    - = 2,734 / ((5,611 - 2,606) / 5,611)
    - = 2,734 / (3,005 / 5,611) = (2,734 × 5,611) / 3,005
    - = 5,104.98...
    - 百万円未満四捨五入により **5,105 百万円**
3.  **(b) H21 予想経常利益(売却なし・売上 20%減)の計算**
    - H21 予想売上高 (S') = 5,611 × (1 - 0.2) = 4,488.8
    - H21 固定費 (F) = 2,734 (H20 と同額)
    - 予想経常利益 = S' × (1 - v) - F
    - = 4,488.8 × (3,005 / 5,611) - 2,734
    - = 2,404 - 2,734 = **-330 百万円**

### (設問 2)

本社を売却した場合の平成 21 年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ(計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること)。

また、この結果、営業レバレッジがどのように変化し、その変化が D 社の業績にどのような影響を与えるかを、財務・会計の観点から 100 字以内で(b)欄に説明せよ。

#### (a) 損益分岐点売上高

**4,472 (百万円)**

#### (b) D 社の業績への影響(98 字)

**本社売却で賃借料等が発生する一方、販管費や支払利息等の固定費が大幅に削減される。これにより営業レバレッジが低下し、売上高の変動が利益に与える影響が緩和され、景気変動に対する業績の安定性が向上する。**

#### 解説

1.  **(a) H21 損益分岐点売上高(売却あり)の計算**
    - **H21 固定費 (F') の算定**
      - H20 固定費 (F) = 2,734
      - 販管費削減 = -300
      - 賃借料増加 = +45
      - アウトソーシング費増加 = +60
      - 支払利息減少(与件「金利 8%」適用) = 1,800 × 8% = 144
      - F' = 2,734 - 300 + 45 + 60 - 144 = 2,395
    - **BEP(売却後)の計算**
      - 変動費率 (v) = 2,606 / 5,611 (変化なし)
      - BEP' = F' / (1 - v) = 2,395 / (3,005 / 5,611)
      - = (2,395 × 5,611) / 3,005
      - = 4,472.00...
      - 百万円未満四捨五入により **4,472 百万円**
2.  **(b) 営業レバレッジの変化と影響**
    - 営業レバレッジは「固定費の大きさ」に比例する。
    - 本社売却により固定費が 2,734 から 2,395 へと減少するため、営業レバレッジは低下する。
    - 営業レバレッジが低下すると、売上高の増減に対する利益の増減率(感応度)が小さくなる。
    - これは、与件文にある「売上高の変動リスク」に対し、経営の安定性を高める効果があることを意味する。

## 第 4 問(配点 20 点)

### (設問 1)

### 為替による損益

**-140 (万円)**

#### 解説

1.  D 社は 500 万ドルを 100 円/ドルで売る予約(売り建て)を行った。
2.  しかし、実際の上期売上(実需)は 430 万ドルであった。
3.  この結果、予約が実需を上回る **70 万ドル**(500 万ドル - 430 万ドル)分は、**投機的ポジション**となる。
4.  期末(決済時)のスポットレートは 102 円/ドルであった。
5.  「為替による損益」として、この実需を超えた 70 万ドル部分の決済損益を計算する。
6.  損益 = (予約レート - スポットレート) × 投機的ポジション数量
    - = (100 円/ドル - 102 円/ドル) × 700,000 ドル
    - = -2 円/ドル × 700,000 ドル
    - = -1,400,000 円
7.  したがって、為替による損益は -140 万円(140 万円の損失)となる。

### (設問 2)

D 社では、オプションを用いて為替リスクをヘッジすることも検討している。
1 ドル 100 円で決済するためには、どのようなオプションを用いるべきか、50 字以内で(a)欄に説明せよ。
また、オプションを用いた場合の長所と短所を 100 字以内で(b)欄に説明せよ。

#### (a)オプション

**ドル・プット・オプション(通貨プットオプション)を権利行使価格 100 円で購入する。**

#### (b)オプションを用いた場合の長所と短所(88 字)

**長所は、円安時には権利を放棄して市場レートで売却し利益を得られる点。短所は、円高時に権利を行使して損失を限定できても、オプション料(プレミアム)のコストが必ず発生する点である。**

#### 解説

- **(a) オプションの種類**:D 社はドルの売り手(円の買い手)である。
  - 100 円より円高(例:98 円)になった場合、100 円で「売る権利」が欲しい。
  - 100 円より円安(例:102 円)になった場合、市場で 102 円で売りたいため、権利は放棄する。
  - この「売る権利」をプット・オプションと呼ぶ。
- **(b) 長所と短所**
  - **長所(為替予約との比較)**:為替予約はレートを固定してしまうため、円安(有利な方向)に動いた場合の利益(機会利益)を逃してしまう。オプション(プット購入)は、円高(不利な方向)のリスクは 100 円でヘッジしつつ、円安(有利な方向)の利益は享受できる(権利放棄すればよいため)。
  - **短所(為替予約との比較)**:為替予約は(通常)コストがかからないが、オプションは権利を得るための対価(オプション・プレミアム)を期首に支払う必要がある。このコストは、権利を行使しようが放棄しようが、必ず発生する。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験(事例 Ⅳ:財務・会計)の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述・数値と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。

**【記述問題の評価方針】**

- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

**【計算問題の評価方針】**

- 計算問題は、**最終的な計算結果**だけでなく、そこに至る**計算過程(プロセス)**を重視して評価します。
- **【計算過程スキップの例外】**
  - ただし、あなたの回答において `(b)計算過程 スキップ`(あるいは `#### (b)計算過程 スキップ` など、スキップの意図が明確な記載)がされている場合に限り、**(a) の計算結果のみを評価対象とします。**
  - この場合、計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、計算結果が間違っていれば計算過程にも誤りがあったものとして評価します(詳細な部分点評価は行いません)。
- **【計算過程の記載がある場合】**
  - たとえ最終的な数値が間違っていても、計算の**基本的な考え方****立式****使用した数値(与件文からのピックアップ)**が正しければ、**部分点を加点**する視点で評価します。
- **【共通事項】**
  - **第 1 問設問 1**の財務分析指標の選択のように、**複数の正解(別解)が想定される場合**は、模範解答と異なっていても、与件文から妥当性が読み取れれば正解として評価します。
  - **CVP****NPV**など、解法がほぼ一意に決まる問題は、**標準的な解法ステップ**を踏めているかを確認します。(※スキップの場合は結果から推定します)

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成・計算過程が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成・計算過程が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻や計算ミスがない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足やケアレスミスが散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。計算の前提条件を誤解している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例(計算問題の場合は(a)解答欄と(b)計算過程)を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

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**【計算問題の場合】 (例:第 1 問設問 1、第 2 問、第 3 問)**

- **① 計算結果の正誤:**
  最終的な数値、単位(円、千円、基など)、端数処理(切り上げ、四捨五入など)は設問要求通りで、模範解答と一致しているか。
- **② 計算過程(プロセス)の評価:**
  - **【計算過程の記載がある場合】**
    - **立式・アプローチ:** 問題を解くための基本的な考え方(CVP、NPV、LP、財務指標の定義など)は正しいか。
    - **数値のピックアップ:** 与件文や資料から、計算に必要な数値を正しく(漏れなく、間違えなく)引用できているか。(例: NPV 計算での機会費用、運転資本、設備売却益の税金計算など)
    - **計算の正確性:** 途中の計算ステップにミスはないか。
  - **【計算過程が `スキップ` の場合】**
    - **(a) 計算結果の正誤に基づき、本項目も評価します。**
    - (a) が正解の場合:計算過程も正しかったものとみなし、高い評価(A または B 評価相当)とします。
    - (a) が不正解の場合:計算過程のいずれかのステップ(立式、数値ピックアップ、計算正確性)に誤りがあったものとみなし、評価を下げます。この場合、具体的な誤り箇所の特定は行いませんが、推定される原因を「④ 改善提案」で指摘します。
- **③ 指標選択の妥当性 (第 1 問設問 1 のみ):**
  模範解答と異なる指標を選択した場合、その指標が D 社の特徴(優れている点・劣っている点)を示す上で妥当か、与件文から根拠を見いだせるか(別解として成立するか)を評価する。
- **④ 改善提案(失点・部分点分析):**
  - **失点箇所:** どこで間違えたか(数値の誤用、立式の誤り、計算ミス、端数処理ミスなど)を具体的に指摘する。(※ `スキップ` されていて結果が不正解の場合、推定される誤りの原因を指摘します)
  - **部分点獲得可能性:** 「ここまでは合っているので、配点〇点中 △ 点は期待できる」という視点で評価する。(※ `スキップ` の場合は適用されません)
  - **改善点:** 次に同じミスをしないために、どの数値に着目すべきか、どの公式を確認すべきかを具体的にアドバイスする。

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**【記述問題の場合】 (例:第 1 問設問 2、第 4 問)**

- **① 設問解釈と方向性:**
  設問の意図(問われていること)を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。
- **② 与件文・財務諸表の活用:**
  解答の根拠として、与件文中のどの記述(SWOT)や、どの財務数値(計算した指標など)を効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:**
  診断士としての財務・会計知識を適切に応用できているか。「A(財務状況)だから B(助言)」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。
- **④ 具体性と表現:**
  抽象論に終始せず、D 社の状況に合わせた具体的な記述ができているか。設問の字数制限(例: 80 字)の中で、要点を簡潔にまとめられているか。
- **⑤ 改善提案:**
  どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文(または財務指標)のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。

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**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点(計算の正確性、与件文の読み取り、論理構成など)を挙げてください。
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点(ケアレスミス、時間配分、特定の分野の知識不足など)を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、特に事例 Ⅳ の学習(計算練習、過去問演習の方法など)について具体的なアドバイスをお願いします。

# あなたの回答

**スキップ機能について**  
計算過程の記載が求められる設問((b)計算過程)において、「スキップ」と記載した場合、(a) の計算結果(解答)のみをもって採点されます。計算結果が正しければ計算過程も正しかったものとみなし、結果が誤っていれば過程も誤っていたものとして評価されます(部分点評価は行われません)。

## 第 1 問(配点 40 点)

### ①:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

### ②:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

### ③:長所または短所の指標

- (a) 指標の名称:
- (b) 指標の数値:
- (c) 長所・短所が生じた原因(60 字以内):

## 第 2 問(配点 20 点)

### (設問 1)

(%)

### (設問 2)(100 字以内)

## 第 3 問(配点 20 点)

### (設問 1)

#### (a) 損益分岐点売上高

(百万円)

#### (b) 予想される経常利益

(百万円)

### (設問 2)

#### (a) 損益分岐点売上高

(百万円)

#### (b) D 社の業績への影響(100 字以内)

## 第 4 問(配点 20 点)

### (設問 1)

(万円)

### (設問 2)

#### (a)オプション

#### (b)オプションを用いた場合の長所と短所(100 字以内)

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