平成 28 年度(2016 年度) 事例 Ⅲ
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# 平成 28 年度(2016 年度) 事例 Ⅲ
## 与件文
### C 社の概要
C 社は、調理用のカット野菜を生産、販売している。C 社は、2013 年に野菜を栽培する X 農業法人から分離し、設立された企業である。販売先は総菜メーカーや冷凍食品メーカーが中心で、主に量産される総菜などの原材料となるカット野菜を受注生産し、年商は約 2 億円である。
カット野菜とは、皮むき、切断、スライス、整形など生野菜を料理素材として下処理した加工製品である。外食産業や総菜メーカーなど向けの千切り、角切りなどに加工された製品が需要の中心で、最近ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されている袋に入ったサラダやカップサラダにも広がっている。国内の野菜需要全体に占めるカット野菜需要の割合は年々増加している。
カット野菜は、販売先の意向を受けて、野菜の流通を担っている卸売業者や仲卸業者が、野菜の販売方法の一つとして始めたと言われている。またカット野菜は、販売先から要望される通年納品に応えるため、常に一定量の野菜を確保する必要がある。そのため同業者の多くが野菜の調達能力が高い卸売業者や仲卸業者である。
X 農業法人では、市場に出荷できない規格外野菜の有効活用を目的として 2000 年からカット野菜の加工を始めたが、その後受注量が増加したため、仕入単価の高い市場規格品の使用や他産地からの仕入れも必要となり、原材料費率が大きく増加した。そこで事業収支を明確にし、収益性の向上に努めて加工事業として確立するために分離し、X 農業法人の 100%出資子会社として C 社が設立された。
C 社の設立当時作成された社内コスト管理資料(次ページ表 1)では、予想されていた以上の原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナスとなっていることが判明し、この傾向は今でも改善されていない。これは、X 農業法人から独立し改善に向けて努力しているものの、いまだに効果的な生産管理が組織的に行われていないことによる。
工場操業状況は、規格外野菜を主に原料として利用していた時には収穫時期から約半年間の季節操業となっていたが、市場規格品の使用や他産地からの仕入れによって工場操業期間は長くなったものの、C 社に受け継がれた後でもまだ約 3 カ月の休業期間が例年生じている。販売先からは通年取引の要望がある。
C 社の組織は、X 農業法人時代の加工部門責任者が社長となり、製造 3 グループと総務グループで構成されている。社長は、全体の経営管理の他に営業活動も担っている。各製造グループには責任者として正社員の製造リーダー 1 名が配置され、合計 25 名のパート社員が 3 つの製造グループに配置されている。X 農業法人時代から同じ製造グループに勤めているパート社員が多く、他の製造グループへの移動はない。総務グループは、正社員 1 名とパート社員 2 名で構成されている。
現在取引関係にある顧客や関連する業界から、C 社と X 農業法人との関係に注目した新たな取引の要望がある。その中で C 社社長が有望と考えている二つの新事業がある。一つは、カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業であり、設備投資を必要とする事業である。もう一つは、新鮮さを売りものにしている中小地場スーパーマーケットなどから要望がある一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業であり、現在の製造工程を利用できる事業である。
C 社社長は、まず現状の生産管理を見直し、早急に収益改善を図ることを第 1 の目標としているが、それが達成された後には新事業に着手してさらなる収益拡大を目指すことを考えている。
### 表 1 C 社作成の社内コスト管理資料
| 項目 | 構成比 (%) |
| ------------ | ---------- |
| 売上高 | 100.0 |
| **変動費** | |
| 原材料費 | 66.8 |
| 労務費 | 28.1 |
| 荷造運賃 | 9.0 |
| 水道光熱費 | 5.4 |
| その他変動費 | 2.1 |
| **変動費計** | 111.4 |
| **限界利益** | ▲11.4 |
| **固定費** | |
| 人件費 | 5.8 |
| 修繕費 | 2.4 |
| 減価償却費 | 5.1 |
| その他固定費 | 2.8 |
| **固定費計** | 16.1 |
| **営業利益** | ▲27.5 |
### 表 2 C 社の年間クレーム件数
| クレーム項目 | 件数 | 構成比 (%) |
| ---------------- | ---- | ---------- |
| カット形状不均一 | 54 | 50.5 |
| 鮮度劣化 | 21 | 19.6 |
| 異物混入 | 11 | 10.3 |
| 色合い不均一 | 8 | 7.5 |
| 異臭 | 4 | 3.7 |
| その他 | 9 | 8.4 |
| **計** | 107 | 100.0 |
### 生産概要
C 社のカット野菜製造工程は、顧客別に編成・グループ化され、現在 3 つの製造グループで製造を行っている。各製造グループでは主に素材選別、皮むき、カット、洗浄、計量・パック・検査、出荷の各工程を持っている。各製造グループは、生産高を日常の管理項目として管理してきた。
顧客からの注文は、各製造グループに直接入り、各製造グループで各々生産計画を立て、原材料調達から出荷まで行っている。製造グループごとの生産管理によって、同種類の原材料調達における単価の差異、加工ロスによる歩留りの低下、出荷のための輸送費用のロス、製造グループ間での作業員の移動の制限などがみられる。
製造部門の大きな問題は品質不良であり、前ページの表 2 に示すような製品クレームが発生している。その原因を製造 3 グループ全員でブレーンストーミングし、作成した特性要因図が図 1 である。また食品工場としての施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理、どちらの管理レベルにも課題があり、販売先からの改善要求もある。
### 図 1 C 社作成の加工不良に関する特性要因図
```yaml
特性要因図:
主因: 加工不良が多い
要因:
- 施設・機械:
- 日常点検不十分:
- メンテナンス技術がない
- フードスライサーの刃が切れない
- 刃物交換・研磨のルールがない
- チョコ停する
- 温度管理設備がない
- 加工場の温度管理ができない
- 人:
- 経験不足:
- 教育不足
- 衛生管理意識が低い
- 品質意識が低い
- 注意不足:
- 作業ミス
- 意識不足
- 勘違い
- 加工スキル不足:
- 製造チームによる加工スキルの差がある
- 原材料:
- 規格外の使用:
- 曲がりがある
- 形状不揃い
- 偏心がある
- 水切りの不備
- 洗浄後の水分が残っている
- 大きさにバラツキがある
- 作業方法:
- 鮮度の劣化:
- 長時間の加工場内製品放置
- 仕掛品が多い
- 異物混入
- 衛生管理ルールがない
- 人によって作業方法が違う
- 標準作業の不備
- 製造チームごとの加工
- 製造チーム間移動アンバランス
- 製造チーム間の作業員移動がない
```
## 設問文
### 第 1 問(配点 20 点)
カット野菜業界における C 社の(a)強みと(b)弱みを、それぞれ 40 字以内で述べよ。
#### (a)強み
#### (b)弱み
### 第 2 問(配点 30 点)
現在 C 社が抱えている最大の経営課題は、収益改善を早急に図ることである。生産管理面での対応策を 160 字以内で述べよ。
### 第 3 問(配点 20 点)
C 社では、クレームを削減する改善活動を計画している。このクレーム改善活動を最も効果的に実施するために、着目するクレーム内容、それを解決するための具体的対応策を 120 字以内で述べよ。
### 第 4 問(配点 30 点)
C 社社長は、経営体質の強化を目指し、今後カット野菜の新事業による収益拡大を狙っている。またその内容は、顧客からの新たな取引の要望、および C 社の生産管理レベルや経営資源などを勘案して計画しようとしている。この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、その理由、その事業を成功に導くために必要な社内対応策とともに 160 字以内で述べよ。
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 20 点)
X 農業法人時代の事業経過、および C 社の現在の事業内容を把握し、カット野菜業界における C 社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 30 点)
C 社が収益改善を図るために必要な生産管理面での対応策を提案する能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 20 点)
C 社の生産現場の課題を把握し、クレームを削減する改善活動を最も効果的に実施する方法として、着目するクレーム内容とその解決策を提案する能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 30 点)
C 社の顧客動向など外部環境を把握し、今後野菜の加工事業を強化して収益拡大を図るために必要な戦略について、助言する能力を問う問題である。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 20 点)
#### (a)強み
#### (b)弱み
### 第 2 問(配点 30 点)
### 第 3 問(配点 20 点)
### 第 4 問(配点 30 点)
## AI への指示
以下の情報に基づいて、フィードバックをお願いします。
この試験問題は成績上位 10%しか合格できないのでかなり厳しく指摘して欲しいです。
1. **模範解答**
各設問に対して与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に基づき模範解答してください。
2. **フィードバック**
回答が与件文、設問文、出題の趣旨、経営学の知識に沿っているかどうか指摘してください。
与件文の単語や経営学の知識を列挙しただけで因果関係が成立していない場合や抽象的な回答があった場合は指摘してください。
3. **改善点**
どのように回答を改善すればよいか、具体的な提案をしてください。