平成 23 年度(2011 年度)事例 Ⅲ
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# 平成 23 年度(2011 年度)事例 Ⅲ
## 与件文
C 社は資本金 5,000 万円、従業員 80 名の金属製家具製造業である。書庫、ロッカー、収納棚などのオフィス用金属製収納家具を生産、販売しており、売上高の 60%は大手事務機メーカー X 社への OEM 製品、残り 40%は自社ブランド製品「ビルトインシリーズ」である。
C 社は、ビルの屋内用電力制御盤メーカーの協力企業として創業した。切断加工機と曲げ加工機を使用して金属パネルを加工する企業としてスタートした。その後、溶接設備の導入により組立工程を、さらに塗装設備の導入により仕上げ工程を備え、制御盤の筐体完成品の受注ができる企業として成長した。この間、最も苦労したのは塗装技術のレベルアップであり、外部の専門家に指導を依頼し、顧客が満足する塗装仕上げ技術の向上に努めた。改善活動の成果により制御盤筐体の受注量は増加したが、建設業界の動向に左右され、受注量の変動が大きく、工場の操業度も大きく影響を受けた。
他業界からの受注獲得に努めた C 社社長は、塗装工程の指導を仰いだ専門家から、OEM 生産協力企業を探している大手事務機メーカー X 社を紹介された。X 社による工場監査、製品仕様の確認、試作品の製作および加工方法の調整・変更を経て、収納棚の規格品 1 品種の量産受注に成功し、OEM 事業がスタートした。その後、オフィス用高級家具規格品などの受注品種も増加し、X 社向けの OEM 事業は拡大を続けた。
しかし約 10 年前より、オフィス用金属製家具業界は官公庁での予算減少や民間企業の業績悪化などにより低迷し、X 社からの OEM 製品受注も頭打ちとなった。C 社は対応策として、X 社製品および販売チャネルと競合しない、学校、図書館、病院などの建築工事に付帯する金属製収納棚に特化した自社ブランド製品「ビルトインシリーズ」を開発。規格品としてカタログ化し、X 社の承諾を得た上で C 社独自で営業展開する自社ブランド規格品事業を開始した。この事業では、施主や設計事務所へのカタログを用いた製品紹介により、C 社製品「ビルトインシリーズ」の採用を促し、建築工事時に工事会社と契約して納品している。
ところが、最近 1〜2 年、X 社からの受注量が減少し、再び売上減少傾向が見られるようになった。そこで C 社は、カタログ規格品「ビルトインシリーズ」に加え、建築物内部に使われる金属製家具をコーディネートし、トータルで提供する特注品の自社ブランド製品「フリーデザインシリーズ」事業の開発を検討することになった。この事業は、「ビルトインシリーズ」の従来の営業先である施主や設計事務所からの「オフィス空間をトータルで提案し、供給してほしい」という要望に応えるものであり、C 社には大きな期待が寄せられている。
C 社の会社組織は、総務部、営業部、製造部で構成されている。設計開発業務は営業部に所属する 2 名の設計要員が担っており、X 社との新規規格品の設計打ち合わせ、「ビルトインシリーズ」の設計開発、さらには顧客の要望に応じた「ビルトインシリーズ」を活用したオフィスレイアウト図の提案など、当社製品企画の中心を担っている。同時に、材料・購入部品の発注業務や外注加工の手配などの購買業務も担当しており、業務量が非常に多いため、業務の滞りがしばしば発生している。この状態を改善し、社内で検討している「フリーデザインシリーズ」事業に必要な特注品の設計業務に対応するため、CAD/CAM 化を製造部と計画中である。
受注業務は、営業部長以下 10 名の営業部員が担当しており、1 名が X 社の OEM 製品を担当、他 9 名が「ビルトインシリーズ」の営業活動を行っている。
OEM 製品確定受注情報は、製品名と数量を明記した翌月分の「注文書」と、翌月各週の「納品指示書」として毎月中旬に X 社から営業部に入る。営業部では、翌月分の OEM 製品受注情報に加え、各営業担当者から提出される翌月分の「ビルトインシリーズ」の受注情報をまとめ、翌月の納品計画を月末に製造部へ渡す。製造部は、この納品計画と材料・購入部品、外注加工品の納期に基づき翌月の生産計画を月末に立案する。ただし、上旬分の生産計画は営業部との打ち合わせにより前月中旬に仮作成し、正式な納品計画が届いた月末に修正して確定する。
生産工程は、金属パネル加工、組立加工、塗装加工の 3 工程で構成され、ロット生産を行っている。金属パネル加工に使用する切断加工機および曲げ加工機は NC 化され、各加工機のオペレーターはデータ入力のスキルを有している。金属パネル加工の一部、金属製加工品、樹脂製加工品は外注加工で対応しており、これら外注加工品は営業部の設計要員が事前に発注手配を行っているが、納期管理が十分でないため、納品遅れが発生し組立工程の生産計画変更が多発している。
製品在庫は、「ビルトインシリーズ」については在庫を保有し受注に対応しているが、OEM 製品は在庫を持たず、X 社からの発注に基づき受注生産を行っている。また、材料やビス・ナット類などの購入部品は発注単位や発注単価を考慮して先行手配され、外注加工品は都度発注されている。これら材料・購入部品・外注加工品は、新製品の開発・規格化の際、デザインを優先するため製品ごとに異なるものが採用される傾向にあり、特に外注加工品はその傾向が強く、品種が非常に多くなっている.
## 設問文
### 第 1 問(配点 20 点)
C 社の創業からの事業変遷を理解した上で、生産技術面の特徴を(a)欄に、営業面での特徴を(b)欄に、40 字以内でそれぞれ述べよ.
#### (a)欄
#### (b)欄
### 第 2 問(配点 20 点)
C 社の生産計画は計画期間中に変更されることが多い。C 社社長は、当社製品の納期に対する顧客の満足度を上げるためにも生産計画の精度を向上させたいと考えているが、そのための対応策を 200 字以内で具体的に述べよ.
### 第 3 問(配点 40 点)
C 社では自社ブランド規格品「ビルトインシリーズ」に加え、特注品の「フリーデザインシリーズ」事業を計画している.
#### 設問 1
「フリーデザインシリーズ」事業は、既存事業の営業先からの要望によって計画、検討されている。顧客からの要望に応えこの事業を推進するためには、C 社の営業スタイルをどのように変えるべきか 80 字以内で提案せよ.
#### 設問 2
「フリーデザインシリーズ」事業を成功させるため、設計面の課題と生産面の課題を 100 字以内で述べよ.
### 第 4 問(配点 20 点)
「フリーデザインシリーズ」事業に対応するため、CAD/CAM の導入を考えているが、この CAD/CAM 化は C 社にどのようなメリットをもたらすのか 140 字以内で述べよ.
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 20 点)
金属パネル加工事業、屋内用電力制御盤事業、オフィス用金属製家具事業へ至る C 社の創業からの事業変遷を把握し、生産技術面と営業面での特徴を分析する能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 20 点)
生産計画の変更が多く生じている C 社の現状を分析し、その原因を把握、改善するために検討すべき具体的対策を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 40 点)
#### 設問 1
OEM 生産を中心に事業展開してきた C 社にとって、自社ブランド事業を拡大するために必要な営業活動のあり方を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問う問題である。
#### 設問 2
OEM 生産を中心に事業展開してきた C 社の現状を分析し、自社ブランド事業を成功に導くために必要な設計面および生産面での課題を分析する能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 20 点)
OEM 生産を中心に事業展開してきた C 社の現状を把握し、計画されている CAD/CAM 化のメリットを分析する能力を問う問題である。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 20 点)
#### (a)欄
#### (b)欄
### 第 2 問(配点 20 点)
### 第 3 問(配点 40 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 4 問(配点 20 点)
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。