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平成 27 年度(2015 年度) 事例 Ⅲ

与件文

【C 社の概要】

C 社は、建設資材を主体に農業機械部品や産業機械部品などの鋳物製品を生産・販売している。建設資材の大部分は下水道や、埋設された電気・通信ケーブル用のマンホールの蓋である。農業機械部品はトラクターの駆動関連部品、産業機械部品はブルドーザーやフォークリフト、工作機械の構造関連部品などである。取引先は、マンホール蓋については土木建設企業、農業機械部品や産業機械部品については各部品メーカーである。

C 社はマンホール蓋などの鋳物工場として 1954 年に創業した。会社組織は営業部、設計部、製造部、総務部からなっている。現在の従業員数は 50 名、一般に 3K 職場といわれる作業環境が影響して若手人材確保が難しく、高齢化が進んでいる。年商は約 10 億円である。

公共事業予算の縮小や海外製品との競争激化などの影響を受け、マンホール蓋の受注量が減少し、売上高が低迷した時期があった。その対応として C 社では、中小鋳物工場が減少するなか、積極的に鋳造工程の生産能力の増強を進めるとともに、機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立することで、農業機械部品と産業機械部品の受注獲得に成功した。その際、鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名を社内から選抜して営業部をつくり、新市場の開拓を行わせたことも大きな力となった。

現在の売上構成比は、建設資材 55%、農業機械部品 30%、産業機械部品 15%となっている。農業機械部品と産業機械部品の受注量は増加傾向にあるが、これらの部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。

さらに現在、自動車部品 2 次下請企業でもある産業機械部品の取引先から、C 社としては新規受注となる自動車部品の生産依頼があり、その獲得に向けて検討を進めている。

【C 社の生産概要】

工程は図 1 に示すように鋳造工程、後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程の 5 工程である。

図 1 C 社の生産工程

C 社の生産工程

  1. 鋳造工程

    • 造型:枠の中に木型を置き、砂を詰めて鋳型をつくる。
    • 溶解:電気炉で金属を溶かす。
    • 注湯:鋳型に溶かした金属を注入する。
  2. 後処理工程

    • 型ばらし:冷却後、鋳型から製品を取り出す。
    • 鋳仕上げ:製品についている砂を落とし、不必要な突起などを除去する。
  3. 機械加工工程

    • 要求仕様に応じて機械加工を行う。
  4. 塗装工程

    • 製品表面に塗装を施す。
  5. 検査発送工程

    • 検査:製品の検査を行う。
    • 発送:検査済み製品を発送する。

主要製品のマンホール蓋は、地方公共団体や通信会社などの事業主体ごとに仕様が異なるため品種が多く、さらにこれら事業主体の予算確定後、C 社に発注が行われるため受注量の季節変動が大きい。このため、営業部で得ている顧客情報の予想を基に需要の多い規格品などについてはあらかじめ見込生産し、受注が確定すると在庫品から納品する。一方、農業機械部品や産業機械部品は取引先からの受注が確定した製品を生産している。

生産計画は、鋳造工程の計画のみが立案される。その立案方法は、まず受注内容が確定した製品について納期を基準に計画し、さらに余力部分にマンホール蓋などの見込生産品を加えて作成する。鋳造工程以降の後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程は、前工程から運搬されてきた仕掛品の品種、数量を確認した上で、段取り回数が最小になるようそれぞれの工程担当者が加工順を決めている。1 日 4 回(4 ロット)の鋳造作業が行われているが、農業機械部品や産業機械部品の納期遅延が生じている。その対策の 1 つとして C 社では、受注処理、生産計画、生産統制、在庫管理などを統合した IT 化の検討を進めている。

新規受注の問い合わせがあった場合は、営業部が顧客と技術的な打ち合わせを行い、顧客の要望を把握し、その内容を設計部に伝え図面等仕様書を作成する。その仕様書が顧客と合意されると、製造部に引き渡して生産準備し、生産計画に織り込んで、資材調達の後製造される。

【改善チームによる調査結果】

C 社では現在、自動車部品の新規受注を目指して、製造部内に改善チームをつくり、生産能力向上を目的とした改善活動を実施している。
それによると、製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。またこの仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。

C 社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。しかし、改善チームが行ったマンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図 2 に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。この結果は他製品の工程分析でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。

そこで改善チームは、機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図 3 に示す結果を得た。稼働率は 48%と低く、非稼働として停止 37%、空転 15%となっている。停止は、刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。また空転は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。

図 2 主力マンホール蓋 1 ロット当たりの工程別加工時間(分)

工程名加工時間(分)
鋳造工程90
後処理工程75
機械加工工程130
塗装工程80
検査発送工程60

図 3 機械加工工程設備稼働状況

稼働状態割合 (%)
稼働48
空転15
停止37

設問文

第 1 問(配点 40 点)

C 社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

設問 1

C 社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を 2 つあげ、それぞれ 40 字以内で述べよ。

強み 1
強み 2

設問 2

自動車部品の受注獲得は、C 社にとってどのようなメリットがあるのか 100 字以内で述べよ。

設問 3

自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。

第 2 問(配点 20 点)

C 社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を 100 字以内で述べよ。

第 3 問(配点 20 点)

C 社は、納期遅延の解消を目的に生産管理の IT 化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120 字以内で述べよ。

第 4 問(配点 20 点)

海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後も C 社は国内生産を維持する考えである。そのために C 社が強化すべき点は何か、その理由とともに 140 字以内で述べよ。

出題の趣旨

第 1 問(配点 40 点)

C 社が自動車部品生産への新規参入を検討する際に考慮すべき強みを分析する能力を問う。

第 2 問(配点 20 点)

鋳造工程における設備投資によって生じている生産工程の課題を把握し、解決策を提案する能力を問う。

第 3 問(配点 20 点)

納期遅延の解消を目的とした生産管理の IT 化に関する課題を把握し、納期管理の方法を提案する能力を問う。

第 4 問(配点 20 点)

国内生産を維持するために必要な戦略と強化策について助言する能力を問う。

平成 27 年度(2015 年度)事例 Ⅲ 解答解説

第 1 問(配点 40 点)

設問文

C 社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

設問 1

C 社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を 2 つあげ、それぞれ 40 字以内で述べよ。

回答例

  • 強み 1(40 字):複雑形状や軽量化に対応できる鋳造技術と鋳造から機械加工、塗装までの一貫生産体制。
  • 強み 2(33 字):鋳造技術に精通した中堅エンジニアで構成される営業部の新市場開拓力。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「農業機械部品と産業機械部品の受注量は増加傾向にあるが、これらの部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。」
    • 「鋳造工程の生産能力の増強を進めるとともに、機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立することで、農業機械部品と産業機械部品の受注獲得に成功した。」
    • 「鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名を社内から選抜して営業部をつくり、新市場の開拓を行わせたことも大きな力となった。」
  • 答案作成の根拠 自動車部品業界は、燃費向上のための軽量化や、デザイン性・機能性向上のための複雑形状化といった高度な技術要求が特徴である。与件文から、C 社は既に農業機械・産業機械分野で同様の要求に対応し、鋳造技術を向上させてきた実績がある。これは自動車部品分野でも直接活かせる技術的な強みである。 また、鋳造から後工程である機械加工、塗装までを社内で完結できる一貫生産体制は、品質保証、納期管理、コスト管理の面で優位性があり、厳しい品質・納期を求められる自動車業界において大きな強みとなる。技術営業力も強みであるが、より直接的な生産面の強みとして「鋳造技術」と「一貫生産体制」を抽出した。

  • 使用した経営学の知識

    • コア・コンピタンス: 企業の中核となる強みである。C 社にとって、顧客の高度な要求に応える「鋳造技術」はコア・コンピタンスに該当する。
    • 垂直統合: サプライチェーンの前後の工程を自社内に取り込むことである。C 社が鋳造だけでなく機械加工や塗装工程を内製化したのは後方・前方統合の一例であり、これにより管理の容易化や競争優位性の確保に繋がっている。

設問 2

自動車部品の受注獲得は、C 社にとってどのようなメリットがあるのか 100 字以内で述べよ。

回答例(94 字)

メリットは ① 公共事業に依存する建設資材の比率を下げ、経営の安定化を図れること、② 厳しい品質・納期要求への対応を通じて、鋳造技術や生産管理レベルが向上し、他事業への波及効果も期待できること。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「公共事業予算の縮小や海外製品との競争激化などの影響を受け、マンホール蓋の受注量が減少し、売上高が低迷した時期があった。」
    • 現在の売上構成比は、建設資材 55%、農業機械部品 30%、産業機械部品 15%となっている。
    • 「顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。」
  • 答案作成の根拠 C 社の売上の過半数を占める建設資材は、公共事業予算に左右され経営リスクが高い事業である。自動車部品という新規分野に参入することで、この依存度を下げ、事業ポートフォリオを多角化し、経営の安定化を図るという「守り」のメリットがある。 一方で、自動車業界の厳しい QDC(品質・コスト・納期)要求に対応する過程で、C 社の技術力や生産管理能力は一層鍛えられる。このレベルアップは、既存の農業機械・産業機械部品事業にも好影響を与え、会社全体の競争力を高めるという「攻め」のメリットも期待できる。これら 2 つの側面を盛り込むことで、多角的なメリットを説明できる。

  • 使用した経営学の知識

    • 製品・市場マトリクス(アンゾフの成長マトリクス): C 社の取り組みは、既存の技術(鋳物)を活かして新規市場(自動車部品)に参入する「新市場開拓戦略」に位置づけられる。
    • 事業ポートフォリオマネジメント: 特定事業への過度な依存を避け、複数の事業を組み合わせることでリスクを分散し、企業全体の安定的な成長を目指す考え方である。

設問 3

自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。

回答例(80 字)

5Sの徹底により工場内に散在する仕掛品置き場を整備し、定置管理を行う。これによりフォークリフトや作業者の安全で円滑な動線を確保し、運搬や移動のムダを削減することで製造リードタイムを短縮する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。」
    • 「またこの仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。」
    • 「このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。」
  • 答案作成の根拠 与件文は、製造リードタイム長期化の原因を、過剰な仕掛品によって引き起こされる 2 つの物理的な問題、すなわち ① フォークリフトの走行阻害と、② 作業者の設備間移動の困難さ、であると指摘している。したがって、改善策はこれらの直接的な問題の解消に焦点を当てるべきである。 そのための具体的な手法として、まず5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底する。これにより、不要なものを処分し(整理)、必要なものの置き場所を明確に定める定置管理(整頓)を行うことで、散在する仕掛品置き場を解消する。 その結果、工場内のレイアウトが改善され、フォークリフトが効率的に走行し、作業者が安全かつ迅速に設備間を移動できる動線が確保される。これは運搬や移動に費やされる時間という「ムダ」の排除に繋がり、製造リードタイムの短縮に直結するのである。

  • 使用した経営学の知識

    • 5S: 製造業やサービス業における職場環境の維持改善で用いられるスローガンであり、生産性向上の基礎となる活動である。
    • ムダの排除(トヨタ生産方式): 付加価値を生まない全ての活動を「ムダ」と定義し、徹底的に排除する考え方である。「運搬のムダ」や「動作のムダ」が本件に該当する。
    • 工場レイアウトとマテリアルハンドリング: 製品、仕掛品、作業者の流れを最適化するための工場設計の考え方である。動線の確保はマテリアルハンドリング(マテハン)効率化の基本である。

第 2 問(配点 20 点)

設問文

C 社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を 100 字以内で述べよ。

回答例(95 字)

問題点は、鋳造工程と後工程の能力不均衡により機械加工工程前に仕掛品が滞留し、リードタイムが長期化していること。改善策はボトルネックの機械加工工程能力を増強し、鋳造工程の生産を同期させること。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。」
    • 「機械加工工程がネック工程となっていた。」
    • 「鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり...」
    • 「製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。」
  • 答案作成の根拠 設問は「鋳造工程が優先されてきた」ことによる「問題点」と「改善策」を問うている。 問題点: 与件文から、鋳造工程の能力だけを増強した結果、後工程である機械加工工程との能力差が拡大し、工程間にボトルネックが生じていることがわかる。この能力のアンバランスが、大量の仕掛品滞留、工場内の運搬の非効率化、そして最終的にリードタイム長期化と納期遅延を引き起こしている。 改善策: この問題の解決には、TOC(制約理論)の考え方が有効である。まず、ボトルネックとなっている機械加工工程の能力を向上させること(制約を向上させる)。具体的には設備投資や第 1 問設問 3 で述べた稼働率向上策が考えられる。そして、最も重要なのは、前工程である鋳造工程が、後工程(ボトルネック)の能力を超えて作りすぎないように、生産量をコントロールすること(非制約を制約に従わせる)である。これにより、工場全体の生産の流れが同期化され、仕掛品が適正化される。

  • 使用した経営学の知識

    • TOC(制約理論): 工場全体の生産能力は、ボトルネック工程の能力によって決まるという理論である。TOC では改善の 5 段階ステップ(① 制約の特定、② 制約の徹底活用、③ 非制約の制約への従属、④ 制約の能力向上、⑤ ステップ ① に戻る)が提唱されている。本問の改善策は、この考え方に基づいている。

第 3 問(配点 20 点)

設問文

C 社は、納期遅延の解消を目的に生産管理の IT 化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120 字以内で述べよ。

回答例(109 字)

納期管理は、全工程の負荷と進捗状況をリアルタイムに可視化し、一元管理することである。活用する情報は、受注納期、工程ごとの能力・負荷、仕掛品在庫、作業進捗である。以上によりボトルネックを考慮した生産計画を立案・統制する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「納期遅延が生じている。」
    • 「受注処理、生産計画、生産統制、在庫管理などを統合した IT 化の検討を進めている。」
    • 「生産計画は、鋳造工程の計画のみが立案される。」
  • 答案作成の根拠 現状の納期遅延は、生産情報が工程ごとに分断され、鋳造工程以外は場当たり的な生産になっていることが一因である。IT 化による納期管理では、この情報の分断を解消することが不可欠である。 したがって、まず納期管理のあり方として、受注から発送までの全ての工程を対象に、各工程の負荷状況や作業の進捗状況をリアルタイムで把握し、可視化・一元管理する体制を構築することが求められる。 そのために活用する情報は、最終目標である「受注納期」に加え、計画立案の基礎となる各工程の「能力・負荷」、仕掛品の滞留状況を示す「仕掛品在庫」、そして計画と実績の差異を管理するための「作業進捗」である。 これらの情報を統合的に活用することで、初めて工場全体の生産能力を正確に測ることが可能となる。その上で、ボトルネックとなっている機械加工工程の能力を制約条件とした、精度の高い生産計画を立案し、その進捗を統制していくのである。

  • 使用した経営学の知識

    • 生産管理システム (MES: Manufacturing Execution System): 製造現場の情報をリアルタイムで収集・管理し、生産活動を最適化するシステムである。C 社が目指す IT 化の理想形である。
    • 見える化: IT ツールを活用して、工場の問題点や進捗状況などを誰もが客観的に把握できるようにすることである。
    • TOC(制約理論): ボトルネック工程の能力に合わせて全体の生産計画を同期させるという考え方である。IT 化によって得られた情報を活用し、この理論に基づいた計画立案が可能となる。

第 4 問(配点 20 点)

設問文

海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後も C 社は国内生産を維持する考えである。そのために C 社が強化すべき点は何か、その理由とともに 140 字以内で述べよ。

回答例(122 字)

強化すべき点は、顧客の軽量化・複雑形状化といった高度な要求に対し、VA/VE提案ができる技術開発力と設計提案力である。理由は、海外製品との価格競争を回避し、高付加価値化による差別化で顧客との関係を強化し、国内での高収益な生産体制を維持するため。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「海外製品との競争激化」
    • 「農業機械部品や産業機械部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。」
    • 「鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名を社内から選抜して営業部をつくり、新市場の開拓を行わせた」
    • 「営業部が顧客と技術的な打ち合わせを行い、顧客の要望を把握し、その内容を設計部に伝え図面等仕様書を作成する。」
  • 答案作成の根拠 「海外製品との競争が厳しい」中で国内生産を維持するには、価格競争に巻き込まれないための戦略が不可欠である。そのためには、安価な海外製品には真似のできない「付加価値」を提供する必要がある。 C 社の強みは、顧客の高度な要求(軽量化、複雑形状化)に応える「鋳造技術」と、それを顧客に提案する「技術営業力」にある。この強みをさらに伸ばし、単に要求されたものを作るだけでなく、顧客の製品開発段階から関与して、より低コストで高性能な製品形状を提案する「VA/VE 提案(価値分析/価値工学)」ができるレベルまで昇華させることが、強化すべき方向性である。 その理由は、このような提案力を持つことで、海外製品との明確な差別化を図り、価格競争から脱却できるからである。顧客にとって不可欠なパートナーとなることで、安定した受注と高い収益性を確保し、国内生産を維持することが可能になる。

  • 使用した経営学の知識

    • 競争戦略(差別化戦略): 競合他社に対して、製品やサービスの独自性を打ち出すことで競争優位を築く戦略である。技術力や提案力を核とした高付加価値化は、差別化戦略の典型である。
    • VA (Value Analysis) / VE (Value Engineering): 製品やサービスの「価値」を「機能」と「コスト」の関係で捉え、最低のコストで必要な機能を実現するための体系的な手法である。これを顧客に提案できれば、強力な競争力となる。
    • ソリューション営業: 単にモノを売るのではなく、顧客の課題を解決するための方法(ソリューション)を提供する営業スタイルである。C 社の技術営業は、この方向性をさらに強化すべきである。

AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

評価の基本方針

  • 模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。
  • あなたの解答の評価は、第一に与件文の記述と設問要求に忠実であるか、第二に中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているかを最優先の基準とします。
  • 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その独自の価値を積極的に評価してください。
  • 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という視点を提供するものとして活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点で私の解答を添削してください。加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイントをバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記のABCDEF 評価基準に沿って行ってください。


ABCDEF 評価基準

  • A 評価 (完璧 / 80 点以上): 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
  • B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点): 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
  • C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点): 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
  • D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点): 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
  • E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点): 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
  • F 評価 (不合格レベル / 49 点以下): 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。


出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で ABCDEF 評価基準の定義を説明します。

1. 設問ごとの添削

模範解答(比較参考用)

回答例と解説の回答例を出力してください。

あなたの回答

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

  • 評価: この設問の評価を A / B / C / D / E / F で端的に示してください。

  • フィードバック:

  • ① 設問解釈と方向性: 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。

  • ② 与件文の活用: 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。

  • ③ 知識と論理構成: 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。

  • ④ 具体性と表現: 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。

  • **改善提案:どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

2. 総評

  • 総合評価: 全ての設問を考慮した最終評価を A / B / C / D / E / F で示してください。
  • 全体を通しての強み: 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
  • 全体を通しての課題: 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
  • 合格に向けたアドバイス: 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

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