平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅲ
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# 平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅲ
## 与件文
【C社の概要】
1980年創業の C 社は、ダイニング用テーブル、チェア、スツールなどを主力にする木製家具製造業である。資本金は5,000万円、従業員は総務・経理部門 6 名、営業部門12名、製品開発・設計部門18名、製造部門84名の合計120名である。なお、営業部門は販売業務のほか、製品在庫管理、製品出荷業務を担当している。
木製家具製造業は、一般に生産地または消費地の家具問屋を経由して小売店に販売している。その中で、家具専門の中小小売店では総じて売り上げが低迷しているが、消費者に対してライフスタイルの提案を積極的に展開しているインテリア用品・生活用品を扱う小売店や、製造小売型(SPA)の大型小売店の売り上げは比較的好調である。このような木製家具業界にあって、C 社は全国の小売店約300社に直接販売している。その販売先の約80%は、主にインテリア用品・生活用品を取り扱う小売店が占め、家具専門の小売店数が少ないのが特徴である。販売先の小売店では、C 社製品の一部を展示し、その他の製品はカタログによって販売活動を行っている例が多い。販売実績が大きな有力販売先では、C 社製品を中心に生活空間を演出する展示スペースを設けている。現在、この有力販売先の一つである大手インテリア用品小売チェーンから、OEM 製品の取引打診があり、先方から製品アイデアの提供を受けて製品化を進めようとしている。
C 社製品は、塗料や接着材に有害物質が含まれていないものを使用し、消費者の健康、安全志向にマッチした製品である。ダイニング用テーブル、チェアのセットの平均販売価格は15万円前後と比較的高額であるが、幼い子供を持つ若い主婦層に受け入れられている。近年の低迷する木製家具業界にあって、C 社の収益には大きな増加は見られないものの、年商は約18億円前後で推移している。現在進めようとしている大手インテリア用品小売チェーンからの OEM 製品受注が現実のものになると、年間で約 1 割程度の売り上げ増が見込まれている。
【新製品開発と製品アイテム】
C 社の新製品開発のコンセプトは「20〜30歳代の主婦に喜ばれる家具」である。新製品開発情報は、各営業担当者がそれぞれ担当する販売先の小売店から消費者の嗜好、要望などを情報として入手し、製品開発・設計部門に提案している。このような新製品に関する多くの提案によって、積極的な新製品開発を進めており、その結果、現在の自社ブランド製品は使用する木材の品種違い、塗装の色違いを含めて170アイテムと多くなっている。製品はカタログに掲載され、販売先や消費者に配布されているが、その中には出荷頻度および出荷数量が極端に少ない製品も見られる。
【生産の現状】
小売店からの注文に対しては、その当日に製品を出荷することを取引の基本としている。そのため、製品は見込生産であり、製品ごとにロット生産している。C 社の生産工程は、部品切断加工 ⇒ 部品機械加工 ⇒ 部品仕上げ加工 ⇒ 組立て ⇒ 塗装・仕上げ ⇒ 梱包の 6 工程である。そのうち、部品機械加工の一部と販売数量の少ない製品については完成品までを外注工場に依存している。
毎月中旬に開かれる営業部門との製販会議で翌月の販売予測数量が提示され、生産計画ではそれを参考に翌月の生産品目、生産順が決められている。生産計画作成後は、営業部門との定期的な情報交換は行われていない。
生産工程上のボトルネック工程は部品機械加工工程である。この工程における段取り作業回数を減らし稼働率を上げるために、生産ロットサイズは部品機械加工工程の 1 日で加工可能な数量にて決定されており、現在は約100〜150個である。この生産ロットサイズは営業部門の月販売予測数をどの製品も上回っている。その結果、製品在庫は全体で月平均出荷量の 2 倍以上常に存在し、少しずつ増加している。しかし、製品によっては欠品が発生し、販売先に即納できないこともしばしば生じている。毎月後半になると、営業部門から欠品している製品の追加生産依頼があり、生産が不安定になる。製造部門の責任者は、生産計画の変更、それに伴う原材料の確保、各工程能力の調整、外注工場への生産依頼など、その日その日の調整作業に追われている。
日々の作業指示は、第 1 工程の部品切断加工着手日を計画して指示するが、その後の工程の作業指示は特になく、現場対応で進められている。生産着手から生産完了までのリードタイムは、最短で半月、最長で 1 カ月半となっている。このため、注文の際に製品在庫が不足している場合には、納品までに 1 カ月以上顧客を待たせる事態も時には生じているが、幸いにも欠品により注文がキャンセルされる確率は低い。
このような生産工程の状況下で、製造部門は、経営上問題となっている過大な製品在庫の削減、および製品の欠品問題の改善を経営者より指示され、対策に苦慮している。また、現在進めようとしている大手インテリア用品小売チェーンの OEM 製品では、従来の見込生産とは違い、受注生産で一括納品する方向であり、受注後の納期の回答が求められている。
## 設問文
### 第 1 問(配点 10 点)
低迷する木製家具業界にあって、C 社は安定的な業績を維持している。その考えられる理由を 120 字以内で述べよ。
### 第 2 問(配点 40 点)
C 社では、経営上大きな問題となっている過大な製品在庫および製品の欠品について改善を検討している。次の設問に答えよ。
#### 設問 1
過大な製品在庫と製品の欠品が生じている理由を 100 字以内で述べよ。
#### 設問 2
製品の在庫問題を解決するために、生産面で必要な対策を 120 字以内で述べよ。
### 第 3 問(配点 40 点)
C 社では、大手インテリア用品小売チェーンから OEM 製品の取引要請があり、共同で製品化を進めようとしている。
#### 設問 1
大手インテリア用品小売チェーンとの OEM 製品取引は、C 社にとってどのようなメリットがあるのかについて 80 字以内で述べよ。
#### 設問 2
C 社の OEM 事業推進において考えられる課題とその対応策について 120 字以内で述べよ。
### 第 4 問(配点 10 点)
C 社の自社製品は見込生産であり、現在製品化を進めようとしている OEM 製品は受注生産で対応する予定である。C 社の見込生産と受注生産の違いを、重視すべき情報と管理ポイントの視点から 80 字以内で述べよ。
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 10 点)
低迷する木製家具業界にあって、安定的な業績を維持してきたC社の強みはどのようなことなのか、木製家具業界の環境に対応したC社の販売戦略、製品戦略を具体的に示す分析能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 40 点)
#### 設問 1
C社の生産計画面および工程管理面を分析し、経営上大きな問題となっている過大な製品在庫と製品の欠品問題について、その原因を考察するための分析能力を問う問題である。
#### 設問 2
経営上大きな問題となっている過大な製品在庫と製品の欠品問題について、解決しなければならない生産面の対策を提示できるかについての問題解決能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 40 点)
#### 設問 1
取引先からのOEM製品の取引要請は、自社オリジナル製品開発を中心に進めてきたC社にとって、どのような経営に対するメリットがあるのかについての分析能力を問う問題である。
#### 設問 2
新たな事業拡大の可能性をもつ取引先からのOEM製品の取引要請を成功に導くために、C社が解決しなければならない課題とその対応策を提示できるかについての分析能力と問題解決能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 10 点)
生産活動における管理すべきポイントは生産形態によって異なり、またそこに必要な情報も異なる。見込生産と受注生産とで異なる管理ポイントと必要な情報を問う問題である。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 10 点)
### 第 2 問(配点 40 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 3 問(配点 40 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 4 問(配点 10 点)
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。