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令和 2 年度(2020 年度)事例 Ⅱ

与件文

【注意事項】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とその影響は考慮する必要はない。
B 社は、資本金 450 万円、社長をはじめ従業者 10 名(パート・アルバイト含む)の農業生産法人(現・農地所有適格法人)である。ハーブの無農薬栽培、ハーブ乾燥粉末の一次加工・出荷を行っている。
B 社は、本州から海を隔てた X 島にある。島は車で 2 時間もあれば一周できる広さで、島内各所には海と空、緑が鮮やかな絶景スポットがある。比較的温暖な気候で、マリンスポーツや釣りが 1 年の長い期間楽しめ、夜は満天の星空が広がる。島の主力産業は、農業と観光業である。ただし島では、若年層の人口流出や雇用機会不足、人口の高齢化による耕作放棄地の問題、農家所得の減少などが深刻化し、地域の活力が低下して久しい。
B 社の設立は 10 年ほど前にさかのぼる。この島で生まれ育ち、代々農業を営む一家に生まれた B 社社長が、こうした島の窮状を打開したいと考えたことがきっかけである。B 社設立までの経緯は以下のとおりである。
社長は、セリ科のハーブ Y(以下「ハーブ」と称する)に目を付けた。このハーブはもともと島に自生していた植物で、全国的な知名度はないが、島内では古くから健康・長寿の効能があると言い伝えられてきた。現在でも祝いの膳や島のイベント時に必ず食べる風習が残り、とくに高齢者は普段からおひたしや酢みそあえにして食べる。社長はこのハーブの本格的な栽培に取り組み、島の新たな産業として発展させようと考えた。
まず社長が取り組んだのは、ハーブの栽培手法の確立であった。このハーブは自生植物であるため、栽培ノウハウは存在しなかった。しかし、社長は農業試験場の支援を得て実験を繰り返し、無農薬で高品質のハーブが同じ耕作地で年に 4〜5 回収穫できる効率的な栽培方法を開発した。一面に広がるハーブ畑は、生命力あふれる緑の葉が海から吹く風に揺れ、青い空と美しいコントラストを生み出している。
一般的にハーブの用途は広く、お茶や調味料、健康食品などのほか、アロマオイルや香水などの原材料にもなる。社長は次に、このハーブを乾麺や焼き菓子に練りこんだ試作品を OEM 企業に生産委託し、大都市で開催される離島フェアなどに出展して販売を行った。しかし、その売上げは芳しくなかった。社長は、このハーブと島の知名度が大消費地では著しく低いことを痛感し、ハーブを使った自社による製品開発をいったん諦めた。社長はハーブの販売先を求めて、試行錯誤を続けた。
B 社設立の直接的な契機となったのは、社長が大手製薬メーカー Z 社と出合ったことである。消費者の健康志向を背景にますます拡大基調にあるヘルスケア市場では、メーカー間の競争も激しい。Z 社は当時、希少性と効能を兼ね備えた差別的要素の強いヘルスケア製品の開発可能性を探っており、美しい島で栽培された伝統あるハーブが有するアンチエイジングの効能と社長の高品質かつ安全性を追求する姿勢、島への思い入れを高く評価した。社長も Z 社もすぐに取引を開始したかったが、軽い割にかさばるハーブを島から島外の工場へ輸送するとなるとコストがかかることがネックとなった。
そこで社長自ら島内に工場を建設し、栽培したハーブを新鮮なうちに乾燥粉末にするところまで行い、輸送コスト削減を図ろうと考えた。Z 社もそれに同意した。その結果、B 社はハーブの栽培・粉末加工・出荷を行うための事業会社として、10 年ほど前に設立された。
Z 社は予定どおり、B 社製造のハーブの乾燥粉末を原材料として仕入れ、これをさらに本州の工場で加工し、ドリンクやサプリメントとして全国販売した。これらの製品は、島の大自然とハーブからもたらされる美を意識させるパッケージで店頭に並び、主として 30〜40 歳代の女性層の支持を獲得した。この島の空港や港の待合室にも広告看板が設置され、島とハーブの名前が大きく明示されている。そのため、とくにヘルスケアに関心の高い人たちから、このハーブが島の顔として認知されるようになってきた。こうした経緯もあって、島民は昨今 B 社の存在を誇りに感じ始めている。
ただし、Z 社のこの製品も発売から約 10 年の歳月を経て、売れ行きが鈍ってきた。このところ、B 社と Z 社とのハーブの取引量は徐々に減少している。Z 社担当者からは先日、ブランド刷新のため、あと 2〜3 年でこの製品を製造中止する可能性が高いことを告げられた。
現在の B 社は、このハーブ以外に、6〜7 種類の別のハーブの栽培・乾燥粉末加工を行うようになっている。最近ではこのうち、安眠効果があるとされるハーブ(Y とは異なるハーブ)が注目を集めている。Z 社との取引実績が安心材料となり、複数のヘルスケアメーカーなどから安眠系サプリメントなどの原材料として使いたいと引き合いが来るようになった。しかし、取引が成立しても、Z 社との取引に比べるとまだ少量であり、B 社の事業が Z 社との取引に依存している現状は変わらない。
最近になって、社長は自社ブランド製品の販売に再びチャレンジしたいという思いや、島の活性化への思いがさらに強くなってきた。試しに、安眠効果のあるハーブを原材料とした「眠る前に飲むハーブティー」というコンセプトの製品を OEM 企業に生産委託し、自社オンラインサイトで販売してみたところ、20 歳代後半〜50 歳代の大都市圏在住の女性層から注文が来るようになった。
島の数少ない事業家としての責任もあるため、社長は早期に事業の見直しを行うべきだと考え、中小企業診断士に相談することにした。

設問文

第 1 問(配点 20 点)

現在の B 社の状況について、SWOT 分析をせよ。各要素について、①〜④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。

第 2 問(配点 30 点)

Z 社との取引縮小を受け、B 社はハーブ Y の乾燥粉末の新たな取引先企業を探している。今後は Z 社の製品とは異なるターゲット層を獲得したいと考えているが、B 社の今後の望ましい取引先構成についての方向性を、100 字以内で助言せよ。

第 3 問(配点 30 点)

B 社社長は最近、「眠る前に飲むハーブティー」の自社オンラインサイトでの販売を手がけたところ、ある程度満足のいく売上げがあった。

(設問 1)

上記の事象について、アンゾフの「製品・市場マトリックス」の考え方を使って 50 字以内で説明せよ。

(設問 2)

B 社社長は自社オンラインサイトでの販売を今後も継続していくつもりであるが、顧客を製品づくりに巻き込みたいと考えている。顧客の関与を高めるため、B 社は今後、自社オンラインサイト上でどのようなコミュニケーション施策を行っていくべきか。100 字以内で助言せよ。

第 4 問(配点 20 点)

B 社社長は、自社オンラインサイトのユーザーに対して、X 島宿泊訪問ツアーを企画することにした。社長は、ツアー参加者には訪問を機に B 社と X 島のファンになってほしいと願っている。絶景スポットや星空観賞などの観光以外で、どのようなプログラムを立案すべきか。100 字以内で助言せよ。

出題の趣旨

第 1 問(配点 20 点)

B 社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。

第 2 問(配点 30 点)

B 社の現状を踏まえて、既存製品の新たな販売先を提言する能力を問う問題である。

第 3 問(配点 30 点)

(設問 1)

B 社の新規事業について、既存事業との関係性を分析する能力を問う問題である。

(設問 2)

B 社の新規事業について、顧客志向の価値創造を可能にする施策を提言する能力を問う問題である。

第 4 問(配点 20 点)

B 社の強みを生かし、新規事業で獲得した顧客のロイヤルティを高める施策を提言する能力を問う問題である。

令和 2 年度(2020 年度)事例 Ⅱ 解答解説

第 1 問(配点 20 点)

設問文

現在の B 社の状況について、SWOT 分析をせよ。各要素について、①〜④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。

回答例

  • ① 強み(37 字):高品質なハーブの無農薬栽培・加工技術と、大手製薬会社との取引で得た信頼性。
  • ② 弱み(39 字):特定の大手取引先である Z 社への売上依存度が高く、自社のマーケティング力が弱い。
  • ③ 機会(40 字):健康志向を背景としたヘルスケア市場の拡大と、安眠効果のあるハーブへの新たな需要。
  • ④ 脅威(39 字):主要取引先 Z 社との取引縮小・終了の可能性と、島の人口減少による地域の活力低下。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 強み:「無農薬で高品質のハーブが(中略)効率的な栽培方法を開発した」「栽培したハーブを新鮮なうちに乾燥粉末にする」「Z 社は(中略)高品質かつ安全性を追求する姿勢(中略)を高く評価した」
    • 弱み:「B 社の事業が Z 社との取引に依存している現状は変わらない」「ハーブを使った自社による製品開発をいったん諦めた」
    • 機会:「消費者の健康志向を背景にますます拡大基調にあるヘルスケア市場」「安眠効果があるとされるハーブ(中略)引き合いが来るようになった」
    • 脅威:「Z 社とのハーブの取引量は徐々に減少している」「あと 2〜3 年でこの製品を製造中止する可能性が高い」「若年層の人口流出や雇用機会不足、人口の高齢化による耕作放棄地の問題、農家所得の減少などが深刻化」
  • 答案作成の根拠 与件文から B 社の内部環境である「強み」「弱み」と、外部環境である「機会」「脅威」を整理する。

    • 強み: B 社が持つ独自の技術力と、それが外部からどう評価されているかを抽出する。無農薬での効率的な栽培技術、乾燥粉末の加工ノウハウ、そして大手 Z 社との長期取引で培われた社会的信用が該当する。
    • 弱み: B 社の事業構造上の課題点を抽出する。Z 社一社への売上依存体質と、過去の失敗経験からわかる自社製品の販売ノウハウの不足が明確な弱みである。
    • 機会: B 社を取り巻く市場環境の追い風となる要因を抽出する。社会的な健康志向の高まりと、それに伴うヘルスケア市場の拡大は大きな機会である。また、安眠ハーブへの具体的な引き合いは、新たな市場ニーズの存在を示している。
    • 脅威: B 社の存続を脅かす可能性のある外部要因を抽出する。最大の脅威は、売上の大部分を占める Z 社との取引が縮小・終了する可能性が高いことである。加えて、事業基盤である X 島の過疎化・高齢化も長期的な脅威となる。
  • 使用した経営学の知識

    • SWOT 分析: 企業の外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)を分析し、経営戦略を策定するためのフレームワークである。本設問では、このフレームワークに基づき、B 社の現状を整理・分析する能力が問われている。

第 2 問(配点 30 点)

設問文

Z 社との取引縮小を受け、B 社はハーブ Y の乾燥粉末の新たな取引先企業を探している。今後は Z 社の製品とは異なるターゲット層を獲得したいと考えているが、B 社の今後の望ましい取引先構成についての方向性を、100 字以内で助言せよ。

回答例(97 字)

健康・長寿に関心のある高齢者層をターゲットとし、健康食品や介護食メーカーと提携する。ハーブ Y の伝統や効能を訴求し、乾燥粉末を使用した粉末茶等の製品を提案し、複数社との取引で Z 社依存を軽減させる。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「Z 社との取引縮小を受け、B 社はハーブ Y の乾燥粉末の新たな取引先企業を探している」
    • 「今後は Z 社の製品とは異なるターゲット層を獲得したい」
    • 「島内では古くから健康・長寿の効能があると言い伝えられてきた」
    • 「とくに高齢者は普段からおひたしや酢みそあえにして食べる」
    • 「B 社の事業が Z 社との取引に依存している現状は変わらない」
  • 答案作成の根拠 本問は、Z 社との取引縮小という脅威に対応するため、Z 社とは異なる新たな市場を開拓する方向性を示す問題である。

    1. 事業課題の明確化: B 社の最大の経営課題は 「Z 社への高い売上依存」 である。これを解決するためには、取引先を複数に増やし、経営リスクを分散させることが不可欠である。
    2. 新ターゲット層の設定: 設問では「Z 社の製品とは異なるターゲット層」が求められている。Z 社のターゲットが「30〜40 歳代の女性」であったのに対し、与件文にはハーブ Y が「健康・長寿の効能」を持ち、「とくに高齢者」に親しまれてきたという記述がある。これは、「健康志向の高齢者層」 が極めて有望な新ターゲットであることを示唆している。
    3. 提携先の選定 : 新ターゲットである高齢者層にアプローチするには、彼らを顧客に持つ**「健康食品メーカー」や、今後の市場拡大が見込める「介護食メーカー」**などが最適な提携先と考えられる。
    4. 具体的な製品提案 : B 社の既存製品である「乾燥粉末」を活かし、高齢者でも手軽に摂取できる「粉末茶」のような具体的な製品を提案することで、取引の実現可能性を高める。ハーブ Y の持つ「島の伝統」や「健康・長寿」といったストーリーは、製品の付加価値として強力な訴求力になる。

    以上の要素を組み合わせ、「① 高齢者層を新ターゲットとし、② 専門メーカーと複数提携することで、③Z 社依存から脱却する」という論理で回答を構成する。

  • 使用した経営学の知識

    • STP 分析 : Z 社がターゲットとしなかった市場をセグメント(高齢者層)として切り出し、新たなターゲットとして設定する考え方である。ハーブの「健康・長寿」という伝統的な価値でポジショニングを図る。
    • リスクマネジメント : 特定の取引先に依存する経営リスクを、取引先を複数に増やす(ポートフォリオを組む)ことで分散・軽減させるという考え方である。
    • 市場開拓戦略 : 既存の製品(ハーブ乾燥粉末)を、新たな市場(高齢者市場)に投入していくアンゾフの成長マトリックスにおける戦略の一つである。

第 3 問(配点 30 点)

設問文

B 社社長は最近、「眠る前に飲むハーブティー」の自社オンラインサイトでの販売を手がけたところ、ある程度満足のいく売上げがあった。

(設問 1)

上記の事象について、アンゾフの「製品・市場マトリックス」の考え方を使って 50 字以内で説明せよ。

回答例(50 字)

安眠ハーブティーという新製品を自社サイトで大都市圏女性という新市場に直販するため、多角化戦略である。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「安眠効果のあるハーブを原材料とした「眠る前に飲むハーブティー」というコンセプトの製品を OEM 企業に生産委託し、自社オンラインサイトで販売してみた」
    • 「20 歳代後半〜50 歳代の大都市圏在住の女性層から注文が来るようになった」
  • 答案作成の根拠 アンゾフの「製品・市場マトリックス」の 4 つの成長戦略(① 市場浸透、② 新製品開発、③ 新市場開拓、④ 多角化)に、B 社の今回の取り組みを当てはめる。

    • 製品軸: B 社はこれまでハーブの「乾燥粉末(原材料)」を企業向けに販売してきた。一方、「眠る前に飲むハーブティー」は最終消費者向けの「製品」であり、B 社にとっては新製品である。
    • 市場軸: B 社はこれまで Z 社などのメーカーに販売する BtoB 市場にいた。一方、自社オンラインサイトを通じて「大都市圏在住の女性層」という最終消費者に直接販売する BtoC 市場は、B 社にとって新市場である。

    「新製品」を「新市場」に投入しているため、この取り組みは「多角化戦略」に分類される。

  • 使用した経営学の知識

    • アンゾフの成長マトリックス(製品・市場マトリックス): 経営戦略を「製品」(既存/新規)と「市場」(既存/新規)の 2 軸で分類し、企業の成長戦略の方向性を分析するフレームワークである。本問は、この理論的枠組みを用いて B 社の事業を的確に位置づける能力を問うものである。

(設問 2)

B 社社長は自社オンラインサイトでの販売を今後も継続していくつもりであるが、顧客を製品づくりに巻き込みたいと考えている。顧客の関与を高めるため、B 社は今後、自社オンラインサイト上でどのようなコミュニケーション施策を行っていくべきか。100 字以内で助言せよ。

回答例(100 字)

新製品の開発過程をサイト上で公開し、製品アイデアや名称を公募する。ハーブの多様な活用法を顧客から募集・共有できるコーナーを設け、SNS も活用しながら双方向の対話を促進し、製品開発への参加意識を高める。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「顧客を製品づくりに巻き込みたいと考えている」
    • 「顧客の関与を高めるため、B 社は今後、自社オンラインサイト上でどのようなコミュニケーション施策を行っていくべきか」
  • 答案作成の根拠 設問の要求は「オンラインサイト」上で「顧客を製品づくりに巻き込む」ための「コミュニケーション施策」である。単なる情報発信ではなく、顧客が参加し、影響を与えられる双方向の仕組みを提案する必要がある。

    1. 製品開発プロセスへの参加: 顧客が「製品づくりに巻き込まれている」と最も実感できるのは、製品開発の初期段階から関与することである。そこで、B 社が企画している新製品について、開発の背景や進捗状況をサイト上でブログや動画を用いて公開する。さらに、製品コンセプトのアイデア、製品名、パッケージデザインなどを顧客から公募する企画を実施する。

    2. 共創コミュニティの形成: 顧客同士や B 社とのコミュニケーションを活性化させる場を提供する。サイト上に、顧客が考案したハーブのオリジナルレシピや活用法を投稿・共有できる掲示板のようなコーナーを設ける。良いアイデアにはプレゼントを進呈するなど、参加を促すインセンティブも有効である。

    3. 双方向コミュニケーションの促進: 上記の施策を効果的に行うため、SNS(Instagram, X など)と連携し、リアルタイムでの意見交換や情報拡散を図る。これにより、顧客との継続的な対話が生まれ、エンゲージメント(関与)が高まる。

    これらの施策により、顧客は単なる消費者ではなく、製品開発のパートナーとしての意識を持ち、B 社へのロイヤルティ向上につながる。

  • 使用した経営学の知識

    • 共創(Co-creation)マーケティング: 企業と顧客が対話し、協力して新しい価値を創造していくマーケティング手法である。顧客を単なる買い手ではなく、価値創造のパートナーと位置づける。
    • エンゲージメント・マーケティング: 顧客との絆や愛着(エンゲージメント)を深めることで、長期的な関係を築くマーケティング手法である。双方向のコミュニケーションが重要となる。

第 4 問(配点 20 点)

設問文

B 社社長は、自社オンラインサイトのユーザーに対して、X 島宿泊訪問ツアーを企画することにした。社長は、ツアー参加者には訪問を機に B 社と X 島のファンになってほしいと願っている。絶景スポットや星空観賞などの観光以外で、どのようなプログラムを立案すべきか。100 字以内で助言せよ。

回答例(99 字)

B 社のハーブ畑での収穫体験と乾燥粉末加工の工場見学を行う。社長自らが島の活性化への思いを語るセミナーや収穫したハーブを使い、島の高齢者から島のハーブ料理を教わる料理教室を開催し、ファン化を促進する。

解説

  • 問題文の該当箇所

    • 「自社オンラインサイトのユーザーに対して、X 島宿泊訪問ツアーを企画」
    • 「ツアー参加者には訪問を機に B 社と X 島のファンになってほしい」
    • 「絶景スポットや星空観賞などの観光以外で、どのようなプログラムを立案すべきか」
    • B 社の資源:「ハーブ畑」「(社長の)島への思い入れ」「島内では古くから健康・長寿の効能があると言い伝えられてきた」「高齢者は普段からおひたしや酢みそあえにして食べる」
  • 答案作成の根拠 本問は、オンラインで獲得した顧客のロイヤルティを、リアルの体験を通じてさらに高めるための施策を問う問題である。「観光以外」という制約の中で、B 社ならではの資源と X 島の魅力を組み合わせた体験プログラムを提案する必要がある。

    1. B 社ならではの体験: B 社の事業の根幹である「ハーブ」を軸にした体験を提供する。美しいハーブ畑での「収穫体験」や、普段は見ることができない「工場見学」は、製品への理解と愛着を深める上で非常に効果的である。

    2. 経営者の想いの共有: B 社の事業は、社長の「島の窮状を打開したい」という強い思いから始まっている。社長自らがその理念やストーリーを語る「セミナー」や座談会を実施することで、顧客は製品の背景にある物語に共感し、単なる製品のファンではなく、B 社という企業のファンになる。

    3. 地域文化との連携・交流: X 島の資産である「伝統的な食文化」と「島民(特に高齢者)」との交流をプログラムに組み込む。与件文にある「おひたしや酢みそあえ」などの伝統料理を、実際に島の高齢者から教わる「料理教室」を開催する。これにより、参加者はハーブの新たな魅力を発見するとともに、地域の人々との触れ合いを通じて X 島そのものへの愛着を深める。

    これらのプログラムは、単なる観光では得られない「本物性」と「特別感」を参加者に提供し、B 社と X 島の熱心なファンになってもらう(ロイヤルティ向上)という目的に合致する。

  • 使用した経営学の知識

    • 経験価値マーケティング: 商品やサービスを購入・利用する過程で得られる「体験」そのものに価値を見出し、顧客満足度やロイヤルティを高めようとするアプローチである。五感に訴えかけ、感動や共感を呼ぶ体験のデザインが重要となる。
    • リレーションシップ・マーケティング: 顧客との長期的で良好な関係性を築き、維持していくことを重視するマーケティングである。このような体験ツアーは、顧客との関係を深化させるための効果的な施策である。

AI への指示

あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。

評価の基本方針

  • 模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。
  • あなたの解答の評価は、第一に与件文の記述と設問要求に忠実であるか、第二に中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているかを最優先の基準とします。
  • 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その独自の価値を積極的に評価してください。
  • 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という視点を提供するものとして活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。

上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点で私の解答を添削してください。加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイントをバランス良く指摘してください。

評価は点数ではなく、下記のABCDEF 評価基準に沿って行ってください。


ABCDEF 評価基準

  • A 評価 (完璧 / 80 点以上): 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
  • B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点): 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
  • C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点): 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
  • D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点): 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
  • E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点): 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
  • F 評価 (不合格レベル / 49 点以下): 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。

入力情報

与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。


出力項目

以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。

冒頭で ABCDEF 評価基準の定義を説明します。

1. 設問ごとの添削

模範解答(比較参考用)

回答例と解説の回答例を出力してください。

あなたの回答

模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。

  • 評価: この設問の評価を A / B / C / D / E / F で端的に示してください。

  • フィードバック:

  • ① 設問解釈と方向性: 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。

  • ② 与件文の活用: 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。

  • ③ 知識と論理構成: 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。

  • ④ 具体性と表現: 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。

  • **改善提案:どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。

2. 総評

  • 総合評価: 全ての設問を考慮した最終評価を A / B / C / D / E / F で示してください。
  • 全体を通しての強み: 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
  • 全体を通しての課題: 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
  • 合格に向けたアドバイス: 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。

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