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不合格者向け試験対策|1月からやること
この記事の要約
- 二次試験は相対評価であり、年々「普通に良い答案」では通らなくなっている
- 合否を最も分けているのは事例Ⅳで、点差は他事例の2~5倍ある
- AI添削の普及により、事例Ⅰ~Ⅲの答案品質は飽和(サチって)いく
- だからこそ 1月から事例Ⅳに全振り する戦略が合理的
- 簿記1級レベルを毎日3時間積めば、一次試験組は物理的に追いつけない
2026年1月14日、令和7年度 中小企業診断士二次試験(筆記)の結果が発表されました。
まずは、合格された皆さま、本当におめでとうございます。
一方で、残念ながら不合格だった方も多くいらっしゃると思います。
その方々に、今回ははっきりとお伝えします。
次に向けて、やるべきことは「簿記1級レベルの学習」です。
事例Ⅳが合否を分けているというデータ
X(旧Twitter)上のデータを集計した中小企業診断士サンさんの記事によると、
合格者と不合格者の平均点の差は以下の通りでした。
- 事例Ⅰ:7.3点
- 事例Ⅱ:6.7点
- 事例Ⅲ:3.9点
- 事例Ⅳ:18.7点
事例Ⅳの差が、他と比べて圧倒的に大きいことがわかります。
私自身も合格発表当日、タイムラインを眺めていましたが、
合格者は事例Ⅳで80点以上を取っている方が非常に多いという印象でした。
なぜ事例Ⅳは調整しにくいのか
事例Ⅳは計算問題が主体です。
もし「計算問題が全問正解なのに60点だった」としたら、多くの受験生は「おかしい」と感じるでしょう。
SNSですぐに話題になり、炎上しやすい時代でもあります。
そのため、事例Ⅳは大きな得点調整がしづらいと考えるのが自然です。
結果として、
- 記述式の事例Ⅰ~Ⅲで調整
- 事例Ⅳは点数が比較的素直に出る
という構造になっている可能性が高いと感じています。
二次試験は「相対評価」であり、答案は飽和していく
二次試験は「240点以上で合格」と言われますが、
合格率が例年約18%(今年は17.6%)である以上、相対評価であることは明らかです。
そして今、その相対評価の中身が大きく変わりつつあります。
従来は、
- キーワードが入っていれば一定の点がもらえる
- 多少読みにくくても「それっぽい」答案は評価される
こうした時代がありました。
いわゆる「ふぞろい的キーワード採点」と相性の良い学習法です。
しかし現在は状況が違います。
- 因果関係が不明瞭
- 箇条書きで読みにくい
- 設問要求との対応が曖昧
こうした答案に対して、AI添削は容赦なく指摘を入れます。
そして受験生は、そのフィードバックの速さと明確さから、
自然とAI添削を使う学習スタイルへ流れていきます。
その結果どうなるか。
- 因果関係が明確
- 文章として読みやすい
- 設問要求を外さない
この水準の答案が「当たり前」になります。
つまり、答案の質が全体として飽和(サチって)いくのです。
10年前であれば、
80点と評価された答案が、AI添削が普及した世界になると、
同じ品質でも60点台に収まる可能性すらあります。
これは、箱根駅伝と同じ構造です。
10年前の優勝タイムは当時としては圧倒的でしたが、
今の基準ではシード権すら危うい水準になっています。

基準点が大きく変わらなくても、
周囲のレベルが上がれば、相対的な評価は確実に下がる。
二次試験も、まさにこの状況に入りつつあります。
AI学習者は今後さらに増える
私が提供しているAI添削ツールは、
一日あたり約100人が利用していました。
NotebookLM主体の方、他のAI添削サービスを使っていた方も含めると、
AIメインで学習していた受験生は300~500人程度だったのではと推測しています。
2026年度はどうなるでしょうか。
- 合格体験談
- X(Twitter)やYouTubeでの発信
これらを考えると、AI学習者は1000人を超えるのはほぼ確実です。
ここで注目すべき数字があります。
今年の二次試験合格者は1241人 でした。
つまり来年度は、
「AIを使って学習している受験生の数」が、今年の合格者数を上回る
という状況が現実的に起こり得ます。
さらに重要なのは、
AIを使う受験生が増えるだけでなく、AI自体も進化し続けるという点です。
添削は年々精緻になり、
- 論理の飛躍
- 因果関係の弱さ
- 読み辛い答案
といった点は、より厳密に、より容赦なく指摘されるようになります。
その結果、
- 事例Ⅰ~Ⅲで「60点に届かせる」ための要求水準が引き上がる
- 以前なら評価されていた答案が、合格ラインに届かなくなる
といった状況が現実のものになります。
つまり、
事例Ⅰ~Ⅲは「大きく失点しないこと」は重要でも、「差をつける場所」ではなくなっていく
ということです。
だからこそ、
点差が最も出やすく、努力が素直に得点へ反映される「事例Ⅳ」こそが勝敗を分ける決定打になります。
これが、AI時代の二次試験における構造変化だと考えています。
おすすめの具体的対策:簿記1級問題集
私の結論はシンプルです。
簿記1級の問題集|TAC よくわかる簿記シリーズ 合格トレーニング 日商簿記1級工業簿記・原価計算III をやってください。
注意
工業簿記・原価計算の合格トレーニングはⅠ・Ⅱ・Ⅲの3冊構成です。
事例Ⅳ対策としておすすめしているのは「Ⅲ」 です。
「工業簿記・原価計算Ⅲ」 を選んでいるか、購入前に必ず確認してください。
おすすめの進め方は、
第11章 → 第5章 → 第6章
の順番です。
令和に入ってから事例Ⅳの難易度は明らかに上がっています。
令和5年には、NPV計算に「運転資本の増減」が登場しました。
これは、
- 過去の事例Ⅳにはほぼ見られなかった
- 明らかに簿記1級レベルを参照している
と感じています。
勝ちに行くための学習戦略
今年残念だった方への提案です。
- 一次試験から再スタートの方
→ 3月末まで、事例Ⅳに集中 - 一次試験免除の方
→ 7月末まで、事例Ⅳに集中
やることは一つ。
毎日3時間、事例Ⅳ
一次試験組は、
- 一次試験~二次試験まで約80日
今(2026年1月20日)から3月末まで続ければ、
- 70日 × 3時間 = 210時間
新参者は物理的に追いつけません。
目標点と最終戦略
事例Ⅰ~Ⅲについては、
オススメ教材で紹介している
AASの解法テキストの手順どおりに解き、
AI添削を併用すれば十分だと考えています。
具体的には、
- 1日1事例ペース
- 30日で30事例、多くても60事例程度
- AI添削で指摘された内容は、反省点・改善点として手書きでノートに書く
この3点をセットで回してください。
特に、AIの指摘を手書きで書き直すことが重要です。
「なぜ減点されたのか」「次はどう書くか」を文字にして残すことで、
同じミスを繰り返しにくくなります。
これくらい取り組めば、事例Ⅰ~Ⅲは60~65点程度で安定してくるでしょう。
過去問については、まずは令和の事例を周回することを優先してください。
出題傾向や設問構成が現在の試験に最も近いためです。
平成の過去問は、時間に余裕がある場合に補助的に使う程度で十分です。
一方で、合否を分けるのは事例Ⅳです。
そのため、学習時間の配分は
- 80%:事例Ⅳ対策
- 20%:事例Ⅰ~Ⅲ
くらいがちょうど良いと考えています。
事例Ⅰ~Ⅲは「落とさない水準」を固め、
事例Ⅳで80点超を狙いにいく。
この戦略で、現実的に勝ちに行くのがベストだと思います。
最後に
まだ1月です。
「ぼちぼちやればいいや」と思ってしまいがちな時期です。
しかし、今こそ差をつける最大のチャンスです。
桜が咲く季節になるまで、全力で走ってください。
今の苦しさは、来年の笑顔に必ずつながります。
心を燃やして、頑張ってください。