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平成 25 年度(2013 年度) 事例 Ⅰ

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# 平成 25 年度(2013 年度) 事例 Ⅰ

## 与件文

資本金 1,000 万円、売上高約 70 億円、従業員数 135 名(正規社員 26 名、非正規社員 109 名)の A 社は、サプリメントなどの健康食品の通信販売業者である。  
近年、中高年層を中心に美容や健康の維持・増進への関心が高まっている。なかでも、コラーゲンやヒアルロン酸に代表されるアンチエイジング向けや、グルコサミンやカルシウムなどの骨・関節サポート向けのサプリメント市場が拡大傾向にある。大手の製薬メーカー、食品メーカーを筆頭に、規模の大小や業種業態を問わず、多くの企業がこの市場に参入している。

これらサプリメントは、必ずしも、薬局やドラッグストア、コンビニエンスストアなどの店頭だけで販売されているわけではなく、通信販売や e コマースを通じて一般消費者に届けられている。そうして提供されるサプリメントを、研究開発から生産・販売まで自社で手がけている企業は数少ない。業界の大半を占める中小企業は、商品企画を自社で行っているとしても、実際にサプリメントを開発しているわけでも、巨額の設備投資を行って生産しているわけでもない。中小企業が提供するのは、いわゆる OEM(相手先ブランド生産)商品であり、A 社の商品も同様である。

1990 年代の半ばに創業した A 社は、初め、近隣県産の特産品の通信販売を営んでいた。A 社がサプリメントを扱うようになったのは、現在の主要委託製造先である X 社から販売を依頼されたことがきっかけである。特産品販売の売上が思うように伸びず、いかにして事業を拡大させるかを考えていた A 社にとって、サプリメントを少量でも供給するという X 社からの提案は、受け入れやすいものであった。というのも、以前から A 社社長は、高齢化に伴い、団塊シニアを中心とする中高年層に健康の維持・増進向けのサプリメント市場が成長するかもしれないと考えていたからである。

今でこそ、本社の近隣に 100 名近いオペレーターからなるコールセンターを構えるようになったが、サプリメント販売を始めた時は、社長夫妻を含めて社員はわずか 10 名程度であった。今日同様、そのほとんどは非正規社員であったが、電話や FAX による注文の受付、商品に関する問い合わせの対応、商品の梱包・発送、宣伝広告用折り込みチラシや荷物に同梱する説明書の作成に至るまで、全員で日々の業務をこなしていた。しかし、X 社から供給されたと同様の健康の維持・増進向けのサプリメントに注目していたのは A 社だけでなく、知名度が高い大手メーカーをはじめ、多くの企業がこの市場に参入してきたために競争が激しくなり、A 社の売上は思うように伸びなかった。

A 社の業績が急速に伸張し始めたのは、2000 年代半ばに、X 社と共同して企画した、骨・関節サポート向けサプリメントへの絞り込みを決断してからである。競合他社に先駆けてこの商品を発売したこともあって、折り込みチラシ中心の宣伝広告で売上が徐々に伸び始めた。売上規模が拡大し、少しでも資金に余裕ができるようになると、折り込みチラシ広告だけでなく、テレビ CM のスポット広告やネット広告などの様々な宣伝広告を積極的に活用して、市場での認知度を高める施策を講じた。その結果、取り扱い件数が増加すると、ICT 専門業者に顧客データベースの構築を外注しただけでなく、それまで自分たちでこなしてきた、商品の梱包・発送などの業務も外注し始めた。ただし、宣伝広告については、広告代理店任せにするのではなく、これまで蓄積してきたノウハウを駆使して A 社が主導的に行っている。

骨・関節サポート向けサプリメントを発売した当初 10 億円程度であった売上も、ほぼ前年比 130%で伸張してきた。しかし、当時と比べて、A 社は正規社員の数を大幅に増やしているわけではない。ここ 2 年、大学新卒の正規社員を若干名採用するようになったが、売上規模を急拡大させた中で、毎年 2〜3 名程度の正規社員を中途採用してきたに過ぎない。他方、顧客に直接対応するコールセンターのオペレーター業務は、非正規社員とはいえ直接採用し、売上規模の伸びに応じて増員を行っている。その離職率は、5 パーセント程度と業界内では低水準である。

とはいえ、A 社は、売上のほとんどを骨・関節サポート向けサプリメントが占めており、次世代を担うような新商品が登場しているわけではない。大手メーカーが様々な商品展開で新市場を開拓する中で、A 社も今後岐路に立つことになるかもしれない.

## 設問文

### 第 1 問(配点 35 点)

A 社は、ここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ.

#### 設問 1

A 社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客の開拓以外に、どのような点に留意して事業を組み立てることが必要であるか。80 字以内で答えよ.

#### 設問 2

A 社は、急速な事業拡大にもかかわらず、正規社員の数を大幅に増員せずに成長を実現してきた。今後もその体制を維持していく上で、どのような点に留意すべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ.

### 第 2 問(配点 35 点)

A 社の従業員の大半を占める非正規社員の管理について、以下の設問に答えよ.

#### 設問 1

A 社は、同業他社と比べて時給が多少高くても、勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している。それには、どのような理由が考えられるか。80 字以内で答えよ.

#### 設問 2

A 社のオペレーターの離職率は、同業他社と比べて低水準を保っている。今後その水準を維持するために、賃金制度以外にどのような具体的施策を講じるべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ.

### 第 3 問(配点 15 点)

A 社では、最近になって大学新卒の正規社員を採用し始めた。従来、中途採用しか行っていなかった同社が新卒正規社員を採用するようになった理由として、どのようなことが考えられるか。80 字以内で答えよ.

### 第 4 問(配点 15 点)

A 社では、ICT の専門業者に委託して構築した顧客データベースを活用している。しかし、そこで得られた情報は必ずしも新商品開発に直接結びついていない。そうした状況が生じる理由について、80 字以内で答えよ.

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 35 点)

#### 設問 1

A社の主力事業である健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくための具体的施策について、現行の取扱商品や既存顧客との関係の点から、基本的理解力・分析力を問う問題である。

#### 設問 2

急速な事業拡大を遂げてきたA社の効率的な経営管理体制を今後も維持していく上での留意すべき点について、基本的分析力、助言能力を問う問題である。

### 第 2 問(配点 35 点)

#### 設問 1

A社が非正規社員を有効な戦力として活用する理由について、基本的理解力・分析力を問う問題である。

#### 設問 2

A 社が雇用している非正規社員のモチベーションを今後も維持していくための具体的施策について、非経済的インセンティブの点から、助言能力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 15 点)

A 社が大学新卒の正規社員に対して、どのような役割を期待していると考えられるかについて、分析力を問う問題である。

### 第 4 問(配点 15 点)

A 社の顧客データベースが新商品開発に直接結びついていない原因がどこにあるのかについて、分析力を問う問題である。

# 平成 25 年度(2013 年度)事例 Ⅰ 回答と解説

## 第 1 問(配点 35 点)

### 設問文

A 社は、ここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ.

### 設問 1

A 社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客の開拓以外に、どのような点に留意して事業を組み立てることが必要であるか。80 字以内で答えよ.

### 回答例 (75 字)

**既存顧客との信頼関係の深化に留意する。コールセンターでの対話で顧客の不安に寄り添い、満足度を高め、主力商品の継続購入を促すことで事業基盤を安定させる。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「売上のほとんどを骨・関節サポート向けサプリメントが占めており、次世代を担うような新商品が登場しているわけではない。」
  - 「団塊シニアを中心とする中高年層に健康の維持・増進向けのサプリメント市場が成長するかもしれないと考えていた」
  - 「本社の近隣に 100 名近いオペレーターからなるコールセンターを構える」
  - 「顧客に直接対応するコールセンターのオペレーター業務は、非正規社員とはいえ直接採用し、売上規模の伸びに応じて増員を行っている。」

- **答案作成の根拠**
  設問では「新商品の企画や新規顧客の開拓以外」の施策が問われているため、既存の事業基盤である「既存商品」と「既存顧客」の関係を維持・強化する方向で解答を組み立てる必要があります。
  A 社の強みは、コールセンターを通じて構築した中高年層という既存顧客との直接的な接点です。しかし、売上は単一商品に大きく依存しており、この顧客基盤が離反すれば経営は大きく傾きます。
  したがって、長期的な事業継続のためには、この既存顧客との関係をより強固なものにすることが不可欠です。コールセンターで得られる顧客の声やニーズを丁寧に拾い上げ、顧客満足度を高めることで、ブランドへの信頼と愛着(ロイヤルティ)を醸成し、継続購入を促す(LTV:顧客生涯価値の向上)ことが最も重要な施策となります。

- **使用した経営学の知識**
  - **CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)**: 顧客との関係を管理し、長期的な信頼関係を構築することで、顧客生涯価値(LTV)を最大化しようとする経営手法です。A 社においては、コールセンターが CRM の拠点となります。
  - **アンゾフの成長マトリクス**: 「市場浸透戦略」(既存市場 × 既存製品)に該当します。新商品や新規市場開拓以外の施策として、現在の市場と製品で売上を伸ばす、つまり既存顧客の維持・深耕が求められます。

### 設問 2

A 社は、急速な事業拡大にもかかわらず、正規社員の数を大幅に増員せずに成長を実現してきた。今後もその体制を維持していく上で、どのような点に留意すべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ.

### 回答例 (100 字)

**正規社員の役割を広告、企画などのコア業務と、非正規社員や外部委託先の管理業務に特化させる点に留意する。業務を標準化し非正規社員へ権限を委譲することで、少数精鋭体制を維持しつつ組織全体の生産性を高める。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「正規社員 26 名、非正規社員 109 名」
  - 「急速な事業拡大にもかかわらず、正規社員の数を大幅に増やしているわけではない。」
  - 「商品の梱包・発送などの業務も外注し始めた。」
  - 「宣伝広告については、広告代理店任せにするのではなく、これまで蓄積してきたノウハウを駆使して A 社が主導的に行っている。」
  - 「コールセンターのオペレーター業務は、非正規社員とはいえ直接採用し、売上規模の伸びに応じて増員を行っている。」

- **答案作成の根拠**
  A 社は、少数精鋭の正規社員、多数の非正規社員、そして外部委託を組み合わせることで、効率的な経営を実現してきました。この体制を維持するには、それぞれの役割分担をより明確にし、全体の生産性を高める仕組みを構築する必要があります。
  正規社員は、会社の競争力の源泉である「広告宣伝のノウハウ」や「商品企画」、そして組織の大部分を占める「非正規社員の管理」といったコア業務に集中すべきです。
  一方で、非正規社員が担う定型的な業務は、マニュアル化や標準化を進めることで、正規社員の監督がなくとも効率的に遂行できるようにすべきです。これにより、正規社員はより付加価値の高い業務に専念でき、少数精鋭の体制を維持したまま成長を続けることが可能になります。

- **使用した経営学の知識**
  - **コア・コンピタンス経営**: 企業が持つ、他社には真似できない核となる強み(A 社では広告宣伝ノウハウなど)に経営資源を集中投下する考え方です。コアでない業務はアウトソーシングします。
  - **エンパワーメント(権限委譲)**: 部下や下位組織に業務の権限を委譲することで、彼らの自律性を高め、迅速な意思決定を促し、上司はより重要な業務に集中できるようになります。

## 第 2 問(配点 35 点)

### 設問文

A 社の従業員の大半を占める非正規社員の管理について、以下の設問に答えよ.

### 設問 1

A 社は、同業他社と比べて時給が多少高くても、勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している。それには、どのような理由が考えられるか。80 字以内で答えよ.

### 回答例 (79 字)

**理由は、オペレーターが主要顧客の中高年層と同世代であり同じ目線で健康上の悩みに共感し、親身な対応で安心と信頼を与え、顧客満足度を高めることができるからである。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「団塊シニアを中心とする中高年層に健康の維持・増進向けのサプリメント市場が成長する」
  - 「勤務経験がある中高年層の主婦をオペレーターとして採用している」
  - 「電話や FAX による注文の受付、商品に関する問い合わせの対応」

- **答案作成の根拠**
  A 社の顧客は、健康に不安を抱える中高年層です。彼らが電話で問い合わせをする際、単なる事務的な応答ではなく、自身の悩みを理解し、共感してくれる相手を求めていると考えられます。
  そこで、同じく中高年層で、社会経験や人生経験が豊富な主婦をオペレーターとして採用することで、顧客は「自分と同じような人が対応してくれている」という安心感を抱きます。製品に関する質問だけでなく、それに付随する健康上の不安に対しても、実感を伴った親身な対応が期待できます。この共感に基づくコミュニケーションが顧客満足度を向上させ、競合他社との差別化要因となり、リピート購入に繋がると考えられます。

- **使用した経営学の知識**
  - **顧客満足(CS:Customer Satisfaction)**: 顧客の期待を上回る製品やサービスを提供することで得られる満足度のこと。高い CS は、顧客ロイヤルティやリピート購入率の向上に繋がります。ここでは、オペレーターの共感力が CS 向上の鍵となります。
  - **ターゲティング**: A 社は顧客層を中高年層に絞っており、そのターゲット層に合わせた人材(オペレーター)を配置することで、コミュニケーションの質を高めています。

### 設問 2

A 社のオペレーターの離職率は、同業他社と比べて低水準を保っている。今後その水準を維持するために、賃金制度以外にどのような具体的施策を講じるべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ.

### 回答例 (98 字)

**顧客からの感謝の声を共有する仕組みや、オペレーターへの表彰制度を導入し、仕事の社会的意義と貢献を実感させる。また、オペレーターからの業務改善提案を積極的に吸い上げ、経営に参加している意識を高める。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「オペレーターの離職率は、5 パーセント程度と業界内では低水準である。」
  - 「賃金制度以外にどのような具体的施策を講じるべきか。」
  - 「顧客に直接対応するコールセンターのオペレーター業務」

- **答案作成の根拠**
  設問では「賃金制度以外」の施策、つまり非金銭的なインセンティブが問われています。現在の低い離職率を維持するためには、オペレーターが「働きがい」を感じられる環境を整備することが重要です。
  第一に、顧客から直接感謝されるというオペレーター業務の特性を活かし、その喜びを組織全体で共有したり、優れた応対を表彰したりすることで、自己の仕事への誇りや貢献実感(承認欲求)を満たすことができます。
  第二に、日々顧客と接しているオペレーターは、業務上の課題や改善点に最も気づきやすい立場にいます。彼らの意見を吸い上げる提案制度などを設け、実際に業務に反映させることで、「自分たちが会社を良くしている」という経営への参画意識が芽生え、モチベーション向上に繋がります。

- **使用した経営学の知識**
  - **ハーズバーグの二要因理論**: 仕事の満足に関わる要因(動機付け要因)と、不満に関わる要因(衛生要因)を分けて考える理論。賃金は不満を防ぐ「衛生要因」ですが、満足度を高め、モチベーションを上げるのは「動機付け要因」である「承認」「仕事そのもの」「責任」「達成」などです。本解答は、この動機付け要因に焦点を当てています。
  - **職務充実**: 従業員に与える仕事の内容を質的に高め、計画や評価にも関与させることで、仕事への満足度や責任感を高める手法です。業務改善提案制度はこれに該当します。

## 第 3 問(配点 15 点)

### 設問文

A 社では、最近になって大学新卒の正規社員を採用し始めた。従来、中途採用しか行っていなかった同社が新卒正規社員を採用するようになった理由として、どのようなことが考えられるか。80 字以内で答えよ.

### 回答例 (78 字)

**理由は、企業の持続的成長のため、将来の幹部候補を長期育成する必要があるため。また、新しい発想で組織を活性化し、事業の硬直化を防ぎ、変革を推進するためである。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「最近になって大学新卒の正規社員を採用し始めた。」
  - 「従来、中途採用しか行っていなかった」
  - 「正規社員の数を大幅に増やしているわけではない」(少数精鋭)
  - 「売上のほとんどを骨・関節サポート向けサプリメントが占めており、次世代を担うような新商品が登場しているわけではない。」

- **答案作成の根拠**
  中途採用は即戦力として有効ですが、特定のスキルや経験に偏りがちで、前職の文化を引きずる可能性があります。A 社は急成長を遂げたものの、事業ポートフォリオが単一商品に依存するという硬直性も見られます。
  このような状況で新卒採用を始める理由として、2 つの側面が考えられます。

  1.  **将来の幹部育成(サクセッションプラン)**: A 社の理念や文化を深く理解した人材を、ゼロから長期的に育成し、将来の経営を任せられる幹部候補としたいという狙いです。
  2.  **組織の活性化と変革**: 中途採用者とは異なる、社会経験のない新卒の柔軟な発想や新しい価値観を組織に取り込むことで、内部からの変革を促し、新商品開発の停滞など、現在の経営課題を打破する起爆剤としての役割を期待していると考えられます。

- **使用した経営学の知識**
  - **サクセッションプラン(後継者育成計画)**: 企業の将来を担う経営者や幹部を、計画的に育成していくための仕組みです。新卒採用は、その最も初期の段階と位置づけられます。
  - **組織活性化**: 組織内のコミュニケーションを活発にし、新しいアイデアや挑戦が生まれやすい風土を作ること。異質な人材(この場合は新卒)の投入は、そのための有効な手段の一つです。

## 第 4 問(配点 15 点)

### 設問文

A 社では、ICT の専門業者に委託して構築した顧客データベースを活用している。しかし、そこで得られた情報は必ずしも新商品開発に直接結びついていない。そうした状況が生じる理由について、80 字以内で答えよ.

### (76 字)

**理由は、購買データと顧客の声を統合分析し商品開発に活かす仕組みが未整備な上、正規社員が日常業務に追われ、分析に時間を割けない体制であることが挙げられる。**

#### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「ICT の専門業者に委託して構築した顧客データベースを活用している。」
  - 「そこで得られた情報は必ずしも新商品開発に直接結びついていない。」
  - 「コールセンターを構える」「顧客に直接対応する」
  - 「正規社員 26 名」「毎年 2〜3 名程度の正規社員を中途採用してきたに過ぎない」

- **答案作成の根拠**
  A 社には 2 種類の顧客情報が存在します。一つは ICT 業者が構築した DB に蓄積される「購買日、頻度、金額」などの**定量データ**。もう一つは、コールセンターのオペレーターが日々顧客との対話で得ている「こんな商品が欲しい」「ここに不満がある」といった生の**定性データ**です。
  新商品開発のヒントは、後者の定性データにこそ多く含まれていると考えられます。しかし、DB が新商品開発に結びついていない状況は、これら 2 つのデータが統合・分析され、商品企画部門にフィードバックされる「仕組み」が機能していないことを示唆します。
  また、その背景には組織的な要因も考えられます。少数精鋭の正規社員は、広告宣伝や業績管理などの日常業務に追われ、膨大な情報を分析し、新商品のアイデアに昇華させるための時間的・人的リソースが不足している可能性が高いと推測されます。

- **使用した経営学の知識**
  - **ナレッジマネジメント**: 企業が持つ知識(ナレッジ)を組織全体で共有し、有効活用することで、企業全体の生産性を高める経営手法。コールセンターに蓄積される顧客の声(暗黙知)を、商品開発に活かせる形式知へと変換・共有するプロセスが欠けている状態です。
  - **CRM(顧客関係管理)**: CRM の目的は、収集した顧客情報を分析し、マーケティング活動や商品開発に活かすことです。A 社はデータ収集(DB 構築)の段階に留まり、分析・活用の段階に進めていないことが課題です。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

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### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

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### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

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### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 35 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 2 問(配点 35 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 3 問(配点 15 点)

### 第 4 問(配点 15 点)

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