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中小企業診断士二次試験 事例Ⅳ対策
この記事の要約
- 最大の得点差要因: 事例Ⅳの出来不出来が、そのまま合否に直結する。
- 高負荷トレーニング: 本番より難しい「簿記1級レベル」で鍛えることで、本番が相対的に易しくなる。
- 選択と集中: 事例Ⅰ〜Ⅲの対策は最低限に留め、リソースの大部分を事例Ⅳへ投入する。
- 先行投資: 試験後の11月〜12月に「簿記2級」を固めることが、翌年の強力な基盤になる。
事例Ⅳは「本番より難しい問題」で鍛える
この記事は、二次試験の事例Ⅳ(財務・会計)に特化した勉強法です。 事例Ⅰ〜Ⅲ(記述式)の勉強法については、以下の記事を参照してください。
結論は非常にシンプルです。
事例Ⅳは、本試験より難しい問題を大量に解きましょう。
なぜ事例Ⅳが最重要なのか
不合格者向け試験対策で記載しましたが合格者と不合格者の平均点で最も離れているのは事例Ⅳです。
X(旧Twitter)上のデータを集計した 中小企業診断士・サンさんの記事によると、 合格者と不合格者の平均点差は以下の通りでした。
- 事例Ⅰ:7.3点
- 事例Ⅱ:6.7点
- 事例Ⅲ:3.9点
- 事例Ⅳ:18.7点
事例Ⅳは計算問題が中心です。 そのため、記述問題のような得点調整がしにくく、「できる人とできない人の差」がそのまま点数に表れます。
試験委員が「財務に強い診断士」を求めている、という仮説も十分に成り立つでしょう。
時間制約があるからこそ、超難問は出せない
事例Ⅳは、毎年ほぼ以下の4構成で出題されます。
- 第1問:経営分析
- 第2問:CVP分析
- 第3問:NPV(投資意思決定)
- 第4問:記述
CVPやNPVは、簿記1級のように会計に特化した試験で標準的に扱われる分野です。 実際、簿記1級は試験時間が3時間あり、その中でCVPやNPVを含む重い計算問題が出題されます。
一方で、事例Ⅳは80分という限られた時間の中で、中小企業診断士として必要な財務・会計の理解を確認する試験です。
事例Ⅳでは、次のような時間配分で解くことが前提になります。
- 経営分析:20分
- CVP:20分
- NPV:30分
- 記述:10分
この時間制約のもとでは、 簿記1級のように条件が多く、計算量の重い問題を出すことは物理的に不可能です。
実際、簿記1級の問題集では初回に1時間以上かかる問題も珍しくありませんが、 同等の複雑さの問題を事例Ⅳで出す余地はありません。
だからこそ、
簿記1級レベルの問題に慣れていれば、事例Ⅳでそれ以上に難しい問題に出くわすことは、ほとんどありません。
事例Ⅳは簡単な試験ではありません。 しかし、会計に特化した試験と比べて、求められる処理量と深さが制限された試験です。
この前提を理解しているかどうかが、 事例Ⅳで安定して得点できるかどうかを分けます。
おすすめ教材(事例Ⅳ対策の軸)
私が事例Ⅳ対策として最もおすすめしているのが、以下の問題集です。
簿記1級の問題集|TAC よくわかる簿記シリーズ 合格トレーニング 日商簿記1級工業簿記・原価計算III です。
第11章 → 第5章 → 第6章
の順で周回してください。
注意
工業簿記・原価計算の合格トレーニングはⅠ・Ⅱ・Ⅲの3冊構成です。
事例Ⅳ対策としておすすめしているのは「Ⅲ」 です。
「工業簿記・原価計算Ⅲ」 を選んでいるか、購入前に必ず確認してください。
勉強の資源配分がすべて
一次試験合格後の現実
一次試験から二次試験までは 約12週間(84日) しかありません。 正直、全科目を満遍なくやる余裕はありません。
だからこそ、
- 60日以上は事例Ⅳに割く
- 事例Ⅰ〜Ⅲは最低限で割り切る
この判断が重要です。
事例Ⅳで18.7点の差がつくという事実は、 「やった量の差」がそのまま結果に表れている証拠です。
事例Ⅰ〜Ⅲは最低限でいい
事例Ⅰ〜Ⅲは、55〜65点を狙えれば十分です。
以下の記事の手順通りに進め、
- 令和以降の過去問のみ
- 30事例(過去5年×2周)
これを21日で終わらせることを目標にしてください。
かなりハイペースですが、 事例Ⅳに集中する時間を確保するための割り切りです。
事例Ⅳの具体的な進め方
簿記1級問題集
- 第11章(NPV)
- 第5・6章(CVP)
- 2周(1周30日以内)
事例Ⅳの過去問
- 約20事例
経営分析と記述については、 同友館の過去問題集を使うのがおすすめです。
事例ⅣはMMCが担当しているため、 MMC流の経営分析・記述フォーマットに慣れておくと、本番でCVP・NPVに回せる時間が増えます。
11〜12月は簿記2級をやる
二次試験が終わった直後に、簿記2級に取り組んでください。
「試験が終わったのに、まだ勉強するの?」 そう思う気持ちは分かります。
しかし、近年の二次試験は完全に事例Ⅳゲーです。
8月から対策を始める初学者に物理的に追いつけない差をつけるには、この時期の先行投資が不可欠です。
なぜ簿記2級なのか
理由はシンプルです。
- 一次試験(財務・会計)
- 二次試験(事例Ⅳ)
- 合格後の実務補習
- 独立・副業での経営支援
すべてに使える汎用スキルだからです。
NPVこそ出ませんが、 会計の基礎体力を徹底的に鍛えられます。
正直な話、 簿記2級レベルの知識すらない状態で経営の話をするのは危険です。
経営に関わる以上、 決算書を読めないのはスタートラインにすら立っていません。
簿記2級は70点以上で合格ですがなるべく高い点数での合格を目指してください。
簿記2級オススメ教材
パブロフ簿記2級商業簿記
隙間時間に使えるスマホアプリです。
仕訳問題が300問以上収録されており、仕訳力を鍛えるのに最適です。
合格するための本試験問題集 日商簿記2級
実際の簿記2級と同じ形式の問題が12回分収録されています。
まずはこの問題集を完璧に仕上げることが最優先です。
日商簿記2級 まるっと完全予想問題集
予想問題が12回分収録されています。 本試験問題集よりやや難易度高めなので、仕上げ用として使います。
勉強の進め方(11〜12月)
- 通勤・通学の隙間時間 → スマホアプリで仕訳力の底上げ
- 毎日90分 → 試験1回分を解く
- 解いたら必ず振り返り → 間違えた論点・パターンを潰す
これを約60日間、毎日継続してください。
合格の秘訣は、問題集にも書いてある通り 「問題を繰り返し解き、出題パターンに慣れること」 です。 私自身も、その通りだと思います。
クリスマスプレゼントは、 簿記2級の合格証書にしましょう。
この時期に積み上げた会計の基礎体力が、 翌年の事例Ⅳで確実に効いてきます。
合格発表後の動き方
1月中旬に二次試験の合格発表があります。
合格された方は、実務補習に進み、診断士登録を目指してください。 簿記2級の知識は、この段階でも確実に役に立ちます。
一方、不合格だった場合でも、やることは明確です。
- 一次試験免除あり → 3月末まで
- 一次試験免除なし → 7月末まで
引き続き、簿記1級の問題集に取り組んでください。
時間的な余裕が出てきた場合は、以下の問題集も有効です。
いずれも、近年の事例Ⅳ偏重を前提に設計された問題集です。
事例Ⅳにすべてを賭けろ
近年はAIの進化により、AI添削を活用すれば事例Ⅰ〜Ⅲの記述式は、誰でも一定水準以上の答案を書ける時代になりました。 この流れは今後さらに加速し、事例Ⅰ〜Ⅲで点差がつく余地はますます小さくなっていくでしょう。
将来的に試験制度が見直され、事例Ⅳ偏重が是正される可能性はあります。 しかし、少なくとも現在の二次試験において、勝ち筋は極めて明確です。
事例Ⅳにすべてを賭ける。
これが、今の二次試験における事実上の「銀の弾丸」です。
可処分時間、思考力、集中力。 使えるリソースはすべて事例Ⅳに捧げるつもりで、戦ってください。
それが、合格に最も近い選択です。
