平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅱ
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# 平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅱ
## 与件文
B 社は、現在の経営者の祖父により建材・金物店として、首都圏の郊外にある X 市の駅前商店街で創業された。3 代目である経営者は、郊外のバイパス道路沿いに、大型駐車場を十分確保できる店舗用に適した土地を所有していたため、今から30年前に会社を駅前商店街から移転し、駐車場併設、平屋店舗、素材の自己加工を特色とした本格的なホームセンターの経営を単独店舗で始めた。B 社の資本金は5,000万円、昨年度売上高10億円、従業員数は正社員30名、パート・アルバイト20名という規模である.
B 社は、祖父の代から長年取引のあった地元を中心とする大工、工務店、配管工事業者などの業務(プロ)用需要にも対応できる専門性重視の品揃えと、DIY(do it yourself)ブームの流れに乗って一般消費者の趣味の需要にも対応し、園芸用品、農業用資材などを加えて品揃えを拡大し、順調に業績を伸ばしていった。具体的に販売されている商品は、木材、電動工具、釘、配管材、水栓、ねじ、ボルト、ナット、建材(床材、建具、壁紙、断熱材)、工具、塗料、作業着、作業用品、園芸用品などである. ちなみに DIY とは、「日曜大工」と総称されるが、家庭の設備機器などの小修理や改造などを使用者自身が行うことである.
B 社は、顧客のためにさまざまなイベントを企画している。土日開催の園芸教室においては季節に応じた草花の植え替え、寄せ植えなどの体験指導を行っている。また、同日開催の木工教室では木製家具(テーブル、椅子、本箱など)の製作指導を行っている。参加費は材料費程度の安価に設定している。なお、指導に当たるのは正社員である.
B 社では、指導員の育成、知識・技術向上のために、積極的に社員を技術研修に参加させている。各種技能資格取得者に対しては、報奨制度を設け、特別昇給などを行い、社員のモチベーション向上に努めている。また、イベント開催日には、各日の顧客対応 No.1社員を管理職が選出し、翌週の朝礼時に全従業員の前で表彰する。さらに、月間を通じての顧客対応 No.1社員を「スター」として全従業員の投票で選び、報奨金とともに翌月のイベント開催日に「一日店長」を体験させる。その体験の中で、経営者の視点から顧客サービスを学び、今後の顧客対応に生かしてもらおうというのが狙いである。なお、この制度はパート、アルバイトにも適用され、優れた顧客対応を果たした者には、正社員としての採用の道が開かれている.
また B 社では、各種工具(特に電動工具)の有料貸し出しを行っている一方で、それらの使い方を学ぶ体験型の講習会を企画している。このときの講師としては、長年顧客として付き合いのある既にリタイアした大工や工務店の社員を活用している。また、商品の販売だけではなく、各種リフォーム工事、造園工事、外溝工事、各種修理などの見積り、施工を請け負っている。これら工事の施工業者も、顧客として長年付き合いのある業者を活用している.
最近、業者に家の新築工事を依頼した施主が、取り付けられる電気・照明器具、洗面・浴室用器具、その他壁紙、床材などを自ら決定するケースが増えてきている。このときに、B 社の建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が、家の設計図を基に各種器具を選定し、顧客である施主にプランを提案するサービスを行っている。このサービスを開始してから、B 社のプランをそのまま採用する施主が増えている.
歴史的に見ると、ホームセンターは、1970年代後半に入ると、大店法の運用強化によって店舗面積が厳しく規制されたことを背景にして、他の業態が切り捨てた分野を取り込んでバラエティストア化し、生鮮食料品、ファッション衣料品以外の分野への取扱商品の多様化が始まった。そして、郊外のロードサイドの工場跡地などへのチェーン展開による拡大が進み、さらに1990年代になってショッピングセンターへの出店が多くなり、大手ホームセンターへの集中や、小規模ホームセンターの廃業・業態転換が目立つようになってきた.
ここでいう大手ホームセンターは、積極的なチェーンオペレーションによる多店舗展開に加え、店舗の大型化を進めている。その競争は激化の一途である。大手ホームセンターは日常的な家庭生活に不可欠な日用品・雑貨に加え、レジャー用品、ペット関連商品までも取扱商品として取り込むようになってきている。中にはスーパーや GMS のように、ティッシュペーパーから食料品分野にまで商品分野を広げている店舗まである.
そうした中で、大店法の廃止により、都市近郊や郊外での他の業態との業態間競争が激化し、これに対処するために各企業ごとに違った戦略がとられるようになった。近年、X 市でも郊外のバイパス道路沿いには大手外食チェーンの出店が相次ぎ、また、小売の分野では、空洞化が進んでいる中心地を避けて、郊外に大型ショッピングセンターが建設され、その中に大手ホームセンターも出店し始めてきた。しかしながら、2007年の11月を過ぎると、郊外への大型店の出店が規制されることになっている. さて、B 社の近隣はにぎやかになってきたが、ここ数年 B 社の売上高は少しずつ低下してきている.
## 設問文
### 第 1 問(配点20点)
B 社は近隣への大手ホームセンター進出に対抗するための戦略を模索している。 それについて、以下の設問に答えよ.
#### 設問 1
大手ホームセンターに対抗するためには、B 社の持つ経営資源の中で、どのような強みを生かせばよいか。30字以内で 2 つ答えよ.
#### 設問 2
大手ホームセンターに対抗するためには、どのような品揃え戦略を採用すべきか。80字以内で述べよ.
### 第 2 問(配点30点)
B 社が店舗数と店舗面積を増やさずに、売り上げを拡大するには、どのような方法が B 社に適していると考えられるか。100字以内で 2 つ答えよ.
### 第 3 問(配点30点)
B 社と大手ホームセンターの流通活動について、以下の設問に答えよ.
#### 設問 1
B 社と大手ホームセンターとの流通活動の違いは何か。80字以内で述べよ.
#### 設問 2
B 社が流通活動で大手ホームセンターに対抗するためには、どのような手法が考えられるか。80字以内で述べよ.
### 第 4 問(配点20点)
B 社が行っているインターナルマーケティングについて、以下の設問に答えよ.
#### 設問 1
B 社はインターナルマーケティングとして具体的にどのような方策を行っているか。50字以内で 2 つ答えよ.
#### 設問 2
(設問 1)で答えた方策は、B 社の行うサービスにどのような効果があるのか。100字以内で具体的に説明せよ.
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点20点)
#### 設問 1
B社のような小規模小売店舗が、大手ホームセンターの進出によって受ける脅威に対抗するための戦略を考える上で、まずB社の持つ経営資源を分析し、それを競争上のアドバンテージとしてその生かし方を問う問題である。
#### 設問 2
(設問1)で分析した事実を前提に、B社の大手ホームセンターに対する競争戦略において、競争優位を確立するためにはどのような品揃え戦略が効果的であるかを問う問題である。
### 第 2 問(配点30点)
B社が現在の店舗数と店舗面積を拡大せずにその規模を維持したままで、現在の売り上げの拡大を計画する時、B社の内部環境と外部環境要因を分析した上で、最適な戦略を考案するための分析力と問題解決能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点30点)
#### 設問 1
チェーン方式を採用する大手ホームセンターと、独立店舗で経営しているB社では、経営形態が異なり、市場への対応もお互いに異質である。したがって、大手ホームセンターとB社の流通活動にも大きな相違点があり、これを分析し、整理する能力を問う問題である。
#### 設問 2
(設問1)で分析した事実を前提に、B社の大手ホームセンターに対する競争戦略において、競争優位を確立するためにはどのような流通活動の手法を展開していったらよいかを問う問題である。
### 第 4 問(配点20点)
#### 設問 1
サービス提供者である従業員のサービスパフォーマンスに対して、B社の経営者はどのような評価システムを採用し、従業員のモチベーションを向上させているのか。これを分析し、整理する能力を問う問題である。
#### 設問 2
(設問1)で分析した事実を前提に、B社の経営者が行う従業員への対応がどのような効果を生み出すのか。その効果を分析する能力を問う問題である。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点20点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 2 問(配点30点)
### 第 3 問(配点30点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 4 問(配点20点)
#### 設問 1
#### 設問 2
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。