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平成 24 年度(2012 年度) 事例 Ⅰ

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# 平成 24 年度(2012 年度) 事例 Ⅰ

## 与件文

近年、わが国でも、業種・業態の違いや規模の大小を問わず、多くの企業が地球規模に事業を展開しようとしている。A 社も、小規模ながら海外で事業を展開する企業のひとつである。

A 社は、資本金 7,000 万円、売上高 40 億円、従業員数 109 名(正社員 43 名、非正規社員 66 名)の金属製品の製造および金属の表面加工処理メーカーである。2008 年秋のリーマンショックを契機とした世界金融危機の時には、主要取引先の営業不振の煽りを受け、一時、売上・収益を大幅に減少させた。しかし、幸いにもその危機を乗り越えることができた。今では、当時を上回る売上となり、収益も 2 倍近くになっている。2000 年代初頭には、取引先の自動車部品メーカー X 社の強い誘いを受け、経済成長著しい東南アジアの S 国の経済特区に工場を建設し、海外進出を果たした。さらに、X 社がすでに生産を開始している T 国でも、工場稼働に向けた準備が進められている。

A 社の主力事業は、自動車、家電製品などの部品に使用されるアルミニウム製パーツの硬度を高めたり、摩耗や錆を防ぐ表面加工処理事業である。かつては、テレビやラジオ、自動車などに取り付けるアルミニウム製のプレート(銘板)製造が主力であったが、現在はその売上も全体の 15%程度に留まっている。

A 社が表面加工処理事業を始めることになったのは、1970 年代初頭、現在の主要取引先である自動車部品メーカー Y 社が、部品の軽量化を実現するアルミニウム素材のパーツを求めて A 社に接触したことに始まる。もともと一銘板メーカーであった A 社には、表面加工処理に関する知識を持つ人材はおらず、アルミニウムの硬度強化技術もなく、摩耗や防錆を確認するための実験設備さえなかった。しかし、先代社長はこれを事業拡大の絶好の機会と捉え、社運を賭して技術開発に取り組んだ。Y 社の協力を得ながら数年間にわたって膨大な実験を行い、アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成し、実用化することに成功した。

その後、Y 社の主導で、部品製造の前工程のパートナー企業や、表面加工処理後の工程を担うパートナー企業との連携を強化しながら、自動車のトランスミッションやブレーキなど、重要保安部品の事業基盤を固めてきた。

1980 年代、90 年代を通して、自動車部品の表面加工処理だけでなく、OA 機器や家電製品に組み込まれるアルミニウム部品の表面加工処理も受注するようになり、取引先が増加した。2000 年代になると、燃費効率の向上を求める自動車メーカーからの軽量化要請により、多くの部品メーカーがアルミニウム製部品を採用するようになり、その追い風となって同社の売上は伸張した。中でも Y 社関連の取引額が最も大きく、現在でも依存度が高い。

多くの部品メーカーが重要保安部品を内製化している中で、A 社が取引先から高い評価・信頼を得ているのは、徹底した品質保証体制を確立しているからである。人命にかかわる重要保安部品には、いかなる不良も不具合もあってはならず、常に完璧な品質が求められる。A 社は、長年蓄積してきたデータを活用し、気温や湿度、一回の処理工程で加工する製品数などの条件が変化しても、ある程度同品質の皮膜生成を可能とする自動化システムを開発。それにより高精度の加工処理と短納期化を実現している。もちろん、システムが完備されているだけでは完全な品質保証はできないため、取引先企業の状況に応じた現場での継続的なプロセス改善や、製品の異常を迅速に発見・対処する意識・能力の育成・確保が必要である。

こうして信頼を得た A 社は、自動車メーカーのグローバル化に伴い、海外生産体制の強化を迫られた Y 社をはじめとする自動車部品メーカーから、経済的支援を前提とした海外進出の打診を幾度となく受けたが、実現には至らなかった。そのため、A 社は国内工場の技術革新に邁進してきた。

すでに述べたように、A 社の海外進出は、X 社の強い勧誘と経済的支援を受け、2002 年に S 国の経済特区内に初の海外工場を開設したときに始まる。海外工場で国内と同等の品質保証体制を確保することは大きな挑戦であった。自動化システムや検品ノウハウを導入したとはいえ、海外工場での品質の安定的維持・確保は容易ではなかった。現在では、30 代後半の技術畑出身で現場に精通する係長クラスの人材を工場長として派遣し、現場運営を任せている。また、月に一度は役員が現地に派遣され、本社の意向や考え方が伝達され、現地技術者の日本国内での教育の機会も設けられている。

もっとも、品質の安定維持・確保は、非正規社員の多い日本の工場でも依然として課題である。工場内の食堂など、社員が集合する場所に管理部、業務部、品質保証部、製造部の各 2 課の目標と達成度を掲示し、部門間や従業員同士の情報共有を促すとともに、社長自らが日々、意識改革やシステム改善に取り組んでいる。

## 設問文

### 第 1 問(配点 20 点)

A 社のような中小企業が近年、海外での事業活動に積極的に取り組むようになっている。A 社のような企業の場合、どのような外部環境の変化が海外進出を促していると考えられるか。  
その要因を 2 つあげ、それぞれ 40 字以内で簡潔に述べよ.

#### 要因 1

#### 要因 2

### 第 2 問(配点 20 点)

A 社は、Y 社の要請による海外進出を実現していないが、X 社の要請に応じて、2002 年に東南アジアの新興国 S 国に初めて生産拠点を設けている。  
Y 社の要請による A 社の海外進出が実現しなかったのはなぜか。X 社の状況を考慮に入れて、考えられる理由を 100 字以内で答えよ.

### 第 3 問(配点 20 点)

日本国内で重要保安部品を自動車部品メーカーに供給している A 社では、表面加工処理の自動化システムなどを開発し、品質の確保を図ってきた。しかし、東南アジアの中でも労働者がまじめで勤勉だといわれる S 国の工場に、品質保証のためのシステムを導入したにもかかわらず、X 社向け表面加工処理が主である S 国の工場を日本の工場の品質保証レベルにまで引き上げるにはかなりの時間がかかった。  
それには、どのような理由が考えられるか。120 字以内で答えよ.

### 第 4 問(配点 20 点)

A 社では、生産現場管理に精通し管理能力に長けた係長クラスの人材を海外生産拠点の工場長として送り込んでいる。現地工場の運営管理以外に、係長クラスの人材にどのような役割を期待し、どのような能力を向上させるべきかについて、中小企業診断士として、A 社の社長に 100 字以内で助言せよ.

### 第 5 問(配点 20 点)

A 社は、日本国内で課長以上の社員を対象に成果主義型賃金制度を導入しようと考えている。中小企業診断士として、制度の設計および導入にあたって、A 社の場合、どのような点に留意すべきかを 120 字以内で助言せよ.

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 20 点)

A 社の主力事業である金属の表面加工処理事業の経営環境の変化について、基本的理解力・分析力を問う問題である。

### 第 2 問(配点 20 点)

A 社の主要取引先である Y 社の要請による海外進出に応諾することがなかった状況について、分析力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 20 点)

A 社の海外拠点において品質保証体制を確立させる際に、障害になった事項について、組織・人事の視点から、分析力を問う問題である。

### 第 4 問(配点 20 点)

A 社の海外拠点の責任者に対して、本社として、どのような役割を期待しているのか、また、どのような能力を向上させていくべきかについて、助言能力を問う問題である。

### 第 5 問(配点 20 点)

A 社の日本本社に成果主義型賃金制度を導入する際に留意すべき点は、どういったことであるかについて、助言能力を問う問題である。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 20 点)

#### 要因 1

#### 要因 2

### 第 2 問(配点 20 点)

### 第 3 問(配点 20 点)

### 第 4 問(配点 20 点)

### 第 5 問(配点 20 点)

## AI への指示

以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。

この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。

1. **模範解答**  
   各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。

2. **フィードバック**  
   回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
   与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。

3. **改善点**  
   どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。

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