平成 27 年度(2015 年度) 事例 Ⅲ
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# 平成 27 年度(2015 年度) 事例 Ⅲ
## 与件文
### 【C 社の概要】
C 社は、建設資材を主体に農業機械部品や産業機械部品などの鋳物製品を生産・販売している。建設資材の大部分は下水道や、埋設された電気・通信ケーブル用のマンホールの蓋である。農業機械部品はトラクターの駆動関連部品、産業機械部品はブルドーザーやフォークリフト、工作機械の構造関連部品などである。取引先は、マンホール蓋については土木建設企業、農業機械部品や産業機械部品については各部品メーカーである。
C 社はマンホール蓋などの鋳物工場として 1954 年に創業した。会社組織は営業部、設計部、製造部、総務部からなっている。現在の従業員数は 50 名、一般に 3K 職場といわれる作業環境が影響して若手人材確保が難しく、高齢化が進んでいる。年商は約 10 億円である。
公共事業予算の縮小や海外製品との競争激化などの影響を受け、マンホール蓋の受注量が減少し、売上高が低迷した時期があった。その対応として C 社では、中小鋳物工場が減少するなか、積極的に鋳造工程の生産能力の増強を進めるとともに、機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立することで、農業機械部品と産業機械部品の受注獲得に成功した。その際、鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名を社内から選抜して営業部をつくり、新市場の開拓を行わせたことも大きな力となった。
現在の売上構成比は、建設資材 55%、農業機械部品 30%、産業機械部品 15%となっている。農業機械部品と産業機械部品の受注量は増加傾向にあるが、これらの部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。
さらに現在、自動車部品 2 次下請企業でもある産業機械部品の取引先から、C 社としては新規受注となる自動車部品の生産依頼があり、その獲得に向けて検討を進めている。
### 【C 社の生産概要】
工程は図 1 に示すように鋳造工程、後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程の 5 工程である。
#### 図 1 C 社の生産工程
C 社の生産工程
1. **鋳造工程**
- 造型:枠の中に木型を置き、砂を詰めて鋳型をつくる。
- 溶解:電気炉で金属を溶かす。
- 注湯:鋳型に溶かした金属を注入する。
2. **後処理工程**
- 型ばらし:冷却後、鋳型から製品を取り出す。
- 鋳仕上げ:製品についている砂を落とし、不必要な突起などを除去する。
3. **機械加工工程**
- 要求仕様に応じて機械加工を行う。
4. **塗装工程**
- 製品表面に塗装を施す。
5. **検査発送工程**
- 検査:製品の検査を行う。
- 発送:検査済み製品を発送する。
主要製品のマンホール蓋は、地方公共団体や通信会社などの事業主体ごとに仕様が異なるため品種が多く、さらにこれら事業主体の予算確定後、C 社に発注が行われるため受注量の季節変動が大きい。このため、営業部で得ている顧客情報の予想を基に需要の多い規格品などについてはあらかじめ見込生産し、受注が確定すると在庫品から納品する。一方、農業機械部品や産業機械部品は取引先からの受注が確定した製品を生産している。
生産計画は、鋳造工程の計画のみが立案される。その立案方法は、まず受注内容が確定した製品について納期を基準に計画し、さらに余力部分にマンホール蓋などの見込生産品を加えて作成する。鋳造工程以降の後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程は、前工程から運搬されてきた仕掛品の品種、数量を確認した上で、段取り回数が最小になるようそれぞれの工程担当者が加工順を決めている。1 日 4 回(4 ロット)の鋳造作業が行われているが、農業機械部品や産業機械部品の納期遅延が生じている。その対策の 1 つとして C 社では、受注処理、生産計画、生産統制、在庫管理などを統合した IT 化の検討を進めている。
新規受注の問い合わせがあった場合は、営業部が顧客と技術的な打ち合わせを行い、顧客の要望を把握し、その内容を設計部に伝え図面等仕様書を作成する。その仕様書が顧客と合意されると、製造部に引き渡して生産準備し、生産計画に織り込んで、資材調達の後製造される。
### 【改善チームによる調査結果】
C 社では現在、自動車部品の新規受注を目指して、製造部内に改善チームをつくり、生産能力向上を目的とした改善活動を実施している。
それによると、製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。またこの仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。
C 社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。しかし、改善チームが行ったマンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図 2 に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。この結果は他製品の工程分析でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。
そこで改善チームは、機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図 3 に示す結果を得た。稼働率は 48%と低く、非稼働として停止 37%、空転 15%となっている。停止は、刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。また空転は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。
#### 図 2 主力マンホール蓋 1 ロット当たりの工程別加工時間(分)
| 工程名 | 加工時間(分) |
| ------------ | -------------- |
| 鋳造工程 | 90 |
| 後処理工程 | 75 |
| 機械加工工程 | 130 |
| 塗装工程 | 80 |
| 検査発送工程 | 60 |
#### 図 3 機械加工工程設備稼働状況
| 稼働状態 | 割合 (%) |
| -------- | -------- |
| 稼働 | 48 |
| 空転 | 15 |
| 停止 | 37 |
## 設問文
### 第 1 問(配点 40 点)
C 社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。
#### 設問 1
C 社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を 2 つあげ、それぞれ 40 字以内で述べよ。
##### 強み 1
##### 強み 2
#### 設問 2
自動車部品の受注獲得は、C 社にとってどのようなメリットがあるのか 100 字以内で述べよ。
#### 設問 3
自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。
### 第 2 問(配点 20 点)
C 社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を 100 字以内で述べよ。
### 第 3 問(配点 20 点)
C 社は、納期遅延の解消を目的に生産管理の IT 化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120 字以内で述べよ。
### 第 4 問(配点 20 点)
海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後も C 社は国内生産を維持する考えである。そのために C 社が強化すべき点は何か、その理由とともに 140 字以内で述べよ。
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 40 点)
C 社が自動車部品生産への新規参入を検討する際に考慮すべき強みを分析する能力を問う。
### 第 2 問(配点 20 点)
鋳造工程における設備投資によって生じている生産工程の課題を把握し、解決策を提案する能力を問う。
### 第 3 問(配点 20 点)
納期遅延の解消を目的とした生産管理の IT 化に関する課題を把握し、納期管理の方法を提案する能力を問う。
### 第 4 問(配点 20 点)
国内生産を維持するために必要な戦略と強化策について助言する能力を問う。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 40 点)
##### 強み 1
##### 強み 2
### 第 2 問(配点 20 点)
### 第 3 問(配点 20 点)
### 第 4 問(配点 20 点)
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。