Skip to content

平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅱ

使い方 (タップして開く)

markdown
# 平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅱ

## 与件文

B 社は、現在の経営者の祖父により建材・金物店として、首都圏の郊外にある X 市の駅前商店街で創業された。3 代目である経営者は、郊外のバイパス道路沿いに、大型駐車場を十分確保できる店舗用に適した土地を所有していたため、今から 30 年前に会社を駅前商店街から移転し、駐車場併設、平屋店舗、素材の自己加工を特色とした本格的なホームセンターの経営を単独店舗で始めた。B 社の資本金は 5,000 万円、昨年度売上高 10 億円、従業員数は正社員 30 名、パート・アルバイト 20 名という規模である.

B 社は、祖父の代から長年取引のあった地元を中心とする大工、工務店、配管工事業者などの業務(プロ)用需要にも対応できる専門性重視の品揃えと、DIY(do it yourself)ブームの流れに乗って一般消費者の趣味の需要にも対応し、園芸用品、農業用資材などを加えて品揃えを拡大し、順調に業績を伸ばしていった。具体的に販売されている商品は、木材、電動工具、釘、配管材、水栓、ねじ、ボルト、ナット、建材(床材、建具、壁紙、断熱材)、工具、塗料、作業着、作業用品、園芸用品などである. ちなみに DIY とは、「日曜大工」と総称されるが、家庭の設備機器などの小修理や改造などを使用者自身が行うことである.

B 社は、顧客のためにさまざまなイベントを企画している。土日開催の園芸教室においては季節に応じた草花の植え替え、寄せ植えなどの体験指導を行っている。また、同日開催の木工教室では木製家具(テーブル、椅子、本箱など)の製作指導を行っている。参加費は材料費程度の安価に設定している。なお、指導に当たるのは正社員である.

B 社では、指導員の育成、知識・技術向上のために、積極的に社員を技術研修に参加させている。各種技能資格取得者に対しては、報奨制度を設け、特別昇給などを行い、社員のモチベーション向上に努めている。また、イベント開催日には、各日の顧客対応 No.1 社員を管理職が選出し、翌週の朝礼時に全従業員の前で表彰する。さらに、月間を通じての顧客対応 No.1 社員を「スター」として全従業員の投票で選び、報奨金とともに翌月のイベント開催日に「一日店長」を体験させる。その体験の中で、経営者の視点から顧客サービスを学び、今後の顧客対応に生かしてもらおうというのが狙いである。なお、この制度はパート、アルバイトにも適用され、優れた顧客対応を果たした者には、正社員としての採用の道が開かれている.

また B 社では、各種工具(特に電動工具)の有料貸し出しを行っている一方で、それらの使い方を学ぶ体験型の講習会を企画している。このときの講師としては、長年顧客として付き合いのある既にリタイアした大工や工務店の社員を活用している。また、商品の販売だけではなく、各種リフォーム工事、造園工事、外溝工事、各種修理などの見積り、施工を請け負っている。これら工事の施工業者も、顧客として長年付き合いのある業者を活用している.

最近、業者に家の新築工事を依頼した施主が、取り付けられる電気・照明器具、洗面・浴室用器具、その他壁紙、床材などを自ら決定するケースが増えてきている。このときに、B 社の建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が、家の設計図を基に各種器具を選定し、顧客である施主にプランを提案するサービスを行っている。このサービスを開始してから、B 社のプランをそのまま採用する施主が増えている.

歴史的に見ると、ホームセンターは、1970 年代後半に入ると、大店法の運用強化によって店舗面積が厳しく規制されたことを背景にして、他の業態が切り捨てた分野を取り込んでバラエティストア化し、生鮮食料品、ファッション衣料品以外の分野への取扱商品の多様化が始まった。そして、郊外のロードサイドの工場跡地などへのチェーン展開による拡大が進み、さらに 1990 年代になってショッピングセンターへの出店が多くなり、大手ホームセンターへの集中や、小規模ホームセンターの廃業・業態転換が目立つようになってきた.

ここでいう大手ホームセンターは、積極的なチェーンオペレーションによる多店舗展開に加え、店舗の大型化を進めている。その競争は激化の一途である。大手ホームセンターは日常的な家庭生活に不可欠な日用品・雑貨に加え、レジャー用品、ペット関連商品までも取扱商品として取り込むようになってきている。中にはスーパーや GMS のように、ティッシュペーパーから食料品分野にまで商品分野を広げている店舗まである.

そうした中で、大店法の廃止により、都市近郊や郊外での他の業態との業態間競争が激化し、これに対処するために各企業ごとに違った戦略がとられるようになった。近年、X 市でも郊外のバイパス道路沿いには大手外食チェーンの出店が相次ぎ、また、小売の分野では、空洞化が進んでいる中心地を避けて、郊外に大型ショッピングセンターが建設され、その中に大手ホームセンターも出店し始めてきた。しかしながら、2007 年の 11 月を過ぎると、郊外への大型店の出店が規制されることになっている. さて、B 社の近隣はにぎやかになってきたが、ここ数年 B 社の売上高は少しずつ低下してきている.

## 設問文

### 第 1 問(配点 20 点)

B 社は近隣への大手ホームセンター進出に対抗するための戦略を模索している。 それについて、以下の設問に答えよ.

#### 設問 1

大手ホームセンターに対抗するためには、B 社の持つ経営資源の中で、どのような強みを生かせばよいか。30 字以内で 2 つ答えよ.

#### 設問 2

大手ホームセンターに対抗するためには、どのような品揃え戦略を採用すべきか。80 字以内で述べよ.

### 第 2 問(配点 30 点)

B 社が店舗数と店舗面積を増やさずに、売り上げを拡大するには、どのような方法が B 社に適していると考えられるか。100 字以内で 2 つ答えよ.

### 第 3 問(配点 30 点)

B 社と大手ホームセンターの流通活動について、以下の設問に答えよ.

#### 設問 1

B 社と大手ホームセンターとの流通活動の違いは何か。80 字以内で述べよ.

#### 設問 2

B 社が流通活動で大手ホームセンターに対抗するためには、どのような手法が考えられるか。80 字以内で述べよ.

### 第 4 問(配点 20 点)

B 社が行っているインターナルマーケティングについて、以下の設問に答えよ.

#### 設問 1

B 社はインターナルマーケティングとして具体的にどのような方策を行っているか。50 字以内で 2 つ答えよ.

#### 設問 2

(設問 1)で答えた方策は、B 社の行うサービスにどのような効果があるのか。100 字以内で具体的に説明せよ.

## 出題の趣旨

### 第 1 問(配点 20 点)

#### 設問 1

B社のような小規模小売店舗が、大手ホームセンターの進出によって受ける脅威に対抗するための戦略を考える上で、まずB社の持つ経営資源を分析し、それを競争上のアドバンテージとしてその生かし方を問う問題である。

#### 設問 2

(設問 1)で分析した事実を前提に、B社の大手ホームセンターに対する競争戦略において、競争優位を確立するためにはどのような品揃え戦略が効果的であるかを問う問題である。

### 第 2 問(配点 30 点)

B社が現在の店舗数と店舗面積を拡大せずにその規模を維持したままで、現在の売り上げの拡大を計画する時、B社の内部環境と外部環境要因を分析した上で、最適な戦略を考案するための分析力と問題解決能力を問う問題である。

### 第 3 問(配点 30 点)

#### 設問 1

チェーン方式を採用する大手ホームセンターと、独立店舗で経営しているB社では、経営形態が異なり、市場への対応もお互いに異質である。したがって、大手ホームセンターとB社の流通活動にも大きな相違点があり、これを分析し、整理する能力を問う問題である。

#### 設問 2

(設問 1)で分析した事実を前提に、B社の大手ホームセンターに対する競争戦略において、競争優位を確立するためにはどのような流通活動の手法を展開していったらよいかを問う問題である。

### 第 4 問(配点 20 点)

#### 設問 1

サービス提供者である従業員のサービスパフォーマンスに対して、B社の経営者はどのような評価システムを採用し、従業員のモチベーションを向上させているのか。これを分析し、整理する能力を問う問題である。

#### 設問 2

(設問 1)で分析した事実を前提に、B社の経営者が行う従業員への対応がどのような効果を生み出すのか。その効果を分析する能力を問う問題である。

# 平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅱ 回答と解説

## 第 1 問(配点 20 点)

### 設問文

B 社は近隣への大手ホームセンター進出に対抗するための戦略を模索している。 それについて、以下の設問に答えよ.

### 設問 1

大手ホームセンターに対抗するためには、B 社の持つ経営資源の中で、どのような強みを生かせばよいか。30 字以内で 2 つ答えよ.

### 回答例

- **プロ需要に対応できる専門性の高い品揃え。(20 字)**
- **専門知識が豊富で提案力・指導力の高い従業員。(22 字)**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「大工、工務店、配管工事業者などの業務(プロ)用需要にも対応できる専門性重視の品揃え」
  - 「社員を技術研修に参加させている。各種技能資格取得者に対しては、報奨制度を設け」
  - 「園芸教室」「木工教室」で「正社員」が指導
  - 「建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が、...プランを提案するサービス」

- **答案作成の根拠**
  大手ホームセンターがチェーンオペレーションによる規模の経済を武器に、日用品なども含む幅広い品揃えで攻勢をかけてくるのに対し、B 社が対抗するためには、大手にはない独自の強みを活かす必要があります。
  与件文から B 社の強みとして、以下の 2 点が明確に読み取れます。

  1.  **商品(モノ)の強み**: 創業以来のプロ顧客との取引に裏打ちされた、専門性の高い品揃え。これは、単に商品を並べるだけでなく、プロの厳しい要求に応えられる品質と専門知識が伴っていることを意味します。
  2.  **人材(ヒト)の強み**: 専門知識の習得を奨励する制度と、教室やプラン提案で実践経験を積んだ、提案力・指導力の高い従業員の存在。これは、単なる販売員ではなく、顧客の課題を解決するコンサルタントとしての役割を果たせることを示します。
      これら 2 点は、大手が模倣しにくい、B 社ならではの経営資源であり、競争優位の源泉となります。

- **使用した経営学の知識**
  - **SWOT 分析**: 自社の内部環境である「強み (Strengths)」を分析し、外部環境である「脅威 (Threats)」(大手ホームセンターの進出)に対抗するための戦略の基盤とします。
  - **競争戦略(差別化戦略)**: 競合他社(大手)との直接的な価格競争などを避け、自社の独自性を打ち出すことで競争優位を築く戦略です。ここでは「商品の専門性」と「人材の専門性」が差別化の軸となります。

### 設問 2

大手ホームセンターに対抗するためには、どのような品揃え戦略を採用すべきか。80 字以内で述べよ.

### 回答例(78 字)

**大手と競合する日用品等を縮小し、プロ向け建材や専門工具、特定分野の DIY 関連商品に特化する。これにより、価格競争を避け、専門性を求める顧客層を固定客化する。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「大手ホームセンターは日常的な家庭生活に不可欠な日用品・雑貨に加え、レジャー用品、ペット関連商品までも取扱商品として取り込む」
  - 「B 社は...プロ用需要にも対応できる専門性重視の品揃え」

- **答案作成の根拠**
  設問 1 で特定した「専門性」という強みを、具体的な品揃え戦略に落とし込みます。大手ホームセンターは、豊富な資金力とバイイングパワーを活かして日用品などを安価に提供する「価格競争」と、幅広い商品分野を網羅する「フルライン戦略」で市場シェアを狙ってきます。B 社が同じ土俵で戦うのは得策ではありません。
  したがって、B 社は逆の戦略、すなわち「集中戦略」または「ニッチ戦略」をとるべきです。具体的には、

  1.  **絞り込み**: 大手が扱うような、価格競争に陥りやすい日用品や一般雑貨の取り扱いを縮小・中止する。
  2.  **特化・深掘り**: 自社の強みが活かせる「プロ向け商品」や、一般消費者向けでも専門知識が必要となるような「高度な DIY 関連商品」に経営資源を集中させ、品揃えの「幅」ではなく「深さ」で勝負します。
      これにより、大手との直接競争を回避し、「専門的な商品やアドバイスが欲しい」という特定の顧客層からの強い支持を得て、安定した収益基盤を築くことを目指します。

- **使用した経営学の知識**
  - **競争戦略(集中戦略)**: 特定の顧客セグメント、製品ライン、または地理的市場に経営資源を集中させることで、そのニッチ市場において競争優位を確立する戦略です。ここでは「専門性を求める顧客層」と「専門性の高い商品」に集中します。
  - **製品・市場マトリクス**: 既存市場(X 市)において、既存製品(プロ向け商品)を深掘りし、市場浸透をさらに強化する戦略と位置づけられます。

## 第 2 問(配点 30 点)

### 設問文

B 社が店舗数と店舗面積を増やさずに、売り上げを拡大するには、どのような方法が B 社に適していると考えられるか。100 字以内で 2 つ答えよ.

### 回答例

- **1. 建築士等の資格を持つ社員による施主へのプラン提案サービスを強化・拡充する。住宅設備や建材等の高単価商品を販売し、提携業者による施工までを一括で請け負い客単価を向上させる。(85 字)**
- **2. 長年の取引があるプロ顧客やリフォームを希望する一般顧客に対し、訪問営業や出張相談サービスを展開する。店舗外での修理や工事の受注機会を創出し、新たな売上の柱を構築する。(83 字)**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「店舗数と店舗面積を増やさずに、売り上げを拡大する」という制約条件
  - 「建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が...プランを提案するサービス」
  - 「各種リフォーム工事、造園工事、外溝工事、各種修理などの見積り、施工を請け負っている」
  - 「これら工事の施工業者も、顧客として長年付き合いのある業者を活用している」

- **答案作成の根拠**
  「店舗数・面積を増やさない」という制約は、店舗でのモノ売り(小売)だけに依存するのではなく、店舗を拠点とした「サービス」や「ソリューション」の提供によって売上を拡大する必要があることを示唆しています。B 社の強みである「専門知識を持つ人材」と「プロ顧客とのネットワーク」を最大限に活用できる方法を考えます。

  1.  **高付加価値サービスの強化(客単価向上策)**: 与件文には、建築士やインテリアコーディネーターによるプラン提案サービスが、施主から高い支持を得ているとあります。これは、単なる商品販売ではなく、顧客の家づくりというプロジェクト全体に関わる「ソリューション提供」です。このサービスを正式な事業の柱として強化し、高単価なシステムキッチンやユニットバス、床材などの販売から、信頼できる地元のプロ業者による施工までを一括で請け負うことで、一顧客あたりの売上(客単価)を大幅に引き上げることが可能です。これは店舗面積に依存しません。

  2.  **店舗外での売上機会創出(顧客接点拡大策)**: B 社の売上は、現在、来店客に依存する「待ち」のビジネスが中心と考えられます。売上を拡大するためには、店舗外へ積極的に出ていく「攻め」の営業活動が必要です。具体的には、既存のプロ顧客(工務店など)へのルートセールスを強化したり、リフォームや修理を検討している一般家庭へ専門スタッフが出向いて相談に応じたりする「訪問サービス」です。これにより、店舗という物理的な制約を超えて商圏を広げ、新たな売上機会を創出できます。

- **使用した経営学の知識**
  - **事業ドメインの再定義**: 単なる「ホームセンター(小売業)」から、「住まいに関するソリューションプロバイダー(サービス業)」へと事業の定義を広げることで、新たな成長機会を見出します。
  - **チャネル戦略**: 既存の店舗(プル戦略)に加えて、訪問営業(プッシュ戦略)を組み合わせることで、多角的な顧客アプローチを実現します。
  - **サービス・マーケティング**: モノの販売に、専門知識や施工といった無形のサービスを組み合わせることで付加価値を高め、売上を拡大する考え方です。

## 第 3 問(配点 30 点)

### 設問文

B 社と大手ホームセンターの流通活動について、以下の設問に答えよ.

### 設問 1

B 社と大手ホームセンターとの流通活動の違いは何か。80 字以内で述べよ.

### 回答例(77 字)

**大手は一括大量仕入と大規模物流センターを活用した効率的なチェーン展開。 B 社は、地元のプロ顧客を販売先、講師、施工業者としても活用する循環型の関係性を構築。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 大手:「チェーンオペレーションによる多店舗展開」「店舗の大型化」
  - B 社:「単独店舗」「長年取引のあった地元を中心とする大工、工務店」「(リタイアしたプロ顧客を)講師として活用」「(プロ顧客を)施工業者も...活用」

- **答案作成の根拠**
  「流通活動」を仕入から販売、およびそれに関わるプレーヤー間の関係性と捉え、両者の違いを比較します。

  - **大手ホームセンター**: キーワードは「チェーンオペレーション」です。これは、本部が司令塔となり、全店舗分の商品を一括で大量に仕入れることで「規模の経済」を働かせ、コストダウンを図ります。そして、大規模な物流センターから各店舗へ効率的に商品を配送する、標準化・効率化された「線形的な流通システム」を構築しています。
  - **B 社**: 単独店舗である B 社は、大手のような規模の経済は追求できません。その代わり、与件文には「長年付き合いのあるプロ顧客」が、商品を「買う客」であると同時に、イベントの「講師」やリフォーム工事の「施工業者」という供給サイドの役割も担っていることが描かれています。これは、B 社を中心として、地域のプロ顧客との間に、販売・サービス提供・協業が一体となった、ユニークな「循環型の流通・協力関係」が構築されていることを意味します。

- **使用した経営学の知識**
  - **チャネル戦略**: 商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの経路や仕組み。大手はメーカー → 本部 → 物流センター → 店舗 → 消費者という典型的な流通チャネルですが、B 社は顧客がチャネルの構成員にもなるという特徴的な構造を持っています。
  - **サプライチェーン・マネジメント (SCM)**: 大手は効率性を重視した SCM を展開しているのに対し、B 社は地域内での関係性を重視した、いわば「リレーションシップ・ベースのサプライチェーン」を構築していると言えます。

### 設問 2

B 社が流通活動で大手ホームセンターに対抗するためには、どのような手法が考えられるか。80 字以内で述べよ.

### 回答例(78 字)

**長年の取引があるプロ顧客と連携を強化し、彼らの施主を顧客として紹介してもらう。B 社はプラン提案と商品供給で応え、双方向の顧客紹介関係を構築し販路を拡大する。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「長年取引のあった地元を中心とする大工、工務店、配管工事業者などの業務(プロ)用需要にも対応」
  - 「各種リフォーム工事...施工業者も、顧客として長年付き合いのある業者を活用」
  - 「建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が...プランを提案するサービス」

- **答案作成の根拠**
  設問 1 で明らかにした B 社独自の「循環型の関係性」を、大手に対抗するための武器としてさらに能動的に活用する手法を考えます。現状では、B 社がリフォーム工事を受注し、プロ顧客に施工を「依頼する」という一方向の流れが主です。これを発展させ、双方向の協力関係を築きます。
  具体的には、B 社の主要顧客である地元の工務店などが、彼ら自身の顧客(例えば新築やリフォームの施主)を B 社に紹介してくれるような仕組みを構築します。工務店にとっては、B 社の専門スタッフ(建築士など)がプラン提案を代行してくれ、施主の満足度を高められるメリットがあります。B 社にとっては、自ら営業せずとも新規顧客を獲得できるというメリットがあります。
  このように、プロ顧客を単なる「商品の買い手」や「下請け業者」としてだけでなく、「ビジネスパートナー」と位置づけ、相互に利益のある関係性を深化させることが、大手には真似のできない強力な流通戦略となります。

- **使用した経営学の知識**
  - **戦略的提携(アライアンス)**: 競争関係にある企業同士や、異なる業種の企業が、共通の目的のために協力関係を結ぶこと。ここでは、B 社とプロ顧客との間で、互いの顧客基盤や専門性を活用しあう販売提携を構築します。
  - **リレーションシップ・マーケティング**: 顧客との長期的で良好な関係を築き、維持・強化していくことで、継続的な取引を促すマーケティング手法。これをプロ顧客との関係にも適用し、Win-Win の関係を構築します。

## 第 4 問(配点 20 点)

### 設問文

B 社が行っているインターナルマーケティングについて、以下の設問に答えよ.

### 設問 1

B 社はインターナルマーケティングとして具体的にどのような方策を行っているか。50 字以内で 2 つ答えよ.

### 回答例

- **1. 技術研修や資格取得報奨制度により、従業員の専門能力開発を支援し、スキル向上への意欲を高める方策。(48 字)**
- **2. 顧客対応の優秀者表彰や一日店長体験を通じ、従業員の貢献を認め、仕事への誇りと意欲を向上させる方策。(49 字)**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 「積極的に社員を技術研修に参加させている」
  - 「各種技能資格取得者に対しては、報奨制度を設け、特別昇給などを行い」
  - 「顧客対応 No.1 社員を管理職が選出し、...表彰する」
  - 「月間を通じての顧客対応 No.1 社員を「スター」として...報奨金とともに翌月のイベント開催日に「一日店長」を体験させる」

- **答案作成の根拠**
  インターナルマーケティングとは、「従業員は内部顧客である」という考えに基づき、従業員の満足度やモチベーションを高めることで、結果として外部の顧客へのサービス品質を向上させる一連の活動を指します。与件文から、B 社が実施している具体的な方策を抽出し、整理します。

  1.  **能力開発と金銭的動機付け**: B 社は、技術研修への参加奨励や、資格取得者への報奨金・特別昇給という制度を設けています。これは、従業員が専門スキルを高めること(能力開発)を直接的に支援し、金銭的なインセンティブ(報酬)を与えることで、学習意欲を促進する方策です。
  2.  **承認と非金銭的動機付け**: 日々の優れた顧客対応を「No.1 社員」や「スター」として全従業員の前で表彰する制度は、従業員の努力や貢献を公式に「承認」するものです。また、「一日店長」という特別な体験は、金銭では得られない名誉や、経営視点を学ぶ機会という「非金銭的な報酬」であり、従業員の自尊心や仕事への誇りを高める効果があります。
      これら 2 つは、それぞれ「スキル」と「マインド」の両面から従業員に働きかける、補完的な施策となっています。

- **使用した経営学の知識**
  - **インターナルマーケティング**: 企業が従業員に対して行うマーケティング活動。従業員満足 (ES) が顧客満足 (CS) を生むという考え方が基本となります。
  - **動機付け理論(モチベーション理論)**:
    - **ハーズバーグの二要因理論**: 「報奨制度」は動機付け要因に、「特別昇給」は衛生要因の改善にも寄与します。
    - **マズローの欲求段階説**: 「表彰」や「一日店長」は、高次の「承認欲求」や「自己実現欲求」を満たす方策と言えます。

### 設問 2

(設問 1)で答えた方策は、B 社の行うサービスにどのような効果があるのか。100 字以内で具体的に説明せよ.

### 回答例(93 字)

**従業員の専門知識・技術と仕事への意欲が共に向上する。これにより、専門性の高い商品説明や質の高いプラン提案、親身な顧客対応が可能となり、顧客満足度と信頼感を高め、企業の競争力向上に繋がる。**

### 解説

- **問題文の該当箇所**

  - 設問 1 で挙げた各種のインターナルマーケティング施策
  - 「園芸教室」「木工教室」での指導
  - 「建築士やインテリアコーディネーターの資格を持つ社員が...プランを提案するサービス」

- **答案作成の根拠**
  設問 1 で分析したインターナルマーケティング方策が、最終的に B 社の「サービス」、ひいては「業績」にどのような好影響をもたらすのか、その因果関係を具体的に説明します。

  1.  **スキル向上 → サービス品質の向上**: 資格取得や研修で得た専門知識・技術は、顧客へのアドバイスの的確さや、プラン提案の説得力に直結します。これにより、顧客は「この店員さんは信頼できる」と感じ、満足度が高まります。
  2.  **モチベーション向上 → サービス態度の向上**: 表彰制度などによって仕事への誇りや意欲が高まった従業員は、より積極的に、そして親身になって顧客に対応するようになります。このホスピタリティあふれる接客態度は、顧客に心地よい購買体験を提供し、店舗への愛着(ロイヤルティ)を育みます。
  3.  **相乗効果**: 高いスキルと高いモチベーションを兼ね備えた従業員は、B 社にとって最大の財産です。彼らが提供する高品質なサービスこそが、価格や品揃えの幅では勝てない大手ホームセンターとの「差別化」を可能にする核心であり、B 社の持続的な競争優位の源泉となります。この一連の流れを論理的に記述することで、インターナルマーケティングの重要性とその効果を示すことができます。

- **使用した経営学の知識**
  - **サービス・プロフィット・チェーン**: 「従業員満足(ES)」が「従業員の定着と生産性の向上」を生み、それが「サービス価値の向上」に繋がり、「顧客満足(CS)」と「顧客ロイヤルティ」を高め、最終的に企業の「利益と成長」に結びつく、という一連の因果関係を示したモデル。本問の解説は、まさにこのモデルに沿った内容となっています。

## AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

**評価の基本方針**

- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。

---

### ABCDEF 評価基準

- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

---

### 入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。

---

### 出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。

**1. 設問ごとの添削**

**模範解答(比較参考用)**

`回答例と解説`の回答例を出力してください。

**あなたの回答**

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。

- **フィードバック:**

- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

**2. 総評**

- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

## あなたの回答

### 第 1 問(配点 20 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 2 問(配点 30 点)

### 第 3 問(配点 30 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

### 第 4 問(配点 20 点)

#### 設問 1

#### 設問 2

© 2024 AIで診断士二次試験 | All Rights Reserved